Part28:「〝RP AF〟」

 RP AFの出現に、Party部隊は困惑に陥りながらも、その強力な装備火力に物を言わせた戦いを見せ始め。

 一方のRP AFもそれに順次応戦を開始。廃墟の街の通りを舞台に苛烈な戦闘が始まり、多種多数の火力が飛び交い、双方の戦力がぶつかり始めた。


 そしてその双方の銃火が飛び交い始めた内を――今のRP隊員の男性が堂々と歩み進めて行く姿が同時にあった。

 彼が続けて目指すは、近場にいたもう一体のPartyのPAメカ娘。

 PAメカ娘のその意識は、前方の重戦車を中心とするRP AFの一個小隊に向き。PAに装備させるガトリング砲を手当たり次第のそれでバラまいている。

 そのPAメカ娘の注意が他所へ向いている隙を突き、隊員の彼は側方よりその間近へ接近肉薄。アームの内腹の装甲の隙へリボルバーを突きこみ――発砲。

 金属のぶつかり拉げる音が響き、PAのアームは破損し機能を停止。ガトリング砲はその引き金を引く主を失い、銃撃動作を停止した。


「っ゛ぅ!?このっ――ヅぅっ!?」


 突然の強襲からPAの破損に、メカ娘は驚きつつも瞬時に襲撃を理解。その愛らしい顔にしかし憎々し気な色を浮かべ、アームを振るってRP隊員の彼を殴打し潰そうとした。

 だがそれが成されるよりも前に、PAメカ娘はガクリと足を負って身を崩した。

 見ればRP隊員の彼のリボルバーが気づかぬ間に、PAの脚部装甲の隙間に突きこまれ、また硝煙が上がっている。

 隊員の彼はPAの腕から足に掛けてを流れるように撃ち抜き、その機構を破壊して行動機能を奪って見せたのだ。


「っぁ……っぅ!?」


 PAメカ娘はPAの機能を奪われながらも、悔し気な声を上げつつもまだ抵抗の色を見せようとした。

 しかし、驚くべき事態が起こったのは次の瞬間。

 そのメカ娘の首・肩付近がむんずと掴まれ、彼女のその身体は次には、乱雑にしかし強力な力でぐるりと引きずり回転させられた。


「悪く思うな」


 それを成したのは、他でもない隊員の彼。

 なんと彼はPAメカ娘のその図体を、片手のみで掴み捕まえ突き出している。

 そしてそのままPAメカ娘を摺って押しながら、向こうの敵Party部隊に向けて推し進め始めた。

 その、肉の盾。いや厳密にはこの場合、中身入りのPAを盾にしての押し上げだ。


「ちょ……!やめ、離……ひぃっ!?」


 それに身を捩り逆らおうとしたメカ娘だが、次にはそれは小さな悲鳴に上がる。彼女に取っては味方であるはずの敵Party部隊からの、しかし容赦の無い攻撃銃砲撃が襲い来たのだ。

 そこには囚われたメカ娘の彼女ごと屠る事に、何の躊躇もない様子が見て取れた。


「ッー」


 前足元ではPAメカ娘がそのPA装甲の内から悲鳴を上げ始めたが。

 隊員の彼は構いもせず、その強靭な腕力でPAの図体を突き出しながら摺って押し。同時にメカ娘の肩越しにリボルバーを突き出して、牽制のために数発撃つ。


「行くんだッ、前へッ」


 そして次にはそのリボルバーを翳して振り流し、背後に向けて促す声を上げる彼。

 その彼の声に丁度のタイミングで呼応するように、街路の後方向こうより何名ものRP隊員が追い付き現れた。

 隊員等は瓦礫を飛び越え、近くを駆け抜け。サービスバトルライフルや分隊支援小銃を撃ち戦闘行動を行いながら、前方へと押し上げて行く。


 その光景の中で目を引くは、その隊員それぞれの姿様相。

 服装格好こそ共通運用される行動作業服(フィールドジャケット)だが、注目すべきはその〝個々〟。

 パッと見るだけでも人種性別が多くに渡るのが見えるが、さらに見れば幅広さは「人種」の範疇に留まらない。


 見えるのは――皺に覆われ朽ち果てた肌を持つ人々。

 時には「アンデッド・ゾンビ」のようだと揶揄される彼らは。この朽ち果てた世界で起きた環境の変化により、その身が突然変異に見舞われた人々。

 この世界では――「ユーダイド」と捩った言葉であだ名される。しかしこの世界を懸命に生きる人々だ。


 さらにまた別に、多くは無いが別にぽつぽつと見えるは――とてつもない巨体を持つ人々。

 2mを余裕で越え、その体躯は凄まじい筋肉を宿す。しかしその肌色は灰色掛かった青で染まり、その顔はまさに怪物のごとき形相。

 それは先日に見たオータントと似通いながらも、また別の存在。

 ――「スーパー・ヒューマン」。

 とある薬学実験が元となり誕生し、その実験の暴走漏洩により世界にその存在が広まる事となった強化人間。

 その恐怖される外観特性から差別され、一部にはオータントと同じく匪賊行為に手を染める者もいるが。多くはこの残酷な世界を懸命に生きようとする咎無き人々だ。


 そんな、ある意味「人種」の枠すら越えて各存在が混在するRP隊は。だが雑把ながらも確かに連携の取られている姿と動きで、次々にリボルバーの隊員の彼の促しを受けながら、飛び越え駆け抜け前方へと展開していく。


「〝ヴォート〟少佐ッ、西から回り込んでいる第2中隊も間もなく到着ッ」


 その内のスーパー・ヒューマンの一名が。今までの隊員の彼を〝ヴォート〟と言う名と階級で呼び、傍に立つと合わせて報告の言葉を発する。


「了解、だが第1中隊もこのまま押し込めるッ。残されているキャラバンの人々を回収するぞ、伍長任せる」

「了ッ」


 隊員の彼、改めヴォートは。

 スーパー・ヒューマン(以降SH)の隊員の報告に返事を、続けてさらなる指示の言葉を返す。

 それを受けたSHの隊員は発し返し、そして分隊支援小銃を構え撃ちながら駆け進んでいった。

 ヴォートも、今も必死にもがくPAメカ娘を盾に突き出しながらさらに進めるが。次にはその側方傍をそこその大きさの鋼鉄の物体――軽戦車が、エンジン音とキャタピラ音を上げて、瓦礫を乗り越え進み抜けて行った。


 軽戦車は、街路上前方に展開して戦闘を繰り広げる隊員各員の間を割って塗って押し上げる。目指すは、未だ周辺にキャラバンの人たちが隠れ残される前方十字路。

 その十字路上に居座り構えるは、Party部隊と先に砲撃の一撃を受けたAMSM。


 恐るべきことに、AMSMは重戦車の主砲の一撃を受けて中破以上の状態にありながらも、未だに歪ながらも稼働していた。

 RP隊のA107重戦車の主砲は長砲身の120mm口径砲だ。それを受けて踏みとどまって見せたその構造・堅牢さはまさに脅威だ。

 そしてAMSMは歪な動きながらも、迫って来る軽戦車を見止めるように、装備する無誘導ロケットのランチャーの照準を付けようとした。


 しかしその直後、そのAMSMが再びの強烈な衝撃に襲われ、爆炎に包まれた。

 先と同様の衝撃爆炎、それは後方のA107重戦車からの射撃の第二射目。その追撃がAMSMを再び爆炎で包んだのだ。

 流石に二度の120mm砲弾を受けてはAMSMも無事では居られなかった。メインボディは一角が破損、さらに主脚の付け根を大きく損壊してバランスを失い、次にはAMSMはぐらりと体勢を崩し、大きな落下音と金属がぶつかり拉げる音を上げて、地上に崩れて沈んだ。


「なっ!?」

「指揮官!AMSMがっ!――う、うわ!?」


 要のAMSMを失い、先の美少女指揮官始めPartyの兵たちが狼狽える様子が見える。

 しかしそれも僅かな暇。

 次の瞬間には瓦礫の小山を乗り越えて、RP AFの軽戦車がParty兵たちの前に出現。瓦礫の小山を滑り降り、十字路へと割り込み突入襲来。

 Party兵たちを退け散らし、同時に牽制のため間髪入れずに搭載の57mm砲を撃ち放った。


「敵を抑えるんだッ、キャラバンの回収の時間が要るッ」


 そして突入口を切り開いた軽戦車に続けて、ヴォートの指揮の元にRPの小隊が十字路へ駆け踏み込んで展開。

 一方のParty部隊は慌てて十字路の向こうへ逃げ込みながらも、間に合わせながらも体勢を立て直して応戦の姿勢を見せる。


 そして十字路を舞台に、敵を眼前に見た近距離での激しいぶつかり合いが始まった。



――――――――――



ぼっくんが考えたもっと最強のN〇w C〇lifornia R〇public。

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