【二十首連作】正しさとは何ですか

正しさとは何ですか

愛の糸掴み釣られて生まれ出る

祝福の唄聴きながら泣く

母の肌その温かさに眠りつく

安らぎの中感じた幸せ

父の目は遠い空を眺めてて

私のことを喜んだ　でも

生命の残り時間は少ない　が

父も母も私を「宝」と

生きることその楽しみ美しさ

分からないまま死ぬ運命の

私から言葉を知らず想いだけ

その肌に触れ伝えるように

病院の集中室の閉じられた

世界の隅何もできない

沈黙の麻酔の中夢現

神に抗えど生きる屍

結果などそもそも分かっていたように

それでも医師は鼓動を救う

呼吸するただ呼吸する肉体の

寂しさ悲しさ解らなくていい

涙すら流せないのに生きている

死んでいるような小さな命

ねぇ、明日私は死ぬの？声はない

自分のせいだと諦めたいよ

ねぇ、明日私は死ぬの？声はない

靄（もや）の掛かった家族の記憶

このまま、と　なんて言わないで私の

寂しさ悲しさ解らなくていい

お母さん　私の手を優しく

ただ握っていてそれだけでいい

お父さん　私の手を優しく

ただ握っていてそれだけでいい

愛の糸掴み釣られて落ちたのか

精神だけの世界を創る

お母さんお父さんとの幸せな

記憶を創りながらパラレル

当たり前の日常の中生きている

私は確かに笑っているよ

今はただ残酷な今

正しさを正しさと言うのは待っていて