歯車の魔女 ~最強魔女の素材集めの旅~
茜色
プロローグ 魔女の追放
魔女
それは魔法や魔術、呪い、妖術を使う事に優れた女性の事
または災いをもたらす存在を示すモノでもある。
その地では【聖女】だが、他の地にとっては【魔女】でもある…
この世界には多くの魔女がいる。皆、人々からの虐殺を恐れ身を隠している。
魔女達は【魔女の里】に身を隠し生活している。
この時代でも…魔女狩りや火炙りの刑が続いている…善人の魔女も悪と扱われている…そうで無い国もある。
ある時、魔女の里の入口に一人の赤ん坊が捨てられていた。
その赤ん坊には魔女の素質が宿っていた事から、魔女達は赤ん坊を育てる事にした。
赤ん坊は健やかに育ち、愛らしい少女になった。
そんな時だった…
平和な時間が…10歳にもいかない少女によって壊されそうになった…。
名も無き魔女の少女は強かった…いや、強すぎたのだった。
魔法の師が教えた下級の炎魔法等を覚えたは良いものの、彼女は最強クラスの炎魔法を直後に習得…
武器を操る魔女が戦術を教えたが、里を守る最強の女戦士を倒してしまった…
知的な魔女が文学を教えたが…彼女の作った難問も満点で回答した…
もはやこの少女に敵はいない…まさにチート魔女だった。
最強で最悪な幼き魔女は誰にも止められなかった…。
そのまま誰も彼女を止められぬまま少女は成長した。
そんな中、一人だけ彼女の才能に蓋をする事に成功した魔女がいた。
それは名も無き魔女が12歳になった頃だった。
彼女を変えた魔女は『機械と時計の魔女』だった。
「お前は強すぎる。戦力も魔力も文学も、全てが強すぎる。
だからお前を『
「はぁ…」
「もう一度言う、お前は強すぎる。その力は後に大きな災いを生む原因となる。この世界には未だに魔女狩りが残っているからな…。
お前が生き延びる為には、その強すぎる力時才能を封じるしかない」
「……」
「今からお前には機械と魔法具の修復、修理のやり方を教える。覚えておいて損は無い。
魔法具の修理は天才にしか出来ない仕事とも呼ばれている。お前にピッタリだろ?」
「修理士になれと?」
「たとえ居場所を失っても、この技術を手にしてれば職には困らない。王都やギルドに行けば良い収入を得られるだろう。ただし、働く際は魔女だとバレぬように」
「はい」
機械と時計の魔女『ウィア』はギデオンに青い水晶の耳飾りを左耳に着けた。
そして一つの時計を取り出した。
懐中時計の形をした魔法具のようだ…
「お前がこれを直したら一人前の証拠だ。
まず、お前は歯車を作るところからだ。歯車以外の部品もそうだが、錬金術と少し似ている。
違うのは素材のほとんどが鉱石って事だ、時々薬草も使うが9割が石や鉱石だ。
それぞれの時計に使われる歯車や部品はどれも違う。
大きさ、素材、素質、品質、そして形…
共通する部分は全て鉱石から作られてるくらいだ。
魔法具に使われるのは魔鉱石と呼ばれるモノ、普通の時計の修理には使わないから間違わないように。
これを誤って普通の時計に使ったら修復不可能だ、わかったな?」
「は、はい…」
ウィアの指導はとても難しく、地道だった。
まだ子供なギデオンにとって…渡された懐中時計の修理が終わるのは遠い先だろう…。
長い指導を受け続け、ギデオンが16になった頃…その時はやってきた。
この時、ギデオンはチート能力の調整に成功していたので被害はほとんど無かった。
ウィアの指導も続いていたが、4年経った未だに懐中時計の修理は終わってなかった。半分も行っていない…長い道のりだ…
部品を取り付けても動かなければ意味がない、部品の微調整が本当に難しいのだろう…
ある日、ウィアの家に里の長と数名の魔女がやって来た。
この時もウィアの指導を受けていた時だが…魔女達はギデオンを拘束し、彼女を里の入口に放り出した。
何も知らされてないウィアは怒りながら長に訴えたが…長達は苦しそうな表情をして口を開いた。
「許してくれギデオン、今のお前が悪事を働いた訳でもない…。傷付けぬ為に努力していた事もわかっておる。だが…許してくれ…これは我らを魔女の為なのだ」
「ま、魔女の為?…」
言葉と行動が合ってない…悪いことをしてないのに…何故自分は里を追い出されてるのか…
確かに昔はやり過ぎた行動をしていたが…今はずっとウィアの元に居たのだ…。
「頼む…この里から出て行っておくれ…。お前の力は災いを生む原因だ…。今は抑えられても何時爆発するかわからん…二度と戻って来るな…」
「待ちなよ長!ギデオンはもう一人の魔女だ!力のコントロールも自分で出来る!理不尽じゃないか!」
「機械と時計の魔女ウィアよ、お前は良くやってくれた。だがギデオンは破壊をもたらす魔女に変わらない…だがらギデオンなのだ…」
「この子の力は確かに強すぎるが天才だ!里の為に力を抑えた!アタシの技術も真剣に取り組んでた!お前達も分かってるはずだろ!」
「あぁ…わかってるさ。じゃが…こうするしかない…」
「!!」
「ギデオン!!」
ギデオンの足元に魔法陣が現れ、彼女を囲むように光り…光が消えた時には彼女の姿は無かった…。
「破壊は…起きぬ…皆持ち場に戻りなさい…」
「「はっ」」
「クソッ!…」
ウィアは他の魔女に拘束される形で家に返されたのだった。
こうして魔女の里に破壊をもたらす存在は消えた…。
仕方がないのだ…魔女ギデオンはチート、最強魔女なのだから…恐れられて当然だ。
魔女の里からかなり離れた地に飛ばされたギデオン、幸い拘束具を付けられてた訳でも無いので魔法術は普通に使える。
しかし…ウィアに渡された壊れた懐中時計型の魔法具を所持したまま追放されてしまった…。
修理出来ても返しに行けるだろうか…二度と戻って来るなと言われてしまったからにはどうしようもない。
魔女の里が何処に有るのかもわからないので運び屋に頼む訳にもいかない…
仕方がない…取り敢えず身を隠せる所にいこう…魔女だとバレぬように生きて行かなくては…
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