絶望のどん底に落ちた男と流行少女の末路…!
天川裕司
絶望のどん底に落ちた男と流行少女の末路…!
タイトル:(仮)絶望のどん底に落ちた男と流行少女の末路…!
1行要約:
絶望のどん底に落ちた男と流行少女のたった2人になった世界の末路
▼登場人物
●是津 望(ぜつ のぞむ):男性。冒頭は35歳、途中から45歳。それまで女性と人並みに付き合って来たが全て浮気や自然消滅で終わっている。哲学チックな少年期を過ごした。物事を深く考え込む傾向がある。挙句、世の中の女性全員に絶望する(特にチャラチャラした女は大嫌い)。
●流石行子(ながれゆきこ):女性。20歳。流行ばかりを追う。男をとっかえひっかえ遊んで来たイメージ。ブランド品を身に付けまくり、チャラチャラした恰好をしている。
●明里未来(あかり みく):女性。望の絶望に潜む正直から生まれた生霊。本編では自己紹介の場面意外「ミク」と表記。望に夢を見せ、望が取るべき行動を教える。
▼場所設定
●望の自宅:一般的な戸建てのイメージで。望の部屋は2階。
●バー「プレシャス」:薄暗い感じで落ち着いたムード。ミクの行き付け。
▼アイテム
●錠剤:一般的な錠剤のイメージ。それを飲むと特定の夢が見られる(飲む人によって夢の内容が変わる)。その夢で取った言動は、現実の自分にそのまま影響する。(例)夢の中で死ねば、現実でもその人は死んでいる。
NAは是津 望でよろしくお願いいたします。
オープニング~
エクソちゃん:ねぇデビルくん、もしこの世で女性とたった2人きりになったらどーする?襲うの?その女性を?
デビルくん:ば…ばか言うんじゃないよ。何だよ藪から棒に。あ…アダムとイブの世界だな。まぁその時になってみねぇとわかんねーけどよ、俺ぁ女なんて必要ねーから、適当に相手して、そのうち去ってくんじゃねぇか。
エクソちゃん:ふぅん。まぁあんたデビルだし、エデンの園の中でもヘビの役だもんね。初めから出逢いとか無いか。
デビルくん:聞いといてソレかよ…
エクソちゃん:今回はアンタみたいな「世の中の女に絶望した」って男性のお話なの。
エクソちゃん:それまでの経験から完全に女性に嫌気が差しちゃって、もう世の中にも絶望してるんだ。そんな時に出会った不思議な女性がいてね、その人から夢を通じて「幸せの道しるべ」なんてものを教えて貰うのよ。
デビルくん:ふぅん。
エクソちゃん:でもその夢で取った行動は現実にも影響しちゃって、結局、悲惨な結末を迎える感じなの…
(↑朗読動画の場合は無視して下さい↑)
メインシナリオ~
(メインシナリオのみ=4290字)
ト書き〈自宅〉
望)「はぁ…また連絡来なくなったか…。女は全部こうだな…」
NA)
俺は是津 望。
今年35歳。
俺は未だ嘗て、安定した付き合いをした事が無い。
そもそも女との付き合いに「安定」なんて求める事がおかしいのか。
少なくとも俺の場合はそうだった。
他人はそれなりに交際し結婚し、延々と幸せそうにやっている。
でも俺にとってそんな世界は幻だ。
俺も人並みに女と付き合って来た。
だが悉く浮気されたり自然消滅したり、安定した例(ためし)は1つも無い。
望)「そうだよな…。俺にとっちゃ女ってのは別世界の生き物なんだ。ソレと付き合う男も同なじようなモンだろ…」
NA)
俺には昔から、物事を考え込む習慣がある。
でも正直だ。
正直に感じた悩みや幸せに感情が向くだけ。
ト書き〈回想シーン〉
NA)
俺はとにかく女運が悪かった。
1人目の女)「ごめ~ん、他に好きな人出来ちゃったぁ」
2人目の女)「アタシ、あんたに飽きたから。もう連絡して来ないでね」
3人目の女)「あんたって優し過ぎんのよね。別に嫌じゃないけど、もうちょっとワイルドに行けないの?強引さに欠けるトコがあんのよね~」
4人目の女)「あなたは強引よ!アタシの考えも聞かないで!アタシはもっと優しくて配慮があって、常識的な人が好きなのよ!」
NA)
こんな感じのがあと2~3人続く。
しかも全部、付き合い始めてから2週間で決着がついている。
全て有限の恋。
男女の営みなんてほとんど無い。
望)「俺はダメなんだ…!女と付き合うと、どうしても自分を見失う…。それに変わらない安定と安心を女との間に求めてしまう…」
望)「互いに浮気しない事。ただ一緒にいるだけで平安を感じられる事。離れていても連絡を取り合って、互いの絆を深めておく事…」
望)「これって普通じゃないのか?!これが女には合わないってのかよ…?!みんな何か野蛮な所を求めたり、片落ちな幸せばかりを求めて来やがる…!一体どーしろってんだよ!」
ト書き〈10年後〉
NA)
それから10年後。
俺はもう45歳。未だに独身。
やはり自分を変える事なんて出来ない。
「自分の有りの侭を愛してくれる女(ひと)が現れるのを待てばいい」
そんて言葉もあるけど、そんな人全くいない。皆無だった。
俺の心は益々、頑なになる。
望)「『女がいなけりゃ男はボロボロになる』とか、『世界は女で回ってる』とか、『結婚出来ない男は負け組だ』とか、世間じゃいろいろ言ってるようだ」
望)「ケッ!そんなモン俺にゃあ関係ねーよ!たかが結婚出来ないくらいで、誰が落ち込むかってんだ!世間の流行に乗ってみんな勝手にやってろ…!」
ト書き〈考え方の転換〉
NA)
そんな日々を送る内、俺は何だか吹っ切れた。
望)「別に一生、独身でいたっていいや。どうって事ない♪」
NA)
そう思うようになった。
逆に交際や結婚したりする方が大変だ。
子供の事、家の事、その他いろいろな諸事に掛かる金銭的な労苦や義務。
社会的責任等も生まれ、余計に厄介になる。
そう考えると、俺は今の独身の状態に幸福を覚えるようになった。
この状態を維持する事の方が貴重だ…そう思うようになっていた。
ト書き〈バー「プレシャス」を発見〉
NA)
そんな或る日。
夕方、散歩をしていた時…
望)「あれ?こんな所にバーなんてあったかな?」
NA)
いつも歩く通りに、全く見慣れないバーがあった。
バー「プレシャス」。
俺は久し振りに飲もうと思い店に入った。
ト書き〈バー「プレシャス」〉
望)「へぇ…ちょっと暗いけど、イイ感じだな…」
NA)
中は少し暗いが落ち着けた。
俺はカウンターに座り、1人飲む。
その時、1人の女性が声を掛けて来た。
ミク)「こんばんは。お1人ですか?ご一緒してもイイかしら?」
望)「え?」
NA)
見るとかなりの美人。
でも不思議と欲情しなかった。
彼女は「10年来の知己」を想わすような、暖かなムードを漂わせて来る。
望)「あ、はい…どうぞ」
ミク)「それじゃ。突然ですがあなた、何か今、お悩みなんか抱えていませんか?金銭面での事、お仕事の事、人生の事、又は女性関係の事なんか…」
望)「…は?」
NA)
突然訊いて来た。
怪しいヤツかと思い、俺は少し身構えた。
でも悩みがあるのは事実。
「誰かに聴いて欲しい」と思っていたのも本当の事。
彼女はやはり不思議な感覚の持ち主だ。
その辺りの悩みを自然に引き出すオーラを持っている。
気付くと俺は、自分の悩みをほとんど喋っていた。
ミク)「そうですか。これまで女性関係でいろいろ悩んで来たんですね」
望)「ええ。とにかく俺は駄目なんですよ。女とは悉く合わないって言うか、そういう星の下(もと)に生れ付いちゃったみたいで…」
ミク)「誰でも理想通りの恋愛なんて出来ないものです。でも良かった」
望)「…え?」
ミク)「あなたがそんな風に悩んでいるから、私もお役に立てます」
望)「…あの、聞くの忘れてましたけど、あなたは…?」
ミク)「申し遅れました。私こういう者です」
NA)
彼女は名刺を差し出した。
望)「『夢を解放した人生への扉~ライフコーチ』…明里未来…?」
ミク)「私はあなたのような、人生に何かの事情で挫折した…絶望した、と言う方々の為に第2の人生をご用意しております。その為に夢の世界へ導かせて頂き、そこで理想の人生への道しるべを選択して頂きます」
