第17話 ハーレム
母二人は後ろから入れないので、一緒に入り口から入って、道に出るモンスターをアイちゃんと二人で蹴散らした。
僕は武器を使わず、衝撃波を乗せた蹴りとパンチで倒す。
以蔵も風切羽を高振動ブレード風に出来る。
やるとボロボロになってしまうので、いざと言う時の必殺技。
ダンジョン内なら、羽根くらいは時間経過で治るけど。
マスターのスキルは、ファミリアが使える場合がある。
マスターが射撃を持っていても、角などのないモンスターは射撃できない。
ファミリアのスキルをマスターが使えるようにはならない。
我儘な子がない物ねだりをする。
「衝撃波欲しい。スクネが使うべき」
「9キロエリアにいるぜ。二人とも普通に戦力として入れる」
入るだけでいいので、お義父さんは僕を入れたがる。
「来年の目標ができた」
「学校行こう」
母二人が空跳を取っても、三人とも帰らずに一週間ほど温泉に浸かる。
お義父さんに、速射も二人に入れてくれるように頼まれた。
「社会不安を起こすといけないから、公表はされてないが、1年に1分くらいファミリアをダンジョン外に出して置ける時間が長くなってる。何が起きるかわからないから、出来る用心はしておきたい」
ダンジョンからの距離で出しておける時間が変わるかとか、地味な実験もずっとやっていたそうだ。
スタンピードの可能性が、ないわけじゃないと。
可能性だけなら、地球全体にモンスターが溢れたままの、ポストアポカリになるのもありうる。
次は小姉が田宮さんを連れて来た。
佐藤兄も一緒。いつの間にかそうなっていたようだ。
田宮さんにすずと呼んでと言われたので、ズズちゃんと呼ぶことにした。
女の子同士ではそう呼ばれていた。今もそう呼ばれているはず。
学校行ってないから確信はない。
三人で小の字になって寝る。当然僕が一番でかいよ。
一度やってしまえばなんでもなかった。これが日常になる。
一緒に食事をするレベル。
フュージョンした所為で、精神的に改造されたんじゃないかと思う。
遺伝子改造なわけだし。
ずっと一緒にいたいので3級が欲しいと言うズズちゃんを後回しにして、小姉と佐藤兄を済ませる。
小姉のファミリアは黒ジャガーネコのマスミ。
マミちゃんて呼んでる。じゃあ、マミちゃんで良かったんじゃないの?
二人が終わって、タラオとミャーちゃんが来るまで、少し時間が空く。
隙あらば偉いさんの子や孫がやって来る。ま、しょうがない。
タラオとミャーちゃんは実質婚状態だった。こっちは初期ハーレム状態だが。
タラオに空跳を入れて、一緒にピョンピョンしていたら、マッハに空跳が生えた。
「マスターが戦闘系だからか。普通はテイマーだとないし、あっても結構かかるんだよな」
お義父さんによれば、ないことじゃないらしい。
ファミリアにスキル持ちのモンスターを獲らせた方が早いそうだ。
アイちゃんの友達はカップル2組、余り1。
15歳で妊娠を前提に付き合っている方がおかしい。
全員速射と機敏は入れておきたいので、やるなら春休みを空けておいてもらう。
ミャーちゃんはやって来た冬毛のリスを、明るい灰色にして銀二と名付けた。
素早いし仕事が出来る。
犯罪者じゃないかなんて言うと、以蔵がやさぐれるので止めてあげて。
銀次じゃないし。
浄化師組は、もう学校にはいかないで適性値上げをしているので、進突は兎も角、速射と機敏は入れて欲しいとのこと。
ハーレム入りの無理強いはしてこない。むしろ、僕の処に浄化師が固まってしまうと使い勝手が悪い。
既に6人とも3級オーブが入っていて、速射と機敏が取れたらファミリアを獲りに行きたいらしい。
「その後、フュージョンモンスターはまたお願いしたいのです。やはり、飛べるレアなのが良いかと」
引率してきた少佐に頼まれる。
8キロエリアの回し車をさせるにも、自衛が出来る戦闘力は欲しい。
普通のフュージョンモンスターならいくらでも出て来るだろうけど、特別意識があって、変わったのが欲しいらしい。
「ブルーレイヴンなら、一番なのですけど」
国内トップの初期値44の、第二夫人候補だった
「これは、9キロエリアのレアモンらしい。もう、8キロじゃ出ないと思う。9キロだと戦闘がかなりきついんじゃないかな」
「赤鷲は出るんですか」
次善の策としては、そうなるか。
「行ってないから判らない。アヌビスとは別の、シフトモンスターの高級量産機が出るかも」
「それも、いずれ確認して頂けませんか」
