第3話 闇の巣窟

リアンとアリスは、倒した悪魔の残骸を背にしながら、さらに遺跡の奥へと進んでいった。


暗く冷たい空気が漂う通路は、ますます不気味さを増していた。


「お兄ちゃん、なんだか嫌な予感がする…」


アリスはリアンの腕にしがみついた。


「大丈夫だ、アリス。僕たちならきっと乗り越えられる」


リアンはアリスを勇気づけるように微笑んだ。


二人が進むにつれて、通路は広がり、巨大なホールにたどり着いた。


ホールの天井からは無数の蝙蝠がぶら下がり、壁には巨大なクモの巣が張り巡らされていた。


「気をつけろ、アリス。ここには何かがいる」


リアンは剣を抜き、周囲を警戒した。


「うん、お兄ちゃん。魔法の準備はできてるよ」


アリスも集中して呪文を唱え始めた。


突如として、蝙蝠たちが一斉に飛び立ち、彼らに襲いかかってきた。


「来たか…!」


リアンは剣を振りかざし、蝙蝠を払いのけた。


「風よ、舞え!」


アリスは強力な風の魔法を発動させ、蝙蝠たちを吹き飛ばした。


「よし、いいぞアリス!」


リアンはアリスの魔法の効果に感心しながらも、次々と迫る蝙蝠を剣で切り裂いていった。


蝙蝠を一掃した後、壁から巨大なクモが這い出してきた。


その鋭い脚と毒々しい牙が、二人に向かって襲いかかってきた。


「気持ち悪い…!」


アリスは震えながらも、火の魔法をクモに向かって放った。


「大丈夫だ、アリス。僕が守る!」


リアンはクモの攻撃をかわし、その胴体を剣で貫いた。


次々と現れるクモたちを二人で協力して倒していった。


しかし、その時、腐臭を放つゾンビの群れが暗闇から現れ、彼らに迫ってきた。


「ゾンビまで…」


リアンは息を切らしながらも、剣を構え直した。


「お兄ちゃん、後ろを任せて!」


アリスは魔法の光を放ち、ゾンビたちを焼き尽くした。


リアンはゾンビの群れを切り裂き、アリスと共に進んでいった。


道中、古代の罠が仕掛けられていることにも気を配りながら、一歩一歩進んでいった。


「この遺跡、本当に試練の連続だね…」


アリスは息を切らしながら言った。


「でも、それだけ僕たちが強くなれるってことだ」


リアンは微笑み、アリスの頭を撫でた。


ついに、彼らは遺跡の最奥部にたどり着いた。


巨大な扉が目の前に立ちはだかり、その向こうには何かが待ち受けているのがわかった。


「行こう、アリス。これが最後の試練だ」


リアンは決意を込めて扉を押し開けた。


扉の向こうには、広大な洞窟が広がっていた。


その中心には巨大なドラゴンが眠っていた。


ドラゴンの鱗は黄金に輝き、その巨大な体は力強さと恐ろしさを放っていた。


「これが…ドラゴン…」


アリスは恐怖と驚きで声を失った。


「大丈夫だ、アリス。君と僕なら、このドラゴンもきっと倒せる」


リアンはアリスを勇気づけ、剣を構えた。


ドラゴンが目を覚まし、巨大な翼を広げて二人に向かって咆哮した。


その咆哮は地響きを起こし、洞窟全体が震えた。


「お兄ちゃん、気をつけて!」


アリスは魔法の準備を整えた。


ドラゴンは火を吹き出し、二人を焼き尽くそうとした。


リアンは素早くアリスをかばい、盾を構えて火炎を防いだ。


「今だ、アリス!攻撃を!」


リアンは叫んだ。


アリスは強力な氷の魔法を発動させ、ドラゴンの翼を凍りつかせた。


ドラゴンは一瞬ひるんだが、すぐに反撃してきた。


「くそっ、しぶといな…」


リアンは剣を握り直し、ドラゴンの弱点を探し始めた。


ドラゴンは再び火を吹き出し、洞窟内を焼き尽くそうとした。


しかし、アリスの氷の魔法がその火を弱め、リアンはその隙を突いてドラゴンの鱗の間に剣を突き刺した。


「よし、効いてるぞ!」


リアンは叫んだ。


「もう一度、アリス!」


リアンはドラゴンの反撃をかわしながら叫んだ。


アリスは再び氷の魔法を発動させ、ドラゴンの動きを封じようとした。


ドラゴンは猛烈な力で氷を砕きながらも、リアンとアリスの連携に次第に追い詰められていった。


「あと少し…お兄ちゃん、がんばって!」


アリスは全力で魔法を放ち続けた。


リアンは渾身の力を込めて剣を振り下ろし、ドラゴンの心臓を貫いた。


しかし、ドラゴンは最後の力を振り絞り、二人に向かって巨大な尾を振り回してきた。


「危ない、アリス!」


リアンはアリスをかばい、尾の攻撃を受けた。


「お兄ちゃん!」


アリスは涙を浮かべながら叫んだ。


リアンは痛みに耐えながらも、ドラゴンの心臓にもう一度剣を突き刺し、ついにドラゴンを倒すことに成功した。


「やった…倒せた…」


リアンは息を切らしながら言った。


「お兄ちゃん、大丈夫?」


アリスは心配そうにリアンに駆け寄った。


「大丈夫だよ、アリス。君がいてくれたから勝てたんだ」


リアンはアリスの頭を撫で、安心させた。


二人はドラゴンの倒れた体を見つめながら、遺跡の最奥部にある宝を見つけた。


そこには、古代の秘宝が輝いていた。


「これが…僕たちの探していた宝物か…」


リアンは呟いた。


「すごい、お兄ちゃん。こんなにたくさんの宝物があるなんて…」


アリスは目を輝かせた。


リアンは宝物を手に取り、微笑んだ。


「でも、これで終わりじゃないよね。まだまだ、僕たちの冒険は続くんだ」


アリスは頷き、リアンと手を繋いで遺跡を後にした。

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