魔法の才能がなくてバカにされた俺、実は剣を持たせれば最強なので兄弟たちを見返します~神様から授かった宇宙最強の剣も持っているので誰も俺には勝てません、今更泣いて謝ってももう遅い。ボコボコにしてやる
にこん
第1話 転生
四方を白い壁で覆われたその一室でその男、宮本 明は目を覚ました。
「どこだ、ここ」
明はキョロキョロと目を動かした。
そこで彼は見知らぬ部屋に来たことを理解した。
「おかしいな」
彼は思い出せるだけの記憶を思い出していた。
まず、自分が自室の部屋できっちりと眠ったこと、そして自室はこんな部屋では無いこと。
彼の部屋は質素である。
寝るためだけに存在しているようなものであり、生活感はないのだが。
「ここまでなんもないってこともないんだよな」
この部屋は見渡す限りなにもない。
布団くらいはある彼の部屋の方がまだ生活感がある。
そのためこの部屋が自室でないことは明らかだった。
そろそろ部屋を抜け出す手でも考えようかと明が思った時だった。
ぼふん。
目の前に白い煙が立ち上がる。
「なんだ?」と思ったのもつかの間。
直ぐに煙は晴れてその中から白いドレスに身につけ、天使の輪っかを浮かべた女が現れた。
そして、女が口を開く。
「こんにちは。天使です」
「そうなんですか、天使だなんてすごいですね」
反応に困った明はそんな返事をした。
それからここはどこか、とか色んなことを質問しようと思っていたところ……。
「突然ですが、あなたは死にました」
「え?」
「死因は過労死だそうです」
(まぁ、無理もないか)
明はブラックな職場で60連勤していた。
定時で上がれないのは当たり前、むしろ定時ってなんなの?と言わんばかりの長時間労働。
時給にして300円くらいの給料。
そんなブラックな労働環境。
むしろ、自分でも死ぬだろうなぁと思っていた矢先のこの報告である。
むしろ、当たり前の話では?と思うレベル。
「死因については納得しましたが、それで自分はこれからどうなるんでしょう?」
「実はですね。私は転生エージェントという者でして。ここにくる皆様の転生をサポートさせていただいているんです」
「はぇー、そういうサポートがあるんですね」
転職エージェントというのは聞いたことがあるが、まさか転生エージェントまであるんだなぁと思う明。
「転生希望ですか?」
「う〜ん」
彼は悩んでいた。
明の前世は悲惨だったからだ。
誰からも愛されず、努力は報われず、友達もできず。
ずっと一人ぼっち。
生きる意味とはなんなのか、それを自問自答する日々。
そんな彼だったから質問に対する回答はすぐに用意できた。
「転生なんてしたくありません。2度目の人生?まっぴらごめんですね」
にっこり笑って回答。
すると女神は困っていた。
「ここは天界という場所なんですが、天界にもキャパシティがありましてね。できれば転生していただきたいのですよ」
「イ・ヤ・で・す」
にっこり笑って回答。
こういうところが嫌われるポイントなんだろうなぁとは分かってはいるのだが、イヤなものはイヤなのできっぱりと「NO」と答える。それが明の現在のポリシー。
「分かりました。では転生に当たって『これがあれば転生できるかなー』みたいな条件はありますか?例えばホワイトな世界だったりユルユルとした世界だったり」
そう聞かれて明は考えた。
彼が転生したくない理由としては、才能がない自分が無駄に苦労したり苦しんだりするのを経験したくないからである。現に日本に生まれた時はそうだった。才能もなくて苦しんだ経験があったからだ。
逆に言えば、才能があったり平凡な自分でなければ別に転生することは構わないと考えている。
「そうですねー。才能があれば構いませんし、苦労がなかったりストレスがない世界であるのなら、転生することには抵抗はないですかねー」
「ふむふむ。分かりました。では異世界とかどうですか?ストレスのない世界が見つかりましたが、レビューなどの確認をどうぞ」
とつぜんとして明の目の前にウィンドウが出てきた。
そこにはこう書いてある。
【異世界:ガルマンダのレビュー】
☆☆☆
女性にもとても優しい世界です!