「3級獲れたら行ってみようか。もう学校は諦めたから、4月まではやれそうなことはしてみるつもり」
マサから、僕の友人と言うだけでハニトラが凄いことになっているとSOSが来ている。
キモい刃物オタクで、女の子には洟も引っ掛けられなかったのに。
ズズちゃんを受け入れてしまったので、チャンスがあると思われて、僕本人はもう学校に行けない。
空跳を取ったら、他にする事がないと言って、二村が寝床に入ってきた。
無抵抗のズズちゃんは兎も角、アイちゃんも当然のこととして受けいれる。
先の話をリーナが始める。
「ファミリアは飛べる猫がいいんですけど」
「それは7キロにいるただのモンスター。ファミリアにはいないんじゃないか」
「出してくれません?」
「僕が出してるわけじゃない」
「北大谷の、5か6の回し車はどうかね、と思った」
アイちゃんはなんで余計な事を言うんだよ。
関係者全員が速射と機敏を取ってからの話なので、今どうこうでもない。
浄化師6人が終わる前に、マサが50になったので、呼んでやった。
ファミリアは冬毛のニホンモモンガだった。SSRくらい。
きれいな灰色にしてアッシュと名付けた。
「正面から見たモモンガの可愛さは、異常」
「横から見ると、目がでか過ぎて不気味」
「なこたあない、どっから見てもモモンガは可愛い」
「エゾモモンガを出して下さい」
「僕が出してるわけじゃない」
ごやごちゃ言っている間に年も押し詰まり、帰ってもすることもないので、熱海で年を越した。
松の内が明けたら、大天狗山の5,6エリアの回し車を回してみる。
年明けまで僕が動かないと判ったので、浄化師は散って行ったが、一人は沼津が地元で、ダンジョンに入り続けるそうだ。
地味な努力をダンジョンは評価する。
タラオとミャーちゃん夫婦も熱海で採集と軽い討伐をしている。湯河原へ行くなら、かえってまた来るより手間が掛からない。
他人が働いているとのんびりできない。一回死んだおっさんだったんじゃないかと思えて来る。
三が日が明けたら、大天狗山に入ってしまった。
6キロの回し車なら、もう軍の護衛は必要ないのだけど、何が出て来るか判らないので、3級従魔希望者、フュージョン希望者、シェイプシフト希望者各2名が同行した。
出て来たのは空中を走る山羊だった。
「フュージョンモンスターです!」
フュージョン希望者の女性が、声を潜めて興奮気味に言う。
ファミリアは4級の短毛の三毛の大猫。
「獲りますか」
「やらせて下さい」
隠れマントを脱ぐと、猫を背負う。
走って行くと、山羊が向かって来た。
猫が跳躍して山羊の頭を狙う。
驚いて見てしまった山羊を、マスターが撃った。
足が止まった山羊が落ちる。
猫は空中で体を捻って、きれいに着地。
落ちるのに合わせて山羊の脇の下を撃って、猫が顔に飛び付いた。
角を持って、後ろ足で目を塞ぐ。
猫を振り落とそうと頭を振っている隙に、マスターが突進して、脇腹を突き刺した。
後ろ足で立ち上がった山羊が猫を振り落としたが、再び華麗に着地。
一旦抜いた射撃用の槍を首に刺し、気弾を撃った。
武器が痛むのだが、人生が掛かっていると言って良い勝負である。
結晶になって崩れた山羊から、深緑の珠が出た。
髪の毛が黒と茶の斑の短毛に変わる。角は生えない。
瞳孔は丸いままだが、虹彩が黄色になり白目がなくなった。
「天駆持ちでした。変身すると角が出せます」
山羊が好きだったらしくて、嬉しそう。
強突の上の剛突も持っていた。
もう一人のフュージョン希望者は、鳥か猫を期待していたので、山羊はいらないという。
自分が山羊になりたい山羊好きはここにはいなくて、他所にはいたが午後には間に合わなかった。
モンスターとの差があり過ぎるとスキルが出ないので、アイちゃんが生身で挑んだ。
スクネがいれば大丈夫だろう。
正面から空跳で迫るスクネを迎え撃とうとした山羊を、アイちゃんが撃つ。
怯んだ隙にスクネの回し蹴りが顎に決まった。
ウサギの蹴りじゃないが。
足が止まって落ちた山羊にもう一発撃ち、降って来たスクネが蹴るわ、突進したアイちゃんが刺すわで、一方的に仕留めた。
この二人の狩りは絵面が酷い。
出たのは剛突だった。
「なんでよ、明日もう1回する」
「山羊希望者がいなければね」
1日待てば、いくらでもやって来る。
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