三月の香りの満つる花の雨 棒立ちの母に寄り添う父


三月の香りの満つる花の雨

棒立ちの母に寄り添う父



三月の夜、母がいなくなった

長い入院から帰宅しても

寝込んだままだった母に

家族は油断していた

みんなで捜すと母は近所の公園にいた

一本の桜が散る様子をじっと見ている


最初に動いたのは父だった

持ってきたカーディガンを肩に掛け

気が済むまで寄り添う


そこには切り離された時間があった

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