蛇口から漏れる雫を聴きながら猫のぬくもりに抱かれる夜


蛇口から漏れる雫を聴きながら

猫のぬくもりに抱かれる夜



呆れるほど貧乏だった

昭和に建てられた古アパートの四畳半

小さいがトイレ付バスがある

蛇口は締まりが悪く

いつも水が滴っている


冬になって半野良の猫が住み着いた

どこからともなく入ってくるすきま風のようだ

その日は特に寒い夜だった


仕事もなく

誘う相手もいない

いても金が無い


猫を抱いて寝る

ぬくもりに抱かれて寝る


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