第127話 千手観音VS……。


千手観音(激怒)『さあ手下たちをブロックした理由を述べよ』


 手下のために怒ってるよ千手観音。メッセージ送ってくる間隔メッチャ短いんだけど。

 手が千本あるからスマホの打ち込みが速いのか。


千手観音(激怒)『相応な理由がないのであれば、我が手を下すまでだ(千本の手)』


 ヤバいヤバいヤバい。

 千本の手をスタンバってるって。

 捕まったら一巻の終わりだって。


 もう千手観音より高位の奴が来てもいいか。

 千手観音もブロックしよう――、


千手観音(激怒)『我をブロックしようとしているな?』


 やべっ、ブロック画面に行こうとしてるのバレてる。

 仕方ない、スワイプで千手観音のメッセージを消して――、


千手観音(激怒)『無駄な抵抗をするな(百本の手を拳にしながら)』


 メッセージ送信早ええええええええええええええええええええええ。

 息つく間もなくメッセージ送ってくるんだけどお。


 刹那のメッセージなんだけど。

 そりゃ千本も手があれば一瞬で送れるか。


 つーか百本の手を拳にしながらって何? 百裂拳の準備でもしてる?

 千本もあるのに百裂なの?


千手観音(激怒)『おい、そろそろだぞ(百裂拳の準備OK)』


 準備OKになってんだけど。

 早くブロックしなきゃ――


千手観音(激怒)『何とか言ったらどうだ?(そのへんの邪霊をシバきながら)』


 俺のせいでそのへんの邪霊が逝ったああああああああああああ。

 百裂拳放っただろオマエぇ。なんてことしてやがる。


 あ、でも邪霊だから良いのか逝っても。

 その隙にブロック画面に――、


千手観音(激怒)『なにい? ウヌはさきほど倒したはずの邪霊? バカな! 存在しているはずがない!』


 え、さっきの邪霊消えてなかったの? 

 千手観音の百裂拳喰らっといて?


 マジかよ。なんか向こうで高レベルのバトル勃発してるんだけど。

 ちょ、気になる。無駄に気になるんだけど。


千手観音(激怒)『良かろう! では我が最大の奥義、千裂拳を喰らうが良い!』


 いよいよ千本の手を全て拳にしようとしてるうぅぅぅ。

 逃げてぇ、そのへんの邪霊さん。

 あ、そうだ。俺がメッセージ送ったら邪霊助けられるんじゃね?


城『あの~、千手観音さん。ちょっと良いです――』


千手観音(激怒)『今は闘いの最中だ! 礼儀をわきまえよ!』


 返信早あああああああああああああああああああああ!

 俺メッセージ途中までしか書いてないよね。

 しかもまだ送ってすらないよね?

 なんで送ろうとしてる内容まで分かってんだテメーは。

 これが千手観音の能力なの?


 ………………………。


(……え、なんか反応無くなったんだけど……)


 千手観音からのメッセージ来ないんだけど。

 嵐の前の静けさっていうやつ?


 どうなったか気になる。

 結末さえが分かればとっととブロックするから早く報告して。


千手観音(邪霊)『今こそ一つになる時だったのだ』


 乗っ取られてんじゃねえかああああああああああああああああああああ。

『(邪霊)』ってそういうことだよね?

 どんだけ強力な邪霊だよオマエは。


千手観音(邪霊)『今だ少年。ブロックするのだ』


 え、俺に協力するために乗っ取ったの?

 スゲーなそのへんの邪霊。メッチャ良い奴じゃん。

 よし、じゃあお言葉に甘えて――、


千手観音(邪霊)『ははははははは早くブロックするのだだだだ。我の中の千手観音が目覚めるううううううううううううううううううう』


 ヤバいヤバいヤバい。内なる千手観音が乗っ取りから抜け出そうとしてる。早くブロックしなきゃ。


城『サンキュ! 今度クレームブリュレ奢るから! またな邪霊さん!』


 そのメッセージを送って、俺は千手観音をブロックした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る