第25話 江戸川真一VS水原一平

 江戸川真一は、ある日、一件の奇妙な依頼を受けた。依頼人は名家の令嬢で、彼女の家に伝わる貴重な美術品が次々と盗まれているという。犯人は水原一平と名乗る男で、その手口は非常に巧妙で、警察も手を焼いているとのことだった。


 真一はすぐに捜査を開始し、水原一平についての情報を集め始めた。一平はかつて芸術家として名を馳せていたが、その才能が認められず、次第に裏の世界に足を踏み入れ、盗品の取引で生計を立てるようになった男だった。


 真一は一平の居場所を突き止めるため、彼の関係者に接触し、手がかりを集めた。数日後、ついに一平の隠れ家を見つけ出した。真一は一平の隠れ家に潜入し、盗まれた美術品の一部を発見した。しかし、一平も真一の動きを察知しており、彼を待ち構えていた。


 暗い部屋の中、真一と一平は対峙することとなった。真一は冷静に、一平に問いかけた。「水原一平、なぜこんなことをするんだ?あなたの才能を正しい道で生かすことができるはずだ。」


 一平は苦笑いを浮かべて答えた。「才能?そんなもの、誰も認めてくれなかった。だから俺は、自分のやり方で生きるしかなかったんだよ。美術品なんて、俺にとってはただの金のなる木さ。」


 真一は一平の言葉に対して静かに首を振った。「それでも、あなたが行っていることは間違っている。あなたの才能は盗みのために使われるべきではない。」


 一平は真一の言葉に苛立ちを見せ、ナイフを手に取った。「説教はもうたくさんだ。ここでお前を消して、全部終わらせてやる!」


 一平がナイフを振りかざして襲いかかる瞬間、真一は冷静に身をかわし、素早く反撃に転じた。二人の間で激しい格闘が繰り広げられた。真一は一平の攻撃を巧みにかわしつつ、隙を見つけて一平のナイフを奪い取った。


 一平は無防備な状態で後ずさり、真一の鋭い目が彼を捉えた。「これで終わりだ、水原一平。あなたには更生の機会がある。今こそ、その道を選ぶべきだ。」


 一平は一瞬ためらったが、やがて肩を落として膝をついた。「くそ…俺の負けだ。こんな人生、もうたくさんだ。」


 真一は一平を警察に引き渡し、盗まれた美術品は全て依頼人の家に戻された。依頼人は真一に深く感謝し、その誠実な対応に感動した。


 事件が解決した後、真一は一平の過去を調べ、彼がかつて描いた絵画を見つけた。その絵には、一平の本当の才能が溢れていた。真一は、その絵を持って一平の元を訪れた。


「一平、これがあなたの本当の才能だ。あなたにはまだやり直すチャンスがある。この絵のように、美しい未来を描いてほしい。」


 一平は涙を浮かべながらその絵を見つめ、真一に向かって深く頭を下げた。「ありがとう、真一さん。俺はもう一度やり直してみるよ。」


 江戸川真一は、再び一人の人間を救うことに成功した。彼の知恵と勇気が、人々の心を動かし、正しい道へと導くのだった。彼の次なる挑戦に向けて、新たな冒険が始まろうとしていた。

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