ライオンヘッド
「たてがみさえあれば、ライオンってそりゃないでしょ」
見た目、ライオンにも見えなくは……って、確かに見えないですにゃ。いつもの聞き役。ネコですにゃ。
皆さんはライオンヘッドと聞いて、どんな動物を思い浮かべますにゃ?ライオンの頭なんだから、少なくとも恐ろしい猛獣なんだろうなって思う方も多いと思うにゃ。
実はライオンヘッドさんはうさぎ科ですにゃ。
愛らしい外見をしてて、普通のうさぎとのミックス配合でライオンラビットとしてペットでも人気がある品種にゃ。そのいかめしい名前からは想像もつかない姿にゃ。
「確かに、たてがみはあるわよ。でも、背格好からしたら、どう考えてもライオンはないと思うの。ちょっと安直すぎないかしら」
ライオンヘッドさんの言うことはもっともな話にゃ。だけど。
「そうは言ってもにゃあ。ヒトのつける名前って安直だからにゃ。そういえば、この前、テングザルさんが『ちょっと鼻が大きかったらテングか、妖力もなにもないのに』とか言ってたにゃ」
「あらあら、テングザルさんの気持ちはよく分かるわ。私も全然関係ないのに毛だけでライオンなんてつけられちゃうんだから。だいたい、私はどこからどう見ても草食系被食者よ。なんで、肉食系捕食者のライオンなんてつけちゃうの。可愛くないのが何より嫌だわ」
なるほどにゃあ。ライオンヘッドさんのこだわりはそこかぁ。
「それに頭だけで決めてよかったら、鹿なんてみんなドラゴンヘッドよ」
それは順番が逆な気もするにゃ。むしろ、鹿の角をはやした想像上の動物が龍にゃ。龍の方がバンビヘッドになっちゃうにゃ。急にかっこ悪くなったにゃ。やめとこ。
「私も頭や毛だけでヒトに名前つけちゃおうかしら」
ライオンヘッドさんが笑みを浮かべる
「どんな名前になるにゃ?」
「やっぱり、ハゲザルかピカピカザルね。だって、サルの仲間なのに、全然毛が生えていないんですもの」
確かに安直だけど、分かり安いし、他のサルとの区別もつくにゃ。
さすがライオンヘッドさん、的確なネーミングにゃ。シッポのない霊長類はヒトの他にもいるからにゃ。
「でも、ハゲだと頭頂部のみっぽいからやっぱりピカピカザルね。うん。そう。これから私はヒトのことをピカピカザルって呼ぶわ。かわいいし」
やっぱりそこはこだわるにゃね。
「あなたも私の前ではそう呼ぶのよ。わかった?」
これは了解にゃ。
というか、選択肢がないにゃ。
ライオンヘッドさんの前ではヒトはピカピカザル。よし、覚えておくにゃ。
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