20 戦士の形見の品を持って帰る

 地下15階のボスの部屋。


白銀のよろいを脱いだ戦士 エクスカ

「さあ、ともに戦おうではないか?」


ミエル

「無理です。

 ダンジョンに入った時点で、パーティではないから合流できません。」


エクスカ

「そうか、仕方が無い。

 わたしの華麗な戦いぶりを見学するがよい。


 待たせたな、地下15階のボスよ。


 正義のこぶしを受けるがいい。」


 エクスカは、格好よく、ボスに殴りかかった。


ボス

「見えない刃 大。

 ×10回。」


 エクスカは、小さいサイコロ状に切り刻まれた。


ボス

「火球 大。」


 エクスカの細切れは、燃えて灰になった。


ボス

「見えない刃 中。」


 エクスカの灰は、飛び散った。


みやび

「みんなに嫌われたひとは、ひどい目にあうんだね。」


ミエル

「そうみたいだね。」


ボス

「いやー、すっとした。

 まるで長い便秘が治ったかのような清々しい気分だ。」


 白銀のよろいが壁から離れて落ちた。

 そして、ボスは見えない力で、白銀のよろいを手元に取り寄せた。


ボス

「いまいましい白銀のよろいだったが、自分が装備するとなると良く見えるな。」


ミエル

「では、ボクたちは、エクスカさんの形見に白銀のよろいの小手部分をもらいますね。

 失礼します。


 みやび、帰ろうか?」


みやび

「ギルドマスターの命令は、

  形見の品を持って帰れ!

 だったから、十分さ。」


ボス

「あまいな、ボスからは逃げられない。

 そして、ここは上級者ダンジョンだ。

 初心者ダンジョンのように生き返ることはない。


 冒険者もボスも両方な。


 もちろん、わたしが死んだ場合は、代わりのボスが来るがな。」


ミエル

「えー、見逃してくれませんか?」


ボス

「ダメだ。」


みやび

「ミエル、たたかうさ。」


 みやびの素早い動きを、ボスは追いきれないようだ。

 目で見ることがやっとらしい。

 みやびの攻撃が入ったが・・・


 ミス、ミス、神の一撃、ミス、ミス、神の一撃。


みやび

「禁じ手の顔面攻撃さ。」


 しかし、フルフェイスの白銀のかぶとがあらわれて、みやびの拳を防いだ。


みやび

くだくとき用の武器をつかうさ。

 かたい、かたい、こぶし。」


 メリケンサックのように指にはめる武器だった。

 鉄のツメに比べると射程距離は短くなるが、よろいをくだくには最適さいてきだった。


 しかし、・・・


 白銀のよろいは無傷だった。


みやび

「そんな、どうすればいいさ。

 ミエル。」


ミエル

「みやび、ボクの後ろにさがって。」


みやび

「わかったさ。」


ボス

「もう、わすれたか?

 白銀のよろいには、呪文は効かないんだぞ。

 このボスの呪文でさえな。」


ミエル

「呪文は無理そうだね。

 でも、性魔力せいまりょくは別だよ。」

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