第19話 岩手

 江戸川真一は、数々の難事件を解決してきた探偵だが、今回は少し異なる任務に挑むことになった。ある日、彼は岩手県の古い医大から緊急の依頼を受けた。その医大は、近年不思議な現象が頻発し、地域住民たちに恐れられていた。


 真一が医大に到着すると、学長の入江(小日向文世)が彼を出迎えた。入江は心配そうな表情で語り始めた。


「真一さん、あなたに頼みがあります。この医大の地下に封じられた邪悪な力が復活しようとしています。これを封じるためには、古代の治水術を使う必要があります。しかし、その治水術の知識を持つ者は伊東一刀斎(堺正章)だけです」


 伊東一刀斎は伝説的な剣豪であり、治水術の名手でもあった。しかし、彼は数百年前に亡くなっている。真一は入江の言葉に疑念を抱きつつも、調査を進めることにした。


 調査を進めるうちに、真一は伊東一刀斎の霊が医大の地下に封じられていることを知った。一刀斎の霊は、邪悪な力が復活するのを防ぐために自らの魂を犠牲にしたという。しかし、今ではその封印が弱まりつつあった。


 真一は、一刀斎の霊と接触し、治水術の秘密を聞き出すことを決意した。彼は医大の地下深くにある封印の部屋に向かい、そこで一刀斎の霊と対面した。


 一刀斎の霊は、真一に向かって言った。「お前がここに来るとは思わなかった。だが、お前の心には敵意がない。それが唯一の救いだ。私の治水術を教える。だが、それには一つ条件がある」


 真一は静かに頷き、その条件を聞いた。一刀斎は続けた。「邪悪な力を封じるには、私の刀を持ち、正しい方法で封印を施さなければならない。しかし、その過程でお前の命も危険に晒されることを忘れるな」


 真一は覚悟を決め、一刀斎の治水術を学び始めた。数日間の修行を経て、彼はついに封印の方法を習得した。そして、一刀斎の刀を手にし、地下の邪悪な力が封じられている場所へ向かった。


 封印の儀式が始まると、地下全体が揺れ始め、邪悪な力が解放されようとしていた。真一は一刀斎の教えを守り、治水術を駆使して邪悪な力を封じ込めた。最後に、一刀斎の刀を封印の中心に突き刺し、儀式は無事に成功した。


 真一は疲れ果てながらも、入江と共に地上に戻った。入江は涙を浮かべて感謝の言葉を述べた。「真一さん、本当にありがとうございました。これで医大も、地域も、平和を取り戻すことができます」


 こうして、江戸川真一は再び平和を取り戻し、次なる冒険へと歩み始めた。彼の心には、一刀斎の教えとその敵意のない精神が刻まれていた。

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