第8話 増量期は楽しい
増量期を始めて、2か月が経った。体重は3kg増えた。自分でも鏡を見て筋肉がついたことがはっきりとわかる。
半袖の時期だからか、友人たちからも筋肉がついたと言われることが増えてきた。筋肉がアピールできる服を着たくなってくる。ガチムチほど薄着を着たくなるのが理解できるようになってきた。
増量期は楽しい。本当に楽しい。なぜなら筋トレの記録がみるみる増えるからだ。ベンチプレスは95kgまで挙がるようになった。最初は70kgだったから+25kg伸びたことになる。
「ベンチプレス100kgまでもうすぐだな。人類の1%ぐらいしか挙げられないってさ。半年以内で達成できたら、相当才能があるよ」
僕と駿は、いつものようにジムの休憩エリアで話していた。ガチムチな駿はウォーミングアップで100kg挙げられるほどの筋肉を持っている。それでも駿は僕を褒めてくれた。
ふと、休憩エリアにあったボディビル雑誌が目に入った。
「ボディビルの優勝者はどのぐらいの重量を挙げられるの?」
僕は駿に問いかける。このまま成長すれば、ボディビルでも通用するんじゃないかと思ってきていたからだ。
「200kg超えてるな」
「200kg!?」
僕の考えは甘かった。まだ100kgにも届いていないのに。
「ベンチプレス競技じゃないから、重量がすべてじゃないけど、大胸筋は大事だからな。上位陣は当然のようにベンチも強いよ」
「僕はまだまだなんだね…駿が数年かかるって言ったことがわかってきたよ…」
このジムにいる野生のガチムチたちも、長い年月をかけて仕上がってきたんだな。彼らを見る目が尊敬に変わってくる。
「涼のペースなら、あと1-2年あれば大会でもいいところ狙えるんじゃないかな。まだ上を見て悲観的になるタイミングじゃない」
「そうだね…まだ3ヶ月だ。がんばるよ。ありがとう」
今の僕だと、大会どころか同じジムのガチムチにすら負ける。世の中こんなにガチムチが多いことが信じられないけど、彼らに負けない筋肉をつけないと。
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