ミク)「人の理想というのは大抵夢から生まれます。その理想を引き出せた世界こそがその人にとって最適な人生となる訳です。ですがその夢の様子が余りに凄惨ですと、そこから生まれる理想も暗さや悲観に埋没してしまいます」
ミク)「その辺りの事を土台にした上、1度あなたにも、あなたが今持っている夢の内容を先ずご確認して頂けたらと願っております」
望)「夢…?…僕が今心の中に持っている夢…って事ですか?」
ミク)「ええ。その夢をご確認頂いた上で、その後どうして行くかをその夢の中で、あなた自身に決めて貰えたらと思います」
望)「そんな事どうやって…」
NA)
馬鹿々々しいと思いつつ、少し気になった。
本当に理想の人生が今からでも叶うなら…。
そんな正直がスッと過ったのだ。
やはりミクは不思議な女。
俺はもう少し話を聴いた。
望)「それで具体的にはどのような…?」
ミク)「あなたには実際に夢を見て頂きます。夜に眠って見る夢です。その夢の中で、あなたはきっと1人の女性に出会います。その時どうするか、その行動によってあなたの未来は大きく変わる事になるでしょう」
望)「はぁ…。あ!でもこういうのってお金掛かるんですよね?」
ミク)「フフ、無料で構いません。私共の事業はボランティアですから」
NA)
そう言ってミクは錠剤を差し出した。
望)「これは…?」
ミク)「それを今夜、寝る前に飲んでみて下さい。そうすれば、あなたが今見るべき夢がそのまま現れます」
NA)
まぁ夢を楽しめるならそれも一興。
俺は軽く受け止めて、やって見る事にした。
ミク)「但し、望さん。これだけは忘れないで下さい。あなたが見る夢はあなたの人生を左右します。つまりその夢は現実に直接影響すると言う事です」
望)「え?」
ミク)「だから軽く受け止めてはいけません。夢というのはその人の正直をそのまま映すものです。あなたが今夜見る夢も、あなたの今の心境を赤裸々に綴ったものです。それと真剣に向き合い、今後の人生の選択をして下さい」
ト書き〈その夜〉
NA)
その夜、俺はミクに貰った錠剤を飲んで寝た。
すぐ眠りに落ちて、とてもリアルな夢を見た。
ト書き〈世界に何にも無い〉
望)「ここはどこだ…?」
NA)
俺は小さな島にいた。
周りを海が囲んでいる。
海の向こうの方に、点々と別の島が見えていた。
俺がいる島には1本の木が生えている。
そしてさっきからプカプカ浮いてる小舟が一艘あるだけだ。
望)「核戦争でも起きたのか…?」
NA)
俺は少し恐怖した。
でもその時、木の陰から1人の女が現れた。
行子)「あれぇ~、アタシ何でこんなトコにいんのォ~?」
NA)
見るとその女は、流行物をチャラチャラ着飾っていた。
俺の嫌いなタイプ。
こういう女に俺は今まで散々弄ばれ、純情を踏みにじられて来たのだ。
その女を見た途端、嫌悪した。
それまで人恋しさが少しだけ芽生えていたが、それも吹き飛んだ。
行子)「あ、ねぇねぇアンタさぁ、ここドコだか知ってる?」
NA)
それから女はいろいろ訊いて来た。
名前は流石行子(20歳)と言うらしい。
女は初め、かなり横柄な態度を取って来た。
でも周りに誰もいないと知ると、途端にネコナデ声を出して来た。
世界にたった1人残された目前の男。
その貴重な存在である俺から、女は離れたくなかったのだ。
それから更に誘惑して来た。
望)「…」
行子)「ねぇ~ん、何か言ってよォ。アタシが淋しいじゃないィ」
行子)「あ、ほら、あそこに舟があるわ。アレに乗ってさ、どっか別の所に行かない?ねぇ?」
NA)
「また利用される…」
瞬間、そう思った。
その途端、俺の心に憎悪と葛藤が生まれた。
この女とあの舟に乗れば、別天地で2人とも幸せになれるかも知れない。
でも別の土地へ行けば、また他の男や女がいるかも知れない。
そこでこれまでと同じように、裏切りと煩悶を繰り返すかも知れない。
俺はそういう事がもう大嫌いなのだ!
