第13話 私、ドレスを着る
「いらっしゃい、あなたは2人目のお客様だよ……ってラビリルじゃないか」
人気のない路地裏にあるアルマさんのお店に入る。
2人目のお客様って……私しかこのお店に入ったこと無いんだ……。相変わらず人がいないとは思っていたけど。
ちなみにパラは一度送還しているのでここには居ない。
「あの、ごめんなさい。装備壊れちゃった」
穴の空いた疾風の装束(上)をアイテムボックスから取り出して見せる。
物が壊れて悲しかったのは初めてかもしれない。
「いやいや、例のボス倒したの知ってるから!そんな謝らないでって」
「でも……」
沢山物を壊してきた私だけど家族以外から貰った物を壊したことはなかった、いや一応買った物だけど明らかにおまけしてもらった装備品だったし。
「装備品は壊れる物だから大丈夫だって」
「ありがとう。これ直せますか?」
《疾風》スキルは私のお気に入りだった、破壊モードでも同じようなことは出来るけどあれは24時間に1回だけしか使えないしなにかと使い勝手が悪い。だからまた使いたい。
「完全に消滅したわけじゃない破損状態だから直せるけどこれよりもっと良い装備品作ろうと思えば作れるよ?」
アルマさんがそう言ってくれる。
「気に入ってるのでこの装備品が良いです!お金はいっぱいあるので宜しくお願いします!」
私は頭を下げてお願いした。
「おっけ、じゃあ直してみるけどどうせならもっと強くしたいね……例のボスとか他のモンスターの素材ってまだある?」
「沢山あります!」
アイテムボックスにはウルフやらポイズンビーやらの素材が沢山あった、もちろんジャイアントトレントの素材もある。
特にウルフの素材がありすぎてそろそろアイテムボックスの容量が満タンになる所だった。
「直す時に色々手を加えたいから少しだけ素材をくれない?フレンド登録すれば素材を送れるからしよう」
「は、はい!」
フレンド登録……初めてだ。
ピロンとアルマさんとフレンドになった通知がなる。
「じゃあ素材送ります」
少しって言ってたけど沢山あった方が良いよね?よし!全部あげちゃおう。
「ラビリル?こんなに送らなくてもいいよ?」
「私は要らないので余った分はあげます!」
ラビリルは知らないが現状、最前線ですらほとんど持っていないであろう素材にさらにレアドロップ素材なども全て送っている。
「これだけ貰っちゃったら頑張るしか無いね……」
途方もない素材の量をアイテムボックスで眺めるアルマ。
「あっ!疾風シリーズ全部渡した方がいいですよね?どうぞ」
私は初期装備の格好になってからその他の疾風シリーズを渡す。
「あっうん、完成したらフレンドチャットで連絡するから……っとその前に初期装備じゃなんだか悪いからこれあげるよ」
アルマさんがポチッとアイテムボックスを操作して綺麗な青いドレス?や青い靴を取り出した。
「あと武器の耐久も限界そうだしそれよりは性能落ちるけど武器もあげるよ」
アルマさんはさらに青い宝石のついたナックルを取り出した。
「こんな凄そうな装備品貰っちゃっても良いんですか?」
疾風シリーズも直してもらってこんな良い装備品まで貰うなんて悪い気がする。
「凄い量の素材もらっちゃったからお礼って事で遠慮なくどうぞ、それに今更だけど僕に敬語なんてしなくていいからね」
どうぞどうぞと渡されて断りきれず私は受け取ってしまう。
「じゃあ……」
早速と貰った装備品を装備する。ドレスなのに動きやすくて戦闘の邪魔になったりはしなさそうだ。
「うん、僕の思った通りとっても綺麗だよ」
「そう?」
しかしドレスなんて着たことないからちょっと恥ずかしい……。
「アルマさん、私、南にあるエリブミの森しか行ったこと無いんだけど他の場所って何かある?」
「そこ現状最難関の場所なんだけど……そこより強い場所は無いけどそれでも良い?」
どうやらエリブミの森が1番難しい場所だったらしい。
「うん、他の場所のボスとかも見てみたい」
「北に始まりの草原、西に試練の塔だね。東はまだ未実装なのか透明な壁があっていけないよ」
始まりの草原……確かめっちゃ人がいてすぐに引き返した場所だったっけ?ボスなら挑めるかな?
「じゃあまずは始まりの草原に行ってきます!」
「あはは、ラビリルなら大丈夫だと思うけど気をつけてね」
死んじゃったらデスペナルティあるし気をつけよう、今は破壊モードも《疾風》も使えないしね。
私はアルマさんのお店から出てゆっくりと始まりの草原へと向かって歩いた。
「ところでこのドレスとか靴の性能ってどのくらいなんだろう?」
装備
武 マジックナックル 筋力1 賢さ3
頭 なし
胴 シンデレラドレス 防御8
腰 ――――――――
足 シンデレラブーツ 防御2 俊敏2
他 なし
なし
「確かに疾風シリーズよりは弱いけどこれも良い装備品だよね」
初期装備とは比べ物にならないくらい強いしいいね!
今も視線を感じるけど珍しい装備ってだけで数日も経てばみんな私なんて注目しなくなるよね。
明日からは普通に学校あるから夕方からしか出来ないし。
そんなことを思いつつ歩いた。
ちなみにまた噴水が目に映ったので破壊しておいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます