最終話 いつかの未来で
目が覚めるとそこは廃墟の中だった。草木が生い茂り、天井は崩れそこから光が差し込んでいた。
自分が何者なのか今まで何をしていたのかも、なにも思い出せない。目が覚めたばかりでぼんやりとした頭を動かす。
「ここは、どこだ?」
廃墟になる前はなにか偉い人の住む場所だったのだろうか、瓦礫と草木に埋もれながらもその広大な部屋はかつてあっただろう栄華の残り香を感じる。
体を起こしゆっくり立ち上がると外に向かって歩き出す。
「誰かいますか~?」
廃墟の中を進んでいると、差し込む光の中に人影が見えた。
「あの、すみません」
その人がこちらに気が付いたため声をかけようとすると、振り向いたその顔にどこか懐かしさを感じた。なぜかずっと会いたかったはずなのに、それがなぜなのか何も思い出すことができない。
焦るこちらの気持ちに気が付いたのか、その人は穏やかな顔をして微笑んでいた。
「あなたにもう一度会えるのを、待っていましたよ」
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