第6話 私の経験値……
「疲っかれたー」
迷子の女の子を無事サービスカウンターまで連れて行き私はショッピングモールを後にした。
「それにしても飴ちゃんが一万円に化けるとは……」
サービスカウンターには女の子のお母さんではなくお手伝いさん?みたいな人がいてお礼にと一万円札を渡してきた。
最初は遠慮していたのだが貰わないともっと額が増えそうだったので貰ってしまった。
あの女の子はいいとこのお嬢様だったのかもしれない。やけに図太かったし。
「すっかり夕方になっちゃった、これはゲームできるの夜になりそうだなぁ」
日が沈み始め夕焼けで辺り一面オレンジ色である。
家帰ってご飯なり風呂なり色々と済ましてからやるとなると9時くらいになりそう。
「明日は日曜日だし徹夜でやり込むぞー」
駆け足で家まで帰った。
帰りが遅かったからちょっとだけ母に心配されたけど特に何も言われることはなくご飯やら色々済ました。
「ゲーム起動!」
スポッと頭にゲーム機を被りスイッチを押す。
視界が切り替わり目を開けると昼ぶりの街並みが見えた。
「ん?何か通知がきてる」
『ボス撃破のお知らせ!試練の塔でアルテナパーティがガーディアンゴーレムの初討伐に成功しました!おめでとうございます!』
「へーもう次のボスも倒したんだ」
このアルテナって人たちのレベルはどれほどなのだろう。2つもボスを倒すなんて凄い高レベルなんだろうなぁ。
「エリブミの森と試練の塔ってどっちが推奨レベル高いのかな?ヘルプ教えて」
『試練の塔の推奨レベルは10です』
ということはエリブミの森の方が推奨レベル高いのかー。ならレベルはあまり変わらないかも?
「うーん、今のレベル9だし先に試練の塔に行こうかな?でもフォレストマッシュにリベンジしに行きたいし……」
よし、エリブミの森に行こう。とりあえずボスに会ってみたいし。
ということで私はいつも通り噴水をぶっ壊してからエリブミの森へと向かって歩いた。
『スキル《格闘術Lv1》を入手しました』
数匹ウルフを倒すと何やらスキルが取れた。
《格闘術Lv1》…ナックル系等を装備時、筋力を1上げる。レベルが上がるごとに追加で筋力を1上げる。
取得条件…一定数ナックル系等でモンスターを倒す。
「単純に火力が上がったね、これじゃあウルフくんがもっと簡単に壊れちゃうよ」
ブーン
スキルを見ていると今度はポイズンビーが襲ってきた。
「毒消しポーション買ったからもう攻撃受けても平気だもんねー、とりゃ!」
まあ受けるつもりは無いんだけどね!
私は素早く避けて真横から殴り飛ばす。
「からの追撃!そして追撃!さらに追撃!」
もうボッコボコである。
『レベルが上がりました』
「あっレベルが上がった」
これでレベル10……死んだらデスペナルティがある。
「死なないように気をつけよ、特にフォレストマッシュ」
そういえば結構歩いているんだけどフォレストマッシュに出会わないんだけどあいつもしかしてレアだったりする?
「ああ!もう、ウルフくんはお呼びじゃ無いって」
ガサガサと草むらから出てくるのはウルフの群れ。
「そうだ、あれ使ってみよう《疾風》!」
すっかり忘れていたセットスキルを使ってみるとグンと身体が軽くなった。
「凄い凄い!」
ウルフの動きがとても遅く感じる。
一瞬でウルフの群れを壊滅させた私は楽しくなってきて次々とウルフの群れを探し回った。
そして疾風が楽しすぎて使いまくっていた、ウルフを倒した数は……覚えていない。
「《疾風》!…あれ?」
何度目かの疾風を使うが身体が軽くなる感覚がない。
『MPが足りません』
「あらら、そんなに使っていたんだ」
レベルも2つほど上がっていた。
「っとウルフくん不意打ち好きだねぇ」
ステータスを見ていたらウルフが後ろから噛みつき突進してきていた。
見飽きるほど見た攻撃が当たることはなく殴って吹っ飛ばす。
「あれれ?攻撃してこないの?」
まだまだ私はウルフを一撃で倒せる火力がないからいっつも突進してくるウルフにカウンターしたりしてダメージを積み重ねて倒していた。
しかしこの吹っ飛ばし転がしたウルフは立ち上がると私を見て少しづつ後退していく。
「あ"あ"!逃げた!」
初めてのことで困惑しているとウルフは急に逃げてしまった。
「私の経験値……」
『スキル《畏怖者》を取得しました』
『世界で初めて《畏怖者》を取得した者を確認――取得者の痛覚設定が100%であることを確認――取得者による建造物の破壊を複数確認――ユニークスキル《破壊者》を取得しました』
『スキル《畏怖者》はユニークスキル《破壊者》に統合されました』
「何?!凄いいっぱい通知きたよ?!」
初めてウルフを倒した時くらいピコンピコンと通知がなっている。
「畏怖者?破壊者?また物騒な名前のスキルだなぁ、それとユニークスキルって何?ヘルプー」
『世界で1人だけ覚えられるスキルです』
ってことはこの破壊者は私しか覚えないのか……ふふ、私だけの特別なスキル。
続けてスキルの説明を見た。
《畏怖者》……視界にとらえた自身よりレベルの低いモンスターを萎縮させて動きを鈍らせる、さらに萎縮させた数が10体ごとにHP、MPを除く全ステータスを1上げる。
取得条件……誤差5レベルでかつ同種モンスターを一定数蹂躙する。
「え、めっちゃ強いけどこれ無くなっちゃったんだよね?ならこれより強いであろう破壊者って……」
私は恐る恐る破壊者のスキル説明を表示させる。
《破壊者》…MPを全て消費して破壊モードになる(クールタイム24時間)(発動ワード"破壊開始")
破壊モード発動中は気分が高揚し感情が昂る。
取得条件……世界で初めてスキル《畏怖者》を取得、痛覚設定100%、街の建造物を一定数破壊、三つの条件をクリア。
「う、ん?いまいち強さが分からないんだけど破壊モードってなに?」
破壊モードの説明部分をポチポチ押したらちゃんとした説明が表示された。
"破壊モード"……自身のステータスを収束させ攻撃時には筋力、移動時には俊敏に集まる。ただし収束時その他のステータスはHP、MPを除き全て0になる。
目視した対象(モンスター、プレイヤー問わず)が自身よりレベルが低い場合、萎縮させて動きを鈍らせる。萎縮させた数が10体ごとにHP、MPを除く全ステータスを1上げる。この上がったステータスも破壊モードにより収束される。
自身に敵対している対象(モンスター、プレイヤー問わず)が多いほど全ステータスが上がる(1体につき1上昇、上限無し)
さらに両手で触れた物体(装備品、建造物問わず)に破壊の呪いを付与する。
破壊モードの継続時間は10分、ただし対象(モンスター、プレイヤー問わず)を破壊する度に1分増加する
「うわぁ……え?これ大丈夫?運営さん大丈夫?」
ゲーム初心者でも分かる、これは強すぎ。
「とりあえず運営さんにメッセージしといてもうちょっとスキル内容見てみようか……この破壊の呪いとか」
破壊の呪い……これを受けた物体は10秒間耐久値が1になる。10秒後には呪いが消える。
「へぇ、装備品とか耐久値なんてあったんだ…って私のホワイトグローブ大丈夫かな?結構使ったけど」
ホワイトグローブ耐久値 365/650
「良かったまだ大丈夫だ」
この後はこの物騒すぎるスキルをどうしようかとか考えていたらなかなかに遅い時間で眠くなってきたのでログアウトして寝た。
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