第16話 キングゴブリン戦

「あっボスゲート!」


話しながら歩いていたのでそこそこの時間がかかったがやっと大きなボスゲートが見えてきた。


「そういえばずっと気になっていたんだけど」

「ん?何?」


私はパラを、ベルテはサフィを抱きながら歩いているとベルテがちょんちょんと私の視界の隅っこを指差す。


「自分のHP見てみたら?」


指を差している場所はちょうどHPがあるところ……って私ずっとHP減ったままじゃん。


パラによるお腹トランポリンでHPが削られてたのをずっと忘れてそのままだった。


「話し込んでいて忘れてたよ!ポーションポーションっと」


ごくごくと回復ポーションを飲み干す、甘くて美味しい。


なんかちょくちょく飲んでいたから無くなりそうだしアルマさんが私の装備直し終わった時に買おうかな。


「さて、ちょっと並んでるね」

「あっほんとだ」


ボスゲートの前には少し人がいて順番待ちをしていた。


「仕方ないからサフィを送還して……ごめんね、また後でモフるから」


そういえば魔物使いは隠すんだっけ。私、街中で普通にパラ抱えて歩いてたんだけど……今更感あるけど隠すかー。


「パラも一度送還するね」


シュンとパラがいなくなりずっと抱いていたので胸元が寂しくなる。


ボス部屋に入ったらまた召喚しよう。


そう決めてボス待ちの列に並んだ。


「なんかみんな4人組で並んでるね」

「そりゃ最大4人までパーティ組めるんだから組むでしょ、ボス戦なんだし」


人数が多いほど勝ちやすいからか。


「そういえば聞いていなかったんだけどベルテ本人はどんな武器使うの?」


ベルテは今の今までずっと素手だったからどんな戦いするのか分からない。


道中の戦闘も私が全て1発殴るだけで終わってたし。


「今更感あるけど杖で水属性の魔法だよ」

「おお!魔法!私も使ってみたいかも」


魔法ってどうやったら使えるようになるんだろう。


「ボス倒したら教えよっか?魔法の覚え方」

「いいの?!」


MPは《疾風》しか使わないし有り余ってるんだよね、それに今は使えないし。


一応破壊モードも使うけどあれ全部使うしMP少ない状態で使っても効果変わらないもん。


「誰でも知ってるから良いよ」

「やったぁ!あっ……でも今日はボス倒し終わる頃には夕方で終わらなきゃだし明日は学校だから夜出来ないかも」

「なら明日だね、そういえばフレンド登録してなかったからしようよ」

「あ!うん!」


『ベルテとフレンドになりました』


おおっ!これでフレンド欄が2人に……。


「今更だけど凄く良い見た目の装備してるよね」

「可愛いでしょ。この前のボス戦で装備が壊れちゃったから代わりのやつ貰ったんだ」


くるりと回ってドレスを見せる。


「動きにくく無いの?」

「それが案外、動きやすいんだよね」

「へぇ」


ゲームだから動きやすいのかアルマさんの装備が特別なのかは分からない。


「ラビリルが可愛いから皆んな見てるよ」

「装備が珍しいだけでしょ」


元々前の疾風シリーズの頃から見られてることには見られてたし……そもそも初期装備の頃も私、見られてなかったっけ?なんでなんだろう?


"噴水を壊していたからです"と見ていたプレイヤーは口を揃えて言うだろう。


「やっとボスに挑めるー」


しばらく並んでいるとやっと私たちの出番が来た。


「私たち出会ってからずっと雑談ばっかりだよね?最初は喧嘩だったし」

「あれはベルテがパラの悪口いうからだよ」

「いや誰でも初見であの見た目で近づかれると思わず遠ざかるって……」


私は最初に出会った時も自ら近づいたからそんなことないと思うよ。


ガコンとボスゲートが開き始める。


「近くで見るとこの扉、迫力があるから緊張する……」

「私は2回目だし特になんとも無いかなぁ、そもそも1回目も緊張とか無かったよ」

「そう……」


私たちはボスゲートの中へと入っていった。


「ここがボス部屋……?」

「前と同じ感じだね、ボス部屋の形は変わらないのかな?」


ドスンと大きな地響きが聞こえる。


キングゴブリン Lv5


「王冠を被った大きなゴブリンだね、王様だー」

「そんな呑気な事言っている場合じゃないから!サフィ召喚!」


ベルテの前にサフィが現れる。


「サフィ!《ファイアボール》」


サフィが炎の球をキングゴブリンに向かって放つ。


「嘘!ほとんど効いてない?!」


キングゴブリンは少しやけど?みたいな跡があるだけであまり効いていなさそうだった。


攻撃されたキングゴブリンのヘイトはサフィに向く。


「サフィ、危ない!避けて!」


キングゴブリンの大きな棍棒がサフィに向かう。


「パラ召喚、サフィを守って」


私はパラを召喚してサフィとキングゴブリンの間に投げる。


「扱いが雑!」


ベルテがなんか叫んでいる。


上手く間付近に転がり立ち上がったパラは見事にキングゴブリンの棍棒がヒット、勢いよく吹っ飛んでいった。


「おー飛んだ飛んだ、すっごい飛んでったね」

「そんな事言ってる場合?!大丈夫なの?!」

「大丈夫大丈夫、あんな攻撃パラには効いてないって」


ただの打撃攻撃ならパラは絶対に死なない、ただ毎回吹っ飛ぶから2度目は守れないのが難点である。


サフィはちゃっかり後ろに下がっていてキングゴブリンから離れていた。


「《ウォーターボール》……やっぱり私の攻撃じゃほとんどダメージがはいっていないよ」


ベルテが自分自身で魔法を使いキングゴブリンにぶつけるがレベルが足りないからかあまり効いていなさそうだった。


「うーん、パラに食べさせようと思ったんだけどよく考えたらさっきMP使っちゃったから無理じゃん」

「食べ……?パラに口なんて無くない?」

「まあまた今度見せるよ」


パラの食べる姿見たら驚くぞー。


「よし、時間も時間だし速攻で片付けちゃおう!」


私はキングゴブリンに向かっていった。

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