第19話 それから
※このお話は、大人の事情でここから終結を急ぎます。雑なことをして本当にごめんなさい。
【取り決めっ!】
実乃里「先生…ごめんなさい…我慢出来ない!」
「(ああ…やっぱり)」
葛西臨海公園デートの次の家庭教師の日、焦燥しきった実乃里ちゃんが、意を決したように訴えかけてきたのです。
―
あの葛西臨海公園の夜の市川塩浜駅の某所にて。
実乃里ちゃんはもちろんなんだけど、俺も気がついてなかったんですよね…
…指での行為だと終わりがないってことに…
実乃里ちゃんは俺の指で、逝って逝って逝き続けて…おねだりをするかのような実乃里ちゃんのディープキスに俺も我を忘れてしまって。
―
実乃里「先生、ごめんなさい…昨日…とうとうお言い付けに背いてしまいました」
「…さわっちゃったの?自分で?」
実乃里「先生のおっしゃる通り全然気持ち良さが足りないの。だけど…止められなくて…助けてください」
今回はどう考えても俺が悪い…俺が彼女の人生に本気で関わると決意したのは…まさにこの時でした。
実乃里「先生…この細かいスケジュール表はなんですの?」
「うん、今回、俺の責任は重大だ。これが少しでも君の救いになれば良いのだけれど」
実乃里「?」
「ようは君の成績やらなんやらが変わらなければ文句を言われる筋合いは無いんだから」
実乃里「はい…」
「このスケジュール表に、テストとかコンクールとか細かく記載してくれる?目標を決めて達成したら…ご褒美を上げるから」
実乃里「先生!それって!……でもそれだと次の中間テストまではまだ…」
「だからさ…細かく書いてよ、毎週の少テストでもミニ発表会でも…なんなら抜きうちテストがあったら後から追加してくれて良いよ。その度に俺は君にご褒美を与え続けるよ」
実乃里「はい!頑張ります!嬉しいです」
「その代わり…もう自分では止めようね」
実乃里「ううっ、頑張ります…」
実乃里ちゃんはしっかりと頑張りました。無事に高校生になるのです。
(画像①)
https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093079034271902
髪をストレートに伸ばして今時の高校生スタイルになった制服姿の実乃里ちゃんは、不思議なことにかえって年相応の高校生に見えたものでした。
(画像②)
https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093079641515851
後に秋男から「お前らさんざん身体合わせていたよな!」と言われるぐらい、秋山家には、ばればれの行為でしたが…その頃は少なくとも一線は越えてなかったのですよ。
越えたのはいつかは…ご想像におまかせ致します。
ちなみに、俺が前カノのゆうこちゃんに手紙でフラれて完全にフリーになったのは、その年のクリスマスの直前でしたね。
―
―
【南ちゃんっ!】
南「…ごめんなさい」
秋男「い、いや…真っ正面から謝られると」
葛西臨海公園デートから程なく、秋男と俺は実乃里ちゃん下ネタ質問の元凶である南ちゃんと会いました。
南「ちょっと調子に乗っていたと言うか…実乃里ちゃん興味深げにふんふん聞いてるけど絶対分かってないなあというのが良く分かって…なんか面白くて」
秋男「…うん、そこまで言われれば、悪意バリバリで謝って貰って正解だわ」
「…おめえはそこまで被害を受けてないだろうが!」
南ちゃん、明るいショートボブカットの中学生らしい美少女。
(画像)
https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093079052559253
そんな彼女が大学生二人の前で縮こまっていました。
「南ちゃん、まあ正直、二人の友情に釘を刺すつもりはないのだけれど、⚪ーターだけは、やり過ぎだ」
南「…はい…」
「あれは君の発想だったの?」
南「いえ…彼に実乃里ちゃんの大学生の彼氏の話をした日に、私があれでさんざんいじめられて。その後お揃いとかで実乃里ちゃんにも渡すように貰ったんです」
