第22話 運営の監視とユニークウェポン

ここはティニットを管理するある場所。


「よし、破壊少女の武器はこんなもんか」

「これ、流石に強すぎませんか?」

「――あんな低レベルで倒されたんだからしょうがないだろ……」


我々は第一回イベントの準備や例の破壊少女のボス撃破報酬でバタバタであった。


「例の少女含めユニークスキルの全体調整とかはどうします?」

「下手に調整する訳にはいかないし今回のイベントを見てからでもいいだろう」

「まだ公にユニークスキルは公開されてないですけど今回のイベントでだれかしら使いますもんね」


明らかにユニークスキル持ちと一般スキルだけのプレイヤーとでは格差がある、勝てないわけじゃないと思うが一部のプレイヤースキル化け物勢だけだろう。


「今後は対人戦イベントもやっていきたいから何かしら弱点を追加しないとだな」

「他の一般スキルも強すぎるやつは弱くして、逆に弱すぎるやつも調整を入れていかないとですね」

「イベント時にはユニークスキル持ちは全て監視しておくとして高レベルプレイヤーも見ておくか」


監視する予定のリストがズラリと並ぶ。


「ん?このプレイヤーレベル58だと?こんな短期間でここまで上げられるか?」

「うわ、ちょっと怪しいですね……」


全プレイヤーのレベルを調べてみる。


ラーズ Lv58

エスクード Lv26

あるふぁ Lv24

アルテナ Lv24

闇 Lv24

サーリア Lv23

ラルグ Lv23

・・・

・・


1人だけ飛び抜けてレベルが高い。


「今ログインしてるのでその怪しいプレイヤー映します」


それをみた誰かがラーズとかいうプレイヤーをモニターで映してくれた。


映されたプレイヤーは至って普通の剣と鎧を纏った青年だった。


「今戦っていますが特に動きは普通ですね」

「ああ、スキルやステータスもいじられた形跡はない……だが流石にこのレベル差はおかしい」

「26レベルのエスクードはほとんどログインしていてあのレベルですし」


今のところは怪しいというだけだが最要注意プレイヤーとしてイベントでは1番に見てやろう。


「黒と分かり次第即banだ」

「チーターはゲームを衰退させますからね、せっかく新規プレイヤーも続々とティニットに来てくれているんですから」


新規だけではなく上位のプレイヤーも居なくなってしまう。


「引き続きこいつを監視しつつイベントでバグなどが無いか確認するぞ」

「了解です」


第一回イベント開催は近い――


◆◇◆


「ん?またメッセージ来てる」


お昼ご飯を食べてからまたログインするとメッセージが来ていた。


今回は運営からだった。


『ラビリル様、いつもティニットをプレイしてくださりありがとうございます。ボスの撃破報酬をアイテム欄に贈りました。こちらの不手際で遅れてしまい申し訳ありませんでした。これからもティニットをお楽しみください。運営より』


「そういえばボス撃破報酬のこと忘れてたよ、何が贈られたんだろう?」


アイテム欄を開くと見知らぬアイテムが2つ増えていた。


深黒の短剣……全ステータス(HP、MPを除く)5上昇、セットスキル《断罪》を取得、譲渡不可、破壊不能


サブウェポン解放リング……アクセサリー欄、武器欄を1枠増やす、セットスキル《暗器》取得、譲渡不可、破壊不能


「えぇ……セットスキル付き装備品じゃん」


そもそも全ステータスアップって……私専用の武器みたいだけどこんな強いの使って大丈夫なの?


《断罪》……発動時に指定された箇所を攻撃すると必ず倒せる、範囲は自身を中心に半径10m(MP消費無し、クールタイム1時間)(指定された箇所は対象者にも見える)


《暗器》……装備された武器は手に持つまで表示されない


「うわぁ……一撃必殺スキルだ、あんまり使いたくないなぁ」


一撃って事はすぐに壊れちゃうって事で私的にはすごく嫌なスキルだ。


「《暗器》の方は2つ装備しているのがバレにくくて良いね」


2つとも装備してみるとずっと手に持ってる判定なのかグローブは消えないが腰付近にあるだろう短剣は綺麗さっぱり見えない……けど何故か場所は分かる。


装備しているからなんとなくだけど分かる設定にしてくれたのかな?


そして短剣を手に持って鞘から抜いてみると全体が全て深い黒色の短剣が現れた。


「めっっっちゃカッコいい!小さめだから振り回しやすい!」


森でブンブンと短剣を振り回したりすぐそばにあった木を切り刻んだりしているとウルフが現れた。


「早速試してみよう《断罪》!」


《断罪》を使うと目の前にいたウルフのお腹?部分が赤く光った。


ウルフはいつも通り突進のモーションを取り始める。


「そこぉ!」


見慣れた突進を避けてから光っているお腹部分に短剣をぶっ刺す。


「おお!一撃……いつもは数発殴っても生きてるのに」


刺されたウルフはバタリと力無く倒れて砂のように消え去っていった。


「レベル上げには良いかもね」


いや、クールタイム1時間だからレベル上げ出来ないか。


ちなみにパラは遠くの方でウルフをムシャムシャ食べていたよ。


最近、勝手にスキル使って、勝手に敵を倒して、勝手にレベル上げしてるんだよあの子。


「自由だねぇ」


私はパラに近づいて抱きついた、何故か私にも麻痺粉をかけてきたがそれも愛嬌でしょう。

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