まったくストレスなく生活できます!
☆☆☆
地球から転生しましたがこっちの世界ストレスなさすぎ!
ムカつく上司もムカつく幼なじみもいないし、もう最高!!!!
☆☆☆
剣士を目指す方におすすめ!
常に剣士が足りておらずとても優遇されます!
(へー、レビューいいんだなぁ。けっこう良さそうな世界だけど)
「どうですか?今なら転生サポートとして剣の修行サポートを1000年ほどおつけできますが」
「1000年も?!」
「はい。もちろん剣の修行をサポートしてくださるのは剣の神様です。どんな人間も1000年で最強の一流剣士になれますよ」
「それはすごいなぁ」
こう聞かされると明も自然と転生も悪くないかもなぁという考えになってくる。
彼は答えを変えた。
「はい。転生してもいいですが、先に剣の修行をさせてください!」
「分かりました。では手続きを行います。ちなみにですが、一瞬で1000年分の修行を完了させることもできますが、どうしますか?」
「え?そんなこともできるんですか?!お願いします!」
【剣の修行1000年分が終了しました】
【スキルを100個獲得しました】
【剣術を100個獲得しました】
【体術を100個獲得しました】
【神級武器:全剣を手に入れました】
(おぉ、本当に修行が完了したっぽいぞ)
明は顔を綻ばせていた。
これから始まる異世界生活についていろいろと妄想を捗らせていたのだ。
「明様。そろそろ転生しますか?」
「はい。お願いします」
「かしこまりました。スタートする年齢はどれくらいにしますか?」
「5歳くらいでいいです!どうせ0歳だとなんにもできないだろうし」
「かしこまりました。設定を完了しました」
天使の横に扉が現れた。
「こちらの扉を潜っていただけると、すぐに異世界に転生していただけます。お名前はマルスとして転生することになっています。よろしくお願いします」
「おー、ありがとうございますっ!」
明は扉の横に急いだ。
そして、明はすぐに扉を開くことにした。
◇
チュンチュン。
小鳥の囀る声が聞こえて宮本 明……いや。マルスは目を覚ます。
彼は大きな木の下で木に背を預けて眠っていた。
「ふぁ〜」
昼寝をしていたようで、ぐぐーっと伸びをして意識を覚醒させる。
「あー、ここ、異世界か。俺転生したんだな」
次にマルスは思い出した。
天界での出来事を。
(そういえば俺武器を貰ってたよな?たぶん、天界での修行特典だと思うけど)
「来い、【全剣】」
軽く口に出してみると、マルスの右手に剣が握られる。
7色に輝く武器だった。
見た目はゲームの終盤に出てくるような最強武器!みたいな見た目をしている。
「おぉぉぉ、かっこいぃぃぃ」
マルスは天に向かって剣を振ってみた。
すると、斬撃が飛んでいった。
「おぉぉぉ、斬撃が飛ばせるんだなぁ。ってか、めっちゃいい天気〜」
マルスが飛んでいく斬撃と空を見ていると、急に男の顔が割り込んできた。
「うわっ!」
びっくりしてマルスは尻もちを着いた。
マルスは目の前の男を見た。
普通の人間であり、マルスを見下ろしていた。
「マルスよ。その剣を何処で拾ってきた?」
「え?」
「早く捨ててきなさい」
(えーっと、どういうこと?ここは剣と魔法の世界なのでは?なぜ捨てる必要があるの?)
明がそう思っていたら男はこう言った。
「マルス。お前はこの私、A級魔術師マルガスを父親に持ったのだから、剣ではなく杖を持ちなさい」
マルガスは広い庭に目を向けた。
庭では色んな歳の男女が杖を持って魔法の練習をしていた。
誰も剣なんて持っていない。
「この魔術の名門【スノーマジック家】に生まれたからには剣など不要である」
「……」
(えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!!!!あのエージェント、ひょっとして最後の最後に適当な仕事したのか?!)
そこは剣の名門に生まれさせるところだろぉぉぉぉぉお?!!!!
マルスは心の中で叫んでいた。
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