第124話 考えすぎる魔王
色々あったけど、何だかんだで皆、テストで合格点を取ることができ……。
いよいよゴールデンウィークに入った。
「どうすっかねえ……」
俺は自室のベッドでゴロゴロしていた。
とりあえず、休みの何処かでメガネくんとメイド喫茶に行くことは約束した。
新しいものに触れて、脳を活性化させるために。
『行けば
とメガネくんは言っていた。お忍びで行く女性アイドルも居るほど楽しい場所なのだとか。
「ホントかねえ……」
メイド喫茶について、大体のことは知ってるんだけど……。
そこまで楽しそうな所とは思えないんだよなあ……。
メイド服を着た女の子にオムライスを持ってきてもらう、くらいだろ?
何が楽しいんだか。
あまり乗り気はないんだけども……。
まあ、何かしらインプットして、新しいことを閃くのも良かろう。
「やべ、考えるほどあんま行きたくなくなってきた……」
メイド喫茶については、行けたら行く程度にしておくか。
となると……やっぱトアリのことだな。
このゴールデンウィークで、潔癖症を緩和するための策を一緒に考えるとか。
「うん、それ良いな」
さっそく俺はスマホを出して、トアリへのメッセージを作成。
『ゴールデンウィーク、なんか予定あるか?』
……これだと淡泊過ぎるか。作り直そう。
『いよいよゴールデンウィークだな。潔癖症を緩和する作戦考えないか?』
……これもちょっとな……。潔癖症のことしか考えてない奴って思われそうだし。
『ゴールデンウィーク、おまえん家で作戦会議しないか?』
……いやダメだろこれ。完全にダメだよね。
客観的に見ると『家で何の会議するんだよ?』ってなるよね。
変な捉え方されたら終わりだよね。
『俺たちが先にススムために、またトアリの家で作戦会議しないか?』
アウトだろこれ。俺たちが先にススムためにって何? どんな関係?
まだ友達だよね。ヤバい奴だよねこれ。
『人はそれほど汚れていない。清らかで美しいんだ。何も怖がることはないから、一緒に人ごみの中に行ってみないか? そうすればトアリも分かるはずだ。人って、そこまで汚れていないということに』
誰だよ。何を語ってるんだよ。そもそもなにキャラだよコイツは。キザすぎるだろ。超気持ち悪いんだけど。
『イエス! ウィー! キャン!』
ヤベーよ迷走しすぎて心がアメリカ大陸行ったんだけど。
『トアリ、飛行機って乗ったことあるか? あれ離陸時ケッコーテンション上がるよなあ!』
何で帰国中のこと書いてんだ俺は。
もういいからとっとと誘う旨のメッセージを書くか。
『ゴールデンウィーク、晴れで始まって良かったなあ!』
さっきからなにやってんだ俺はああああああああああああああああああああああ!
ベクトルがどんどん逆方向行ってるんだけど。
何で天気の話してんの?
アメリカに行ったりして、休みの日にトアリを誘う方向から逃げてるよね?
気になる子を誘えずに終わる中学生かて。
え、ちょ、違うからね? 別に照れてるとかじゃないから。
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