第23話 暗躍
「もし宜しければ現地確認を行ったうえで勇者ポシェットの対策を私に練らせて頂けないでしょうか?」
揉めている将軍達に向けて話を切り出す俺。
「グ、軍師クン! 君ッテ奴ァ……」
目に油を滲ませるプラムジャム将軍。
「ほう、名軍師殿はよほど自信がおありと見える。私のメカチックシティ吹き飛ばし案よりも良い策でも思いついたとでも言うのかな?」
確かに……レモンバーム将軍のメカチックシティ吹き飛ばし案に心が揺れたのは少し面倒くさがりすぎたったな。保身が第一ではあるが考えてみればこんな千載一遇のチャンスをみすみす棒に振る事は無い。
「いえ、レモンバーム将軍の案には及ばないかもしれませんが私なりの考えがありまして。それに調査をしたうえでないと実行できるかどうかも分からない不明瞭な考えでございます」
チラリとミックスベリー将軍の方を見る。
「しかし、私はミックスベリー将軍に仕える身。私の命は将軍の物でございます。もし渡航に危険を伴うのであれば、ここで案のみ申し上げたいと思います」
ここは当然主張させてもらう。自分の安全が保障された状態でないと流石に動けないからな。
「ソ、ソレは問題ナイ!
「ふむ。そうだな。調べたい事があるのであれば自分の目で見て来た方がよいだろう、それに勇者エルグランディスに関して言えばプラムジャムの傍にいれば安全だしな」
「ミックスベリー将軍。それでは、宜しいのですか……?」
「いや、むしろこちらからお願いしたいくらいだ。プラムジャムに力を貸してやってくれ、ピクルスよ」
「かしこまりました……」
「クェクェ―! 見かけによらず熱い男だな。嫌いじゃないぜ!」
「ふん……お手並み拝見と行こうか」
会議の場が一気に盛り上がる。俺の心意気に胸でも打たれたのか……。
まったく呑気な連中だ。悪いが今回動く理由は保身ではなく打算だ。
基本俺の行動原理は平穏な日々を手に入れる事……だが目の前に出世の人参がぶら下がっているなら食わぬは社会人の恥というものだ。
そして勇者ポシェットの特異能力
その為には……
四つん這いのプラムジャム将軍の方向を向いて優しく話しかける。
「プラムジャム将軍。若輩者ですが少しでも将軍のお力になれるよう頑張ります。至らぬ点もあるかと思いますが打倒勇者ポシェットに向けてまい進しますので何卒宜しくお願いいたします」
堅苦しいクライアントメール本文のような言葉を笑顔で投げつける。
「……アア! 困ったことがあったら何デモ聞いてくれたマエ。宜しく頼むゾ相棒!」
誰が相棒だ。
お人よしのロボ将軍と世間知らずの少女勇者様には俺の安息世界を作る為の踏み台になって貰う事にしよう。
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