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10 賢者はレベル２２で花が咲く
ボクはミエル、いま、みやびに慰（なぐさ）めてもらっている。
武闘家（ぶとうか） みやび
「ミエルは、どうしたいのさ。」
賢者（けんじゃ） ミエル
「そうだね。
レベル３０までレベルアップしたい。
それでもダメなら、他（ほか）の職業（しょくぎょう）に転職（てんしょく）するよ。」
みやび
「わたしは、ミエルといっしょにいるさ。」
ミエル
「ありがとう、みやび。」
◇
初級者ダンジョンで戦い続けた結果、ボクは、賢者 レベル５になった。
「みやび、呪文（じゅもん）が使えるようになったよ。」
「良かったさ。 ミエル。」
ようやく、レベル１の魔法が使えるようになった。
魔法使いの呪文 火球（かきゅう） 小（しょう） と
僧侶の呪文 回復（かいふく） 小（しょう） を
使えるだけでも、ありがたい。
「でも、このことは、ギルドには言いたくないんだ。」
「どうしてさ。」
「きっと、
賢者って、時間のムダづかいですね！
って、
バカにされる気がするんだ。」
「ミエルが、そう思うなら、そうすればいいさ。」
みやびのおかげで、中級ダンジョンでも戦えるまで回復した。
ボクがレベル１０になったとき、レベル５の魔法使いと僧侶の呪文を使えるようになった。
「食べるだけなら、大丈夫（だいじょうぶ）さ。」
みやびは、ボクが食費（しょくひ）をギリギリ稼（かせ）げる強（つよ）さを取（と）り戻（もど）したことを喜（よろこ）んでくれたのだ。
ボクは、自分の情（なさ）けなさに泣（な）きたくなった。
みやびは、文句（もんく）ひとつ言わずに、ボクといっしょに戦ってくれた。
そのおかげで、ボクがレベル２０になったとき、レベル１０の魔法使いと僧侶の呪文を使えるようになった。
「少しずつでも呪文が使えるならいいさ。
わたしは、ミエルといっしょなら、しあわせさ。」
「みやびはボクの希望の光だよ。」
その夜、ボクは、夢を見た。
未来知見（みらいちけん）の女神（めがみ） ミサキ
「わたしが守護（しゅご）するミエル、聞こえますか？
あと少しです。
このまま続けて、がんばってくださいね。」
「だれですか？
そうすれば、成功（せいこう）しますか？」
女神 ミサキ
「もちろんです。」
「ありがとう。」
「ミエル、だれと話しているさ。
寝言（ねごと）かあ、心配しなくても、そばにいるさ。」
「みやび、あと少しであなたに報（むく）いることができます。
どうか、ミエルをお願いします。」
「ムクいる？って、イヌを探（さが）していますか？」
「ミエルといっしょで良かったと思える日が来ると言う意味です。」
「あといくつ寝たらいいさ？」
「ふたつです。」
「わかったさ。
ミエルのことは大好（だいす）きさ。」
「あなたは、本当に可愛（かわい）いですね。
学力（がくりょく）が低（ひく）いことを気にしているようですが、あなたは賢（かしこ）いと思いますよ。」
「あなたは、ミエルのお姉（ねえ）さんかなあ？」
「そんなものです。」
翌朝
「みやび、今日も中級ダンジョンにつきあって欲しい。」
「わかったさ、ふたつ寝たら、いいことあるさ。」
「はげましてくれて、ありがとう。」
２日後、ボクは、レベル２２になった。
そのとき、やさしい声を聞いた。
みやびも聞こえたそうだ。
「ミエル、おめでとう。
みやび、ありがとう。
賢者はレベル２２で花（はな）が咲（さ）きます。
よくここまで、がんばり続けましたね。」
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