プロローグ
「以上が今週のレベル1、
会議室。
木製の長いテーブルが組み合わされ、数字のゼロの形に並んでいる。
すると、空中に立体的なヴィジョンが浮かび上がる。
SF映画などに見られるホログラム技術だ。
地上では空想の産物とされている
彼はそれを使い、様々な年齢層の男女に何らかの支持を出している。
「先月、
中年男はそう支持を出すと、空中に浮かんだホログラムを閉じ
自分たちの部下は優秀だ。
問題は全て解決できた。
今月もこれで
地上の人類は、問題なく愛を
地上の人々の幸せな光景。
実に天使
そう――この男は人間ではない。
彼は、天使と呼ばれる別次元の生命体だ。
地球に住む人々の運命を管理している。
罪もない人間が、不幸に会うことのないように。
幸せな人生を全うできるように。
たとえそれが叶わなくても、来世で幸せになれるように。
常に地上に目を光らせ、愛の種を見守っている。
「ふう、今月も無事に終わりそうで何より。来月もこの調子で行くといい――」
――ヴィーッ! ヴィーッ!
――ヴィーッ! ヴィーッ!
「何事だ!? 報告を!」
「か、課長-ッ! 大変です! 数十年ぶりに超巨大バグが発見されました! レベルは4! やばいです!」
「何ィーッ!?」
課長の全身が
レベル4はまずい、本気でやばい。
今すぐ対処しなければ、地上の人間の命に関わる。
「場所は!? 発生した場所は
「場所は日本の東京都! 対象者は17歳の高校生です! アカシックレコードに異常が出てます!」
アカシックレコードの異常……その人間が送るべき運命に大きなひずみが生じている。
しかも規模はレベル4……最悪だ。
本来幸せに過ごすはずの、何の罪もない人間を
今すぐ対処しなければならない。
「バグの種類は《ヴォイド》、あらゆる恋愛フラグを無かったことにしてしまう、文字通り《
「ヴィドか……また厄介な!」
バグを修正するために必要なことは、バグの発生源の人間と正常な誰かを運命で結びつけ、恋愛的な幸福を用いて修正すること。
しかし、ヴォイドではそもそも恋愛フラグが立たない。
まともな手段では――の話だが。
「兵器の使用を許可する! 担当区域の天使は急行し、対象者と協力して事に当たれ! 以上だ!」
「了解!」
この日、この時――1人の天使が地上へ急行した。
彼女の名はキズナ。
この課に配属されたての……新米の天使である。
--------------------------------------------------------------------------------
《あとがき》
10年以上前に書いた作品のリメイクです。
デビュー前に書いたもので、新人賞で高次に残りました。
自分がプロデビューするきっかけというか、作品作りの転機になったものなので、今でも結構気に入っています。
よかったら読んで行ってください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます