第15話 パラの嫉妬とお金は正義

「ちょっと!レベル14って最前線プレイヤーじゃん」

「あはは……なんか成り行きでこんなレベルに」


ところで最前線プレイヤーってなんだろう。アルテナさんの事かな?


「そうだ確かラビリルって……現状最高難易度のエリブミの森をソロで攻略した人の名前がたしかそうだった」

「そんなに有名なの?別に普通に森で戦ってただけだよ」


私は森で戦っていた経緯を説明した。


「いや、始まりの草原が混んでいたからってなんで最高難易度の場所に行くの……」

「適当に行った場所があの森だったんだよね」


あの時はまさかそんなに強い場所なんて思ってもいなかった、ちょっと推奨レベル高いなーとかウルフ速いし数多いなーとか。


「これボス倒しても寄生にならない?」

「寄生?あー確か弱い人が強い人に着いて行って楽に育ててもらうみたいなやつ?私が一緒に行こうって言ってるんだから大丈夫だよ」


私はボスゲート教えてもらうんだしおあいこだよ、多分。


そんな事言う奴いたら私が拳で破壊してあげる。


「それなら良いんだけど」

「そうだ、ボスゲートまで暇だしお互いどうやってペットを手に入れたか教え合わない?」


青い猫をどうやってペットにしたか気になる、そしていずれは私も手に入れてもふもふを……。


「ペットじゃなくて仲間って言いなよ……まあ良いけどラビリルの抱いてるパラなんか震え始めてるんだけど大丈夫?」

「え……ちょ!」


ベルテのペットのサフィを眺めていたからパラの麻痺粉のモーションに気づかなかった。


ベルテが言ってくれた時には既に遅く辺り一面に黄色い粉が振り撒かれた。


「何?この黄色い粉!ラビリ――」

「あーもう間に合わ――」


私は全てを諦めて麻痺を受ける


パラを除く私、ベルテ、サフィがパタリと横に倒れて動かなくなった。


HPの横にはいつものごとく麻痺の文字、そしてパーティによってベルテのHPも見えるがもちろんベルテの方も麻痺の文字が表示されていた。


「ラビ、リル……これ、は、どう、いう、こ、と」

「ごめ、あう、パラ、げふ、スキ、ル……」


うつ伏せで倒れた私を蹴って仰向けにしたパラは私のお腹でトランポリンを始める。


1ポヨン毎にHPが1ずつ減っていくのだが麻痺が治るまでに死なないだろうか……。


一応、パラも手加減しているとは思うが筋力が高すぎてただ優しく跳ねるだけなのにダメージを受けていた。いや、私の防御と相殺してなんとかダメージを1に抑えているのかもしれない。


そして数分が経過……。


『《逆境》が発動します』


HPが3割になったところで防御が2倍になりパラのトランポリンダメージが0になる。これで死ぬ心配は無くなった。


「あのーパラ?もうモフろうとか考えないから許してって」


なんかだんだん麻痺に慣れてきた気がするんだけど、普通に喋れるようになったし。


それにしても前食らった麻痺よりパラの賢さが高くなってるから効果時間が長いよ。


『スキル《麻痺耐性(小)》を取得しました』


「おっ動ける!」


ついに麻痺耐性を手に入れてしまった。


「ごめんね、ベルテ……巻き込んじゃって」

「せつ、め、い、して、よ」


未だに麻痺に侵されているベルテに状態異常回復ポーションを飲ます。


「パラ、サフィに《回復粉》」


モンスターにポーションは効くか分からないのでパラが治す。


「ふう、酷い目にあった……」


麻痺から回復したベルテ。少し、いや結構怒っている気がする。


「さて、説明してもらいましょうか……!」

「あの、はい……」


私は何故か他のモンスターの事を考えるとパラがスキルの麻痺粉を撒き散らすことをベルテに説明する。


「はあ……ちゃんとお世話しないとダメだよ?もしあの状態で他のモンスターきたらやられるからね!」

「ほんとすいませんでしたー!」


ベルテお姉様に土下座する中、パラは私の横でコロコロ転がって遊んでいた。


「これで許してください」


私は3000Gを手元に取り出す。


「………仕方ないね、うん、今度からは気をつけるんだよ」


笑顔であっさりと許してくれた、やっぱりお金は正義なんだね。


お金を受け取ったベルテはご機嫌になりパラがやらかす前に話していたお互いどうやってモンスターを仲間にしたのかを話し合った。


「私は元々動物が好きで何かペットを飼いたかったんだけどね、家族がペットを飼わせてくれなくてゲームでなら動物と遊べると思ってこの世界にきたんだよ」


物を壊したくてこの世界にきた私とちょっと似てる?いや全然違うか。


「でも実際はどう頑張ってもモンスターとは触れ合えなくて触ろうとすると飛ばされたりしてすぐやられちゃったんだ」


あーウルフくんもレベル1の私に容赦なく腕を食ったもんね。あれは痛かった。


「だからなるべくやられないように防御にステータスポイントを全て振ったり、人がいると恥ずかしいから遠くの人がいなさそうな場所で一角ウサギをもふりながら死んでを繰り返していたんだけど」


低レベルならステータスポイント振り直し出来るもんね。


「ある日というか昨日の深夜にこの子に出会ってね、ゆっくり近づくとすぐに逃げようしたんだよ。私は俊敏がほとんどなかったからめっちゃ遅かったんだけどこの子もあんまり俊敏がなかったみたいで何とか追いかけられたんだ」


猫なのに俊敏無いんだ、見た目速そうだけど魔法を使うっぽいし賢さが高いのかな?


「なんとか追いつくとこの子が振り返っていきなり飛びついてきたから思わず抱きしめちゃったんだ。」


分かる、こんなもふもふが寄ってきたら抱きしめるよね。私ならそのまま締め潰して壊しちゃう。


……なんかそんな事、考えていたらサフィを締め潰したくなってきた。流石に我慢、我慢。


「抱きしめている間、私に頭を擦り付けて全く攻撃して来なかったんだよ。とても可愛くてこの子欲しいって思ったらいきなり仲間がなりたそうに……っていう通知がきてね」


おお!私と全然ちがう!私とパラはずっと攻撃し合ってたもん、途中から戯れに変わってたけど。


「なるほど!そうやってサフィはペットになったんだね!」

「次はラビリルの番だよ」

「そうだね、私はね――」


私はベルテにパラとの出会いを話した。

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