そんな事を考える内、俺は女に欲情した。
そしていきなり飛び掛かった。
ト書き〈襲う振りをしてピストルで自殺〉
行子)「きゃあ!」
行子)「(…あもしかして、アタシに心を開いてくれたのかも♪よし、一杯サービスしちゃうゾ💛)」
NA)
女は狂わんばかりに喜んだ。
でもそうする自分をもう1人の自分が客観視した。
そこで自分の事を激しく嫌悪した。
俺は自分の懐にピストルがあるのに気付いた。
それを抜き、女の目の前で自分のコメカミを撃ち抜いた。
俺はその場で即死。
女は茫然とした。
暫くして女は現実を悟ったようだ。
俺の手と一緒にピストルを取り、女も自分のコメカミを撃ち抜いた。
そして誰もいなくなった。
ト書き〈望の部屋:ベッド上で死んでいる望を見詰めながら〉
ミク)「結局その道を選んだのね。もしその子と一緒に舟に乗ってどこか別の島へ出掛けていれば、或いは別の幸せがやって来たかも知れないのに…」
ミク)「私は望の心から生まれた生霊。望を何とか幸福の方へいざなう為に現れた。でも無理だったようね。望は絶望から夢を諦め、その人生を終えてしまった。その夢で取った行動はね、現実のあなたにそのまま降り掛かるのよ」
ミク)「人は誰でも夢の中から生まれて来たような存在。無意識から生まれ、気付いたらもうこの世にいた。また夢の中へ帰って行った望だけど、今度その夢の中から出る時には、幸せへの道しるべを取り違えたりしないわよね…」
エンディング~
エクソちゃん:夢をテーマに扱ったストーリーって、結構、難しいよね。でも確かに夢ってその人の正直をそのまま映すから、扱いようによっては、面白くて奥深いストーリーが出来るのよね。
デビルくん:で、結局、望は死んじまったのか?
エクソちゃん:そんな感じだね。夢の中で自分が取った行動が、そのまま現実にも影響しちゃった…って感じで。
エクソちゃん:でもさ、この「夜に見た夢」ってのがもし現実で見る将来の夢…って感じに見て取るとさ、また別の展開が見えて来ない?
エクソちゃん:将来ビジョンを諦めちゃった時も、また1からやり直す感じでリスタートするんだからさ、また挽回できるって事じゃない。そんな風に見ればラストのミクのセリフも何となく分かるような気がするの。
デビルくん:うーん。まぁそうなのかね。
エクソちゃん:夜眠って見る夢も、もしかしたら現実で役立つ夢かも知れないし、夢の中の行動も出来れば明るくしたいわね。そのまま幸せの方向へ進めるように…
(↑朗読動画の場合は無視して下さい↑)
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=MRZ6G2hIyec&t=76s
絶望のどん底に落ちた男と流行少女の末路…! 天川裕司 @tenkawayuji
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