22話 ミズキに会いにいくリュートの話 2

 小さい肩、痩せた身体の今にも消えてしまいそうに儚げな少女、ミズキには予知の力がある。


 それは特別な神からの祝福ギフトとされており、

 力を使うたび激しく消耗する。


 そのため

 ミズキは大変体が弱かった。


 身体的な病気はない.だが生命力が日に日に削られていくようで。ミズキの命の蝋燭は、人よりだいぶ細く短いのだろう。


 この祝福ギフトを持つものは、『クロノスの巫女姫』とよばれ、国内外で強い影響力を持つ様になる。


 刻の神クロノスの末裔とされている、スコアリーフ王国のノルン侯爵家の姫に稀に産まれるが、

 この力を持つものは、例外なく王家に取り込まれ、連なる存在になる。

 文字通り、国に身を捧げないとならない。


 ミズキも、その運命さだめから逃れることができないでいる。


 歴代のクロノスの巫女姫より段違いに体が弱いミズキは、神託を下ろすたびに命をすり減らす。


 自由にしてあげたい。

 こんな力を使わせたくない。


 少しでも長く、ミズキに生きてほしい。

 彼女の幸せのために。


 リュートはその方法を求め、方々に手を尽くしていた。


 月日が経ち、ミズキがベッドで過ごす時間の方が長くなり

 その美貌に人外の儚さを見せ始めた頃


(彼女は僕達の前に飛び込んできた。

 救いの女神だったのかも知れない。)


 身なりを綺麗にした彼女はミズキの生き写しだった。


 もしも、彼女がミズキと関係がなかったとしても

 こちらで保護せねばならない案件だとリュートは考えている。


 (あの子の利用価値が十分にあるからね。

僕にも、世界にも。)


 もちろん友人として応援してはいるが、

 正直カナタの執着も利害は一致しているので支援している面も少しはある。


(あいつはちょっと拗らせすぎだけど。)


 この判断がどう転ぶかわからない。

 

 あの子にとっては望まない未来へと舵を進めてしまうかもしれない。


 でも。

 それでも。


 運命が動き出す。

 期待せずにはいられなかった。


 この機を逃すな。

 リュートは水面下で手を尽くす。


 大切な人達のために。

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