野々宮瑠奈の独白

 私は嘘をついた。けど、これは仕方のないこと。先輩達の幸せを願っていたからついた嘘だ。


 先輩のことを気になり始めたのはアルバイトを始めて少ししてから。気になってからは私は先輩に話しかけるようなった。


 先輩は優しくて、何かあれば相談に乗ってくれるような人。話す度に好きな気持ちは大きくなっていった。


 けど、告白する勇気は私にはなくて、想いを伝えることはなかった。


 高校生になって少しして先輩は『白の天使』と呼ばれる白井雪先輩と仲良くなっていた。先輩が女子と仲がいいのは未玖先輩だけだと思っていたから驚いた。


 初めて白井先輩に会ったとき、私は嘘偽りなく「私、とってもお似合いだと思いますよ」と言った。この言葉は嘘じゃない。本当にお似合いだと、そう思ったから言った言葉だ。


 八雲先輩と白井先輩は少しずつたけど距離を縮めいき、いつか付き合うんだろうなと見守っていた。


 夏休み前。私は八雲先輩のことが好きだと気付いた。けど、この気持ちには蓋をして好きだからといって告白はしなかった。私は白井先輩のことを応援すると決めていたから。


 他の人からしたらバカだなと思うかもしれないけど、告白する、しないも私の自由。


 2人が付き合い始めたと八雲先輩から聞いたとき、告白しなかった後悔よりも嬉しい気持ちの方が大きかった。


「白井先輩……いえ、雪先輩、惚気話聞かせてくださいね。私、恋愛トーク好きなんで」


「の、惚気ですか? 話せるようなことは……」


「先輩、顔真っ赤です。可愛いですね」


「る、瑠奈さん……み、見ないでください」


 新しい恋がすぐに見つかるとは思えないけど。今は恋人とか作るのはいいかな。



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