第3話 【書評】わが子にぶつかれ(2022.12.12記)
【昔なつかしい「家族帝国主義」】
1.書名・著者名等
三上満、小田島薫、牛島徹
『シリーズよみがえる教育①わが子にぶつかれ(副題)暴走族の親の会奮戦記』
1984、あけび書房
2.兎平亀作の意見です
昔むかし、家族帝国主義と言う言葉があった。
「親の意見は、帝国主義国家が植民地を押さえつけているのと同じ」と言う意味である。
言ってる本人たちも、半分は冗談のつもりではあったが、まあ、言いもいったりの「コドモの理屈」に過ぎない。
パターナリズムと言う言葉もある。こちらは、ちゃんとした学術用語である。
「強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援する」ことをいう。
会社で、上司が部下に対してコレをやると、パワー・ハラスメントになる。
さて、本書は「わが子を暴走族から足を洗わせるため、奮闘努力した親たちの記録」なんだが、私は素直に美談と受け止められなかった。
絵に描いたような家族帝国主義だからだ。
善導主義なんだか、パターナリズムなんだか分からない本なのである。
しかも、自分の子どもがグレた原因は、ちゃっかりと「社会が悪い」、「政治が悪い」式に責任転嫁している。某政治党派の息がかかっている本だから、やっぱり、そうなってしまうのだろうか。
親の意見は意見として、「良い気なもんだ」としか思えなかったのも事実だ。
「ぶつかられた」子たちにしてみれば、これも更生のための試練の一つと言った所か。
資料的価値は認める。
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