【幕間(結婚三年目)】 沙織の一生のお願い

サオ「みっちゃん様…何とぞ…何とぞ沙織の一生のお願いを聞いてください!」

「…見返りは?」

サオ「…一生のお願いに…見返り要求すな~」(涙)


妻、旧姓「速見」沙織…「サオ」

愛する妻の一生のお願いは、


「2月に大阪で開催される、元婚約者の披露宴に一緒に行って欲しい」だった。


いや、さすがに俺は披露宴には出られないだろう!と言ったんだけどね。披露宴会場まで一緒に来て欲しいのだと。


「お願いみっちゃん!言うことを出来る範囲で…必ず一つ聞くからあ!!」


なんちゅう苦しそうな口調で言うかなこの女は!

しかも

「出来る範囲」!!

「一つ」!!

を物凄く強調してくる。


そのあたり、俺ってまったく信用が無いなあと思う。多分、ア⚪ルセックスの強要とかを危惧してるのだろう。

…しかし、サオの危惧通り、何をさせるか必死に考える自分がいた(鬼畜)。


まあその前に、基本平日休みの俺は仕事をかき分けて日曜日に休みを取らなくてはならないんだけどね。

「何とか休み取れたよん」

サオ「みっちゃ~ん!愛してるよ~」

「で、見返りの件だけど…」

サオ「うっ!ど…どんと来い!…出来る範囲だよ?」

「んじゃ、アナ⚪セック…」

サオ「却下よ!!」(怒)

「…は、冗談として」(汗)


絶対、冗談じゃなかったよね?と、サオの目が据わっている。(汗)


「じゃあさ!その日の夜はずっと付き合って貰うとして、詳細はその時ね!」

サオ「はい!先生…2つ突っ込み入りま~す」

「何かね速見くん」

サオ「当日まで詳細分からないの怖いで~す。全力で拒否するかもしれませ~ん」

「…させるかよ」

サオ「それが怖いんだよ!みっちゃん!」


沙織の目が笑っていない。


サオ「そもそもさ!私、次の日仕事だよ?みっちゃんもだよね?私たち大阪から始発で帰らないとならないんだよ!?そんな夜遅くまではお互い体力がさ」

「ああ大丈夫、俺、月曜日も休みにしたから」

サオ「…はい?」

「ああ…もちろんサオも月曜日休めるように秋男に頼んだから」

サオ「…はいいっ!?」

「夫婦の危機だから頼むって言ったら、あいつ任せとけってよ」

サオ「(ぼそっ)やっぱりあの男…ただじゃおかない!」

「?何か言った?」

サオ「いや~、みっちゃんと旅行みたいで嬉しいな~と」(汗)

「だろ~?あ、そうだ!サオ濡れやすいんだから替えの下着は持っていったほうが良いと思うよ」

サオ「…こういうときにたまに思うんだ…本当に私、何て人と結婚しちゃったんだろうって」(涙)

「うるさいです!」

あっという間に当日の

サオ「み…みっちゃ…だめ、こ…れは、だ、め…だよ…う」


大阪に向かう飛行機の中、一時間位のフライト。

一見、毛布を掛けて俺に体を預けたサオは、幸せそうにうたた寝をしているように見える。


でもね、俺の右手、サオのトロトロの⚪⚪の中。

サオは毛布の下、もう自分では足を閉じることも出来ずに、俺に翻弄されている。


サオ「待…って、みっ…ちゃん、なん…で」

「だってさ、サオってば、とっても綺麗なんだもん」

サオ「~~~っ!!やっ…だっ…」


フォーマルの黒ドレスに身を包んだサオは、いつも纏めてるセミロングのさらさらな髪をおろしている。

ややロリ顔のサオがもっとも大人びる姿。

妖艶な魅力の中に少しの子供っぽさ。

俺の一番好きなサオの顔。

そんなものをさ、元彼の結婚式の為に装っているって考えると…何か凄いムカつくじゃん!


サオ「ち…違うよ~みっちゃんと一緒のお出かけだから…私、頑張ったんだよ~」(涙)


とか言ってたけどね。


「おねが…い、みっちゃ…ん…もう…もう、やめ…て!声が…声がおさえ…られな、あっ、あっ!ダメ!もう、もう、なんでも…なんでも言うこときくからあ~」(涙)

飛行機から降りたあと、上記発言の下知を取りにいったところ


サオ「そんなの無効だよ~。あんなことする、みっちゃんが悪いんだよ~!」


と膨れて、俺の嗜虐心を思いっきり刺激してくれた。

お前、今日の夜中、ずっと嬲られるの忘れてない?

知らないよ~。



披露宴会場に急ぎながら、終わったらどこで待ち合わせようか?とサオに聞いた。

サオは、ごめん披露宴会場まで一緒に行って欲しい、と頼んできた。

クエスチョンマークが浮かんだ俺を連れてサオが向かったのは…新郎親族控室?


?「沙織ちゃん!?」

?「沙織さん!!」


初老の優しげなご夫婦が駆け寄ってくる。

サオ「おとうさま!おかあさまもお元気そうで!!」

奥様「沙織さん…まだそう呼んでくださるの?」


優しげな奥様が、涙ぐむ。


奥様「沙織さん、ご結婚なされたのね?」

サオ「はい!本日は…夫と一緒に」


俺は訳も分からず、とりあえずお二人に精一杯の営業スマイル。


奥様「沙織さん本当に綺麗になって!…幸せなのね?」

サオ「はい!夫のお陰で!きっと今日のたかしさんと同じくらい私は幸せです!」


「(だから安心してくださいね)」

と言うサオの心の声が聞こえてくる気がした。


あの頃、物凄く心配させて、きっととても傷付けたであろう、新郎=元婚約者の御両親に、今は自らも幸せであることを、ちゃんと報告したい。


サオが「一生のお願い!」と、俺をこの場に同席させた訳が分かった。

サオ「みっちゃん、お待たせ!!」


披露宴会場近くの喫茶店で、暇潰しに本を読んでいた俺に、サオが駆け寄ってくる。


「二次会は行かなくて良いのか?」

サオ「うん!何か食べに行こうよ!!」


サオが俺の腕に抱きついてくる。

サオの最高の笑顔、俺だけのサオ。


「…なあサオ、心残りは無くなった?」

サオ「?うん!おかげさまで」

「そっか…じゃあ見返りね」

サオ「うっ!そう来るか。何?」

「子供を作ろう」

サオ「……あ」

「俺たちは今まで恋人時代を楽しんできた…これからは夫婦に…家族になりたい。子供を作ろう」

サオ「…うんっ!」


そしてホテルに帰った俺たちは、生で死ぬほどエッチした。


おしまい

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