南ちゃんは「今後はもう少し抑えます」と恐縮して帰りました。まあもう少しってのはどんな塩梅なんだよとは思ったけど。
「なあ、秋男。もう少し付き合ってくれるか」
秋男「…南ちゃんの彼氏か」
「お前、本当に話が早いな。あの⚪ーターは悪意を感じるんだよね。実乃里ちゃんに自慰行為を覚えさせようとしたんじゃないかな」
秋男「彼氏って南ちゃんのフルートの家庭教師だったよな。実乃里の足を引っ張ろうとしたのかな」
「どちらにせよ、南ちゃんも出来るなら中高生らしい恋愛をだな」
秋男「お前が言っても…全く説得力無いけどな」
「…うるさいわ」
その後、南ちゃんの妻子持ちの彼氏とやらは秋男と二人でシメました。
南ちゃん自体がソロからオーケストラに興味が移っていったとかで楽器の家庭教師の機会も無くなり、高校入学までにうまくフェードアウト出来たようです。
―
―
【五月(妹)と実乃里ちゃん、と…ウィーン】
実乃里「先生?五月ちゃん中学二年生の春、五月ちゃんを抱きましたね!?」
「ぶ~~っ!」
高校生になっても相も変わらぬ数学の家庭教師の授業の休憩時間、エグい下ネタ質問も減って(あってもベッドで言われるし)安心していた俺に別ベクトルの強烈な原子爆弾が。
「い…いったい、何がどうなるとそんな話に」
実乃里「語るに落ちましたね!質問に対して質問で返す!それこそが真実の証!」
「待って待って!」
実乃里「先日、三人でお茶をしましたの、五月ちゃん南ちゃんと」
「…―」
これがともかくビックリ。
三人とも学校が違う。
南ちゃんと実乃里ちゃんは高一、五月は(中高一貫校だけど)中三と学年まで違うのに、この三人、いつの間にか仲良くなっていたんですよね。
実乃里「五月ちゃんに聞かれたのです『お兄とやったの?』って」
「ぶ~~っ!」
実乃里「先生…今更そんなに動揺されても…」
「…なんて言ったの?」
実乃里「先生はとても上手って」
「……」
五月に殺されるかも…
実乃里「五月ちゃんがふてくされちゃって…「正太郎は何にもしてくれない」とか申していたのです。ところがですよ!?南ちゃんが『じゃあ五月ちゃんは清い身体なのね?』って質問したら、五月ちゃん黙りこんでしまって…そこからは大尋問大会になって」
「五月は清い身体だって!」
実乃里「…―」
「……」
実乃里「…先生?先生って嘘で誤魔化すときに右の眉毛が痙攣するの…ご存知でした?」
「……(汗)」
怖ええ…今更だけど、この女、怖ええ…
もはや完全に尻に敷かれている。
実乃里「分かりました、もはや何も言いません」
「そう!じゃ早速授業に…」
実乃里「先生?今度の日曜日のフルートの全国コンクール、私が優勝しましたら」
そんなのほとんど確定事項じゃん!
実乃里「その日はそのまま…お泊まりで…わたくしが満足するまで…よろしいですわね?」
「…はい…」
―
―
―
結論から言うと、実乃里ちゃんは優勝しましたが…この約束は果たされませんでした。
何故なら、コンクール会場に招かれていたウィーンの高名なフルート奏者が実乃里ちゃんの弟子入りを熱望してきて…俺たちは連れだって彼女の家に帰り、秋男や御両親と一緒に彼の話を伺うことになったのです。
それは、音楽で世界を目指すものにとってはこれ以上無いほどのものであり…そして実乃里ちゃんや俺たちの日常を全く変えてしまう…そんな内容で。
実乃里ちゃんはウィーンに招かれたのです。
そこからは目まぐるしくもあっという間の出来事でした。
さんざん泣いて話して…そしてウィーン行きを決意した実乃里ちゃんに…最後に俺がしてやれたことは、秋男とのいつぞやの約束を守ることでした。
それは中途半端な気持ちでは到底進めない道を選んだ実乃里ちゃんの退路を断つこと。
最後の夜、俺は腕の中の実乃里ちゃんに告げたのです…「待たないよ」と。
実乃里ちゃんは、泣き笑いの表情で一言「先生なんて…大嫌いです」と答えたのでした。
そして実乃里ちゃんは、高校を中退してウィーンに旅立って行きました。
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