第2章 賢者いじめ ざまあ

08 賢者になりたいひとが増えてきた

 ボクは、苦労人くろうにん ミエルだった。

 なぜ過去形かこけいかというと、賢者けんじゃになったからだ。


 ボクのパーティメンバー みやびも、よろこんでくれている。


賢者 ミエル

「これからは、魔法使まほうつかいと僧侶そうりょ呪文じゅもん使つかえるようになるとかんがえると、うれしくてねむれないがするよ。」


武闘家 みやび

大丈夫だいじょうぶさ、わたしがグッスリと眠れるように手伝てつだうさ。」


 ボクとみやびは、毎日なかよくらしている。



 ギルドのテーブル


冒険者ぼうけんしゃ

中級ちゅうきゅうダンジョンのボスを二人で倒すと、賢者になれるらしい。」


冒険者B

職業しょくぎょうが苦労人しか賢者になれないらしい。」


冒険者C

「苦労人なんて、そんするだけの人生だと思っていたのに、予想外よそうがいだよなあ。」


冒険者D

「いまの職業で、レベル20になったら、苦労人に転職てんしょくしようかな。」


冒険者E

「賢者になれば、魔法使いと僧侶の呪文が両方つかえて、チートだよなあ。」


 多くの人が、賢者ミエルを、うらやましがっていた。



 ギルドマスターの部屋へや


ギルドマスター

「それで、賢者となったミエルは、魔法使いと僧侶の呪文が両方りょうほうつかえるのか?」


受付

「まだ、わかりません。

 ミエルさんは、賢者になってすぐに、ギルドに報告ほうこくられましたから。」


ギルドマスター

「つまり、まだ、賢者としてはたたかったことがないのか?」


受付

「そのとおりです。」


ギルドマスター

「賢者 ミエル の戦闘内容せんとうないようが分かったら、教えてくれ。」


受付

「かしこまりました。」



賢者 ミエル

「みやび、初級者ダンジョンにつきあってくれますか?」


武闘家 みやび

「ミエルは、賢者として、武闘家のわたしといきうかをりたいのさ。」


ミエル

「その通りだよ。

 みやびは、やっぱり、あたまがいいんじゃないか?」


みやび

「バカのわたしをアタマがいいって言うひとは、ミエルだけさ。」


ミエル

「多くのひとは、初級者ダンジョンなんて面倒くさいって、いやがるんだよ。」


みやび

「わたしも、いまさらって思うけれど、ミエルが行きたいと思うなら、行った方が良いと思うさ。」


ミエル

「ありがとう、みやび。」


みやび

「どういたしまして。」



 ボクとみやびは、初級者ダンジョンに入った。


ミエル

「うん、初級者ダンジョンのモンスターと武器を持ってたたかう分には、いいかんじだね。」


みやび

「それは、良かったさ。

 わたしは、ぼーっと立っているだけで、らくだわさ。」


 ボクは、どうつるぎで、簡単かんたんにモンスターをたおしていた。


 しかし、硬いモンスターには、銅の剣ではダメージをあたえられなかった。


みやび

「おっ、ミエル。 魔法使いの呪文をつかうチャンスさ。」


ミエル

「うん、そうだね。

 じゃあ、見ててね。


 魔法使いの呪文 火球かきゅう しょう。」


 しかし、なにもこらなかった・・・


ミエル

「あれ、おかしいな?

 魔法使いの呪文 火球かきゅう しょう。」


 モンスターのツメが、せまってくる。


みやび

「ミエル、どうしたのさ。」


 みやびがはしってきて、モンスターをたおしてくれた。

 しかし、ギリギリのタイミングになったから、みやびはケガをしてしまった。


 いつもなら、ボクが簡単に倒していた相手だからだ。


ミエル

「みやび、ありがとう。

 僧侶の呪文 回復かいふく しょう。」


 しかし、みやびのケガをなおせなかった。

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