第2話
階段を上がり扉を抜け薄暗い廊下を抜けると煌びやかな場所に出た、そして流されるままに歩いていくと一つの列に案内され、俺は大人しく並びに行く。
燈子は俺の後ろに引っ付いて離れようとしない。引っ付かれながら人が部屋に入っては出ていくのを無言で眺めていると俺の番が回ってきた。
「次の方どうぞ」
「んじゃ先行ってくる」
鎧を着た男に誘導され部屋の中に入る、その前に燈子と軽く話をした後、俺は部屋に入っていく。心配そうな顔でこちらを見つめ、落ち着きがない様子を見せられると行きたくなくなるけれども今はどうにもできない、頑張って耐えてもらおう。
…部屋の中に入った俺は浮いてるクリスタルの様な物を見つける。どうやって浮いているのだろうか?俺は目の前の物質について考えながら歩いていく。
「こちらに触れてください」
鎧を纏った騎士に宙に浮いたクリスタルの様な物に触れろと言われた。その言葉に従い、俺はどんなことが起きるのだろう?と少しワクワクしながら触れようとする。
「あ?」
手を伸ばしそれに触れてみると視界に何かが現れる、そう、空中に文字が浮かんでいる。混乱と興味、どうなっているんだろう?これはどういう原理なのだろうと思うが今は気にしても無駄という事に気が付き考えるのをやめてよく見てみる事にした。
立花彦斎
種族・ヒューマン
加護・狩りの申し子 殺意の使徒
『剣使い』『軽業』『急所狙い』
これはゲームでいうステータスみたいなモノという事でいいのだろうか?
その割には筋力とか早さとか知力とかどこにも書いてないけど。
………少し考えた結果思ったのはあくまでどういう事ができるのか、どういう才能を持っているのかとかが見れるだけでゲームみたいにhpやmpを見れるわけじゃないって事なのかな、と思うんだがどうだろう?
「…ではこちらに」
俺が考え事をしていると横から見ていた騎士がついてくるように指示を出してくる訳だけど、とりあえず燈子に声かけてから行った方が良さそうだと思い俺は燈子の方に向かって行く。
「お先に、また後でな」
「…また後で」
そのまま騎士の方に向かうとすぐそばに一人のイケメン執事が立っていてこちらを見てお辞儀をしてきた。
「お初お目にかかります、立花様の身の周りの世話をさせていただきます。ウェインと申します、よろしくお願い致します」
「ああ、どうも」
「では部屋までご案内します」
どうやらこのイケメン君は俺の住む部屋まで案内してくれるようだ。しばらく豪華な廊下を歩く。ここは城なのだろうか?俺がイメージする西洋の城って感じだけど…
窓からは山が見える、と言うかこの城山に囲まれてるな。隠れ家的な感じなのだろうか?ここはアクセスが悪そうだな。
「こちらです、どうぞ」
そんな事を思いながら歩いていると部屋の前まで来ていた様でウェインが扉を開け、部屋に案内してくれている。
ウェインに従い部屋の中に入るとそこは思ったより質素な部屋だった、お城の部屋だし廊下も煌びやかだったからもっと豪華だと思ったんだけど…でもベットはダブルサイズぐらいの大きさだな悪くないぞ。
「そちらにあるベルを鳴らしていただければいつでも参ります、ご用件があるときはベルをどうぞ」
「わかりました」
「では、これを」
ウェインはそう言いながらどこからともなく透明なクリスタルが埋め込まれた金色の指輪を渡してきた。
これはもしかしてさっきのステータスを見るやつと同じものだろうか?
「指輪を持っている時に念じれば御自身の状態などを見る事ができます、先ほど触れていただいた物と同じものでございます、身分証明にも使いますのでなくされない様お願いします。では失礼いたします」
ウェインは頭を下げた後、部屋を出て行った。
一人の時間がやっと出来たのでゆっくりと考えよう、まずはステータスが一番気になるな。
立花彦斎
種族・ヒューマン
加護・狩猟の申し子 殺意の使徒
『剣使い』『軽業』『急所狙い』
ヒューマンは人間の事、加護は文字通りの意味なんだろうけど、誰が俺に加護を授けたんだろう?加護なんだから与えられたものって事だよな。これどういうものなのか見れないのかなぁ。
『狩猟の申し子』狩猟の神の加護、身体能力・五感あらゆる機能の向上
気配を察知したり気配を消せるようになる
遠くを見る事ができる様になる
すべての構造物、木や岩、巨大な壁などを無視して見通すことが可能
■■■■■■■■■■■■■________________________
『殺意の使徒』■■■■の加護、人に対して特攻能力を得る
「お、見れた」
黒く潰されてて見れないところもあるけどおおよそ理解できる、『狩猟の申し子』はとてもいい能力をしてるし『殺意の使徒』は物騒だけど悪くないだろ。後は『剣使い』『軽業』『急所狙い』についてだな。
『剣使い』剣を扱う才を得る。巧みな剣捌きが可能になる。
『軽業』軽やかな身のこなしが可能になる。
『急所狙い』急所の場所が分かるようになる。急所を突くとよりダメージを与えれる様になる。
こっちはシンプルでわかりやすいな。どれもいい感じじゃないか?悪くない。
試してみたいところだけど今は後回しにして…燈子は大丈夫だろうか?意外と弱虫だからなぁあいつ。
「…てか世界の危機ねぇ」
そうだ、そっちも気になるな一体どういう事なんだろう?あの者とか言ってたから誰かが世界を滅ぼそうとしててそいつ…もしくはそいつらと戦わないといけないんだよな。つまり殺し合い。
皆あの場で異論を唱えられるほど余裕がなかった、俺もそうだしな。
それしか選択肢なかった訳で、しょうがないけどなるべく戦いたくないもんだな。
そんな事を考えながら目を瞑りベットで寝っ転がっているとコンコンと部屋の扉がノックされる音がした。
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