第99話 エスクードVSラビリル1
「この時を待っていた!ラビリル!存分に殴ってくれぃ!」
転送されると遠くにエスクードさんが叫んでいた。
そして何故か2つの大盾を捨てている。
「うわぁ……殴りたくない、でも攻撃しないと勝てない――」
私はゆっくりと少しずつ歩いて近づいた。
「プレイヤーの紹介をします!ラビリルに殴ってもらいたいとずっと叫んでいます、変態なのでしょう!エスクード選手です!」
すっごい紹介が雑になってるよね、言ってる事はその通りなんだけど……。
「そしてエスクード選手の言葉に若干どころかかなり引いています!ラビリル選手です!いつもの狂気的な笑顔はどこへいってしまったのでしょう?」
何その狂気的な笑顔って?!酷くない?!
「おっと、ラビリル選手が私の事を睨んできているのでさっさと試合を始めてしまいましょう!それでは第六回戦……開始!」
ついに始まってしまった……。
エスクードさんはやっぱり大盾をそこら辺に捨てて殴られたそうに私の事を待っているように見えた。
「よし!あれ使おう!」
私はアイテム欄から例の爆発する包帯を大量取り出す。
「ラビリル、それで何をするつもりだ……?」
エスクードさんは私が大量に包帯を取り出したのを見て若干戸惑っている。
あれ?もしかして爆発するの知らない?これはチャンスだ!
「攻撃を受けたいみたいだから受けさせようと思ってね!《風龍の加護》」
俊敏を上げて爆発する包帯を手に持って走る。
そしてエスクードさんの前にまで来て包帯でグルグル巻きにした。
「うお!なんだ、この包帯は?!千切れん!」
ユニークスキル使ってたベルテで引きちぎれないんだもん、防御特化?なエスクードさんが引きちぎれるわけがない。
「じゃ、頑張って抜け出して見てね!」
「この状態で放置か!」
顔以外の場所全てを包帯で覆い尽くし身動きが全く取れなくなったエスクードさんをそのままに私はその場を離れた。
「なるほど……放置プレイか、これもまた良いかもしれん」
この人は何言ってるんだろうね……。
遠くでグルグル巻きになっているエスクードさんを見ていると包帯が赤くなっているのが見えた。
「む、なんか様子がおかしいぞ?」
あの包帯って時間経過で爆発なのかなぁ。
そんな事思いながら包帯が爆発するのを待っていた。
「ラビリル!この包帯は一体なん――」
エスクードが何か叫んでいたがその前に包帯が爆発した。
「ぐああああああ!」
遠くでエスクードさんの悲鳴が聞こえる。
「スコーン召喚!スコーン、どうせ根性で耐えてるからそのまま止めさしちゃっていいよ」
そう命令するとスコーンは何処かへ消え去った。
私は容赦なくいかせて貰うからね!
やっちゃえ、スコーン!
『スコーンが倒されました』
『24時間の休眠状態に入ります』
「え、スコーン〜!」
恐らくエスクードさんの後ろに転移して攻撃しただろうスコーンが倒されてしまった。
「うぐっ……容赦ない攻撃、ラビリル本人ならそのまま倒されても本望だったのだがアイテムとモンスターで倒されるのは流石に俺でも嫌だぞ」
爆発の煙が晴れてエスクードさんが出てくる。
「新鮮なラビリルを楽しもうと今までラビリルの情報を完全に遮断していたが先程の試合くらいは見れば良かったな、何も出来ず死ぬところだった《ヒール》」
新鮮な私って意味が分からないんだけど……。
そしてこの人、そういえば回復魔法使えるんだった。
「そのゴミを見るような目も素晴らしいがそろそろ狂気的な笑顔も見たいぞ!」
エスクードさんは爆発で飛ばされた大盾を拾って私に向かって構えている。
だから狂気的な笑顔なんて私はしてないから!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます