④『朝食のゆくえ』梗概 榊みる著
(お題:溶ける朝食)
梗概
一人の若い男(会社員)がいる。彼は朝が苦手で、遅刻しそうなギリギリまで寝ている習慣になりがち。朝食を呑み込むようにして胃に詰め込んでから、慌てて出勤するのが常。
『朝食が液体だったらなあ……時間の節約になるし、すぐに腹一杯になるだろうから、良いことづくめになるのになあ……』男はいつしか、心の中でそう願うようになる。
そんなある日、朝食を食べようとしたら、それがみるみるうちに目の前で溶ける。謎の現象が起こるようになった。男はおどろくも、溶けた朝食を呑み、腹を満たした。次の日も、またその次の日も、目の前で朝食は溶け、男は溶けた朝食を口にして、出勤するようになった。
朝食の時間が短縮されたので、時間に余裕ができた。いつも時間ギリギリで駆け込んで載っていた電車に余裕で乗れるようになり、毎日、座席に座れるようになった。会社にも余裕の時間で到着し、上司に褒められたりもした。
しかし何日かして、空腹になる時間が早くなるのに気づいた。仕事のパフォーマンスもガタ落ちしている。
『もしかして、溶ける朝食のせいだろうか?』
男が気づいた頃、周囲で奇怪な現象が起こるようになっていた。朝食が溶ける、と同僚たちは口々に訴えた。
『やっぱり、なにかがおかしい。朝食は、キチンとした固形物でなくては……』
翌朝から突然、朝食が溶けなくなった。だが、日を増す毎にだんだん食事が固くなり、朝食だけでなく、昼食や夕食、そしてすべての食べ物に異変が生じた。やがてそれらは、石のように固い食べ物へと変わっていった。
そしてその現象は、世界中へと広がっていき、人々は食べ物を口にすることができなくなっていく。『何とかしてくれ!』人々は願う。しかし溶ける朝食に端を発した謎の現象はもう、誰にも止めることができない……。
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