満ち足りた世界に住まう音楽にノイズのような助けてを聴く


満ち足りた世界に住まう音楽に

ノイズのような助けてを聴く



良い音楽とは調和である

地を打ち鳴らすリズム

水の流れのようなメロディ

包み込む大気の如きハーモニー

私は世界を構成する奏者に選ばれて誇らしかった

全てが満ち足りていた


ある日からノイズが目立つようになった

ノイズは一瞬で消えて

音楽は少しづつ力強さを失くした


更に月日は過ぎて

リズムについていくのが辛くなる

メロディも嘗ての流麗さはなく

どこか弱々しい


この音楽で世界は調和がとれているのだろうか

素晴らしかった音楽を

取り戻さなければならないのではなかろうか


突然、床が抜け奈落へと落とされる

初めて音楽以外の声を上げた

聞きたくなかったノイズの意味を知る

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る