16 武闘家をバカにする戦士

 白銀の戦士 エクスカは、ほかのパーティに雇われていた。


エクスカ

「むん。 なんの。」


 エクスカはモンスターの攻撃を白銀の盾で受け止めていた。

 受け止めきれない攻撃は、白銀のよろいが防いでいた。


 パーティの魔法使いが攻撃し、倒しきれない分をエクスカが斬り倒していた。


エクスカ

「うむ、やはり、戦士は最強だな。」


 エクスカは、武闘家の方をちらりと見た。


僧侶

「エクスカさん、傷を回復します。」


エクスカ

「うむ、頼んだ。」


 僧侶の魔法がエクスカの傷を回復した。


僧侶

「終わりました。」


エクスカ

「うむ、ご苦労。」


武闘家

「ご苦労ではなくて、ありがとうだろう?

 おれたちは主従関係ではない、仲間なのだぞ。」


エクスカ

「役に立ってこそ、仲間だろう。

 動き回るだけの誰かさんには分からないか。」


武闘家

「けんかを売っているのなら、買うぞ。」


 武闘家はエクスカに殴りかかったが、情けをかけて腹をなぐろうとしたことが裏目に出た。


エクスカ

「よろいを着ているから、痛くもかゆくもないぞ。

 武闘家は残念な存在だな。

 せっかく力が強いのに、ほとんどの武器も防具も装備できない。

 いや、ちがったか、装備できても使いこなせないから、かえって弱くなるのだったな。」


武闘家

「くっ、くそー。」


 武闘家の意地として、顔は殴らない。

 この信念がハンデとなって、エクスカにダメージを与えられない。

 ミス、ミス、神の一撃、ミス、ミス、神の一撃。


 しかし、白銀のよろいで、数ポイントのダメージしか与えられなかった。


エクスカ

「やはり、戦士が最強だな。

 キミも戦士に転職することを勧めるぞ。」


武闘家

「よけいなお世話だ。」


魔法使い

「エクスカさん。

 言いすぎです。

 このパーティのリーダーはわたしです。


 そこまでにしてください。


 みんなも疲れたでしょう。

 今日は、ここまでにして、ギルドに帰りましょう。」


エクスカ

「もう帰るのか。

 みんな、そんなに体力がないのか?

 わたしは、まだまだやれるぞ。」


魔法使い

「一番体力がない魔法使いの体力にあわせて行動する。

 これが、わたしのパーティのルールです。


 帰りますよ。」


 魔法使いの女性に、にらまれて、さすがのエクスカもだまったのだった。



ギルドにて


 そのパーティは、エクスカを見送った後で、ギルドの個室で話をしていた。


受付嬢

「エクスカさんを正式にパーティに入れますか?」


魔法使い

「お断りします。」


受付嬢

「理由をお聞きしてもいいですか?」


魔法使い

「ダメなものはダメです。

 失礼します。」


受付嬢

「なにがあったか教えてください。」


 魔法使いは、受付嬢をにらみつけた。


僧侶

「しばらくは、3人だけで冒険します。」


 僧侶は、武闘家の肩に手をおいて、部屋を後にした。


受付嬢

「エクスカさんは、武闘家さんになにかしたようですね。

 元気が無さそうです。」



 そのパーティがギルドの広間に出てきた。


みやび

「どうしたのさ。」


武闘家

「じつは・・・」


 武闘家は、おなじ武闘家のみやびには、こころのうちを打ち明けた。


みやび

「それは、つらかったさ。

 仲間の2人が、あんたを選んでくれて良かったのさ。」


武闘家

「ああ、女神さまに感謝しているところだ。」


 ボク、賢者ミエルは、みやびから話を聞いたのだった。

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