再開

「………ん?…ここは…」


フェリアさんはゆっくりと起き上がり、辺りを見渡す。


「あ、起きた」


フェリアさんは俺のことを少し見つめた後………。


「キャァーーーー!!!紅蒼せきそうの悪魔ー!?!?」


フェリアさんは俺に強烈な右ストレートをかましてきた。


「ぶへぇっ!」


左頬に綺麗に入ったフェリアさんの拳の勢いで、俺は床に飛び転んだ。


痛てっ…せっかく生き返らせてやったのに、しかも初めて会うやつに最初にぶん殴るか?


「な、なんだよいきなり。生き返らせてやったんだぞ?」


「え?」


フェリアさんは一瞬キョトンとした。


「フェランが貴方に会いたいって言うからさ」


「え!?ふぇ、フェランさんが居るの?!」


「あぁ、この廊下を真っ直ぐこの部屋から三番目の…」


俺が言いかけている時に、俺をまた押しのけて全力ダッシュで部屋に向かった。


「イッテテ…全く、ま、いいか」


俺もその後に続いた。


◆◇◆◇フェラン私室◆◇◆◇



「よし!これで完成!」


フェランが資料を片して居るその時だった。


「フェランさん!」


ドアが勢いよく開き、懐かしい声が聞こえてくる方へ顔を向けると、そこには、あの日死んだ筈の恋人がいた。


「フェリアさん!」


走り向かってくるフェリアさんをフェランは受け止め、二人は抱きつき合った。


「本当に…本当に良かった…!」


フェランは泣きながら力強くフェリアを抱きしめる。


「フェランさん…生きててよかった…」


そして……。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇


俺は、フェランの私室へ向かった。

すると、そこには泣きながら抱き合っている二人の姿があった。


あー……これ行って良いのかな?

………まぁ、少し二人だけにしといてやろう。


俺は、開いているドアに隠れて、少し待った。


そして、二人が泣き止んだ位にノートは口を開く。


「あー、もう良いかな?」


「あ、ノートさん。いらしたんですね」


「……!?」


フェリアはフェランの後に隠れる。


「フェランさん、逃げましょう」


「え?なんで?」


「紅蒼の悪魔ですよ!?ほら、街の近くの森で違法売人達を全滅させた…!」


「大丈夫だよ。俺を救ってくれたのも、フェリアさんを生き返らせてくれたのも、あのノートさんだから」


「ほ、本当?」


「あぁ、如何にも」


全く、誰だ?「紅蒼の悪魔」なんて異名つけたのは。

俺は、支配者・・・だっつーの。

つけるなら、「紅蒼の支配者」とかだろ。


「………フェランさんがそう言うなら…」


「まぁ、信用しないのなら………


「「……………!?」」


悪魔のような顔をしたノートに、二人は背筋が凍った。


「……冗談だ!安心しろ、信用がないなら、此れから討ち取って行く」


二人は安心したように息を吐いた。


「あぁ後、フェランは此処に残るらしいけど、フェリアさんはどうする?」


「フェランさん。此処に残るって言うのは…」


「俺は、深淵狂気の森で死にそうになっているのをノートさんに助けてくれたんだ。それの恩義を返さないとだし、深淵狂気の森からもう一度抜け出せるなんて保証はないからね」


「……分かりました。ノートさん…でしたか?生き返らせてくれたんですよね?」


フェリアさんは、俺の前に歩いてきて、どけ座をする。


「本当に…本当にありがとうございます!フェランさんと、もう一度合わせていただいて…」


フェリアさんは、顔を上げて俺に向かって言葉を放った。


「このご恩、フェランさんと共に、返させて貰えないでしょうか!?」


フェランは息を呑む。

そして、俺は察した。


あー、この空気、俺が「いいよ!」っていうのを待ってて緊張してる空気…重い空気だ…こういうの苦手だから早く片付けよ。


「………無論だ。留まってくれることは嬉しいしな」


「あ、ありがとうございます!」


フェリアさんは、フェランと共に、抱きつき合う。


「あ、ノートさん。これ…」


フェランは、資料を渡してくる。


「お!もう出来たのか?早いな…って、クマ凄いな」


よく見ると、フェランの目元はクマが出来ていた。


「いや…とても面白い物だった物で…一夜寝ずに没頭してしまって…」


「有難いが、体には気をつけてやってくれ。今回のこの結果で、お前の優秀さにはよく分かった。だからこんな人材をすぐには消費したくない。これは命令だ、しっかり休めよ?」


「は、はい!」


「今回の結果はお前達二人に与える。此れからの結果もな。しかし、今度からフェリアさんはフェランの手伝いをしてくれ。そうしてくれれば少しばかりの権力を与える。この国は金という物はない。皆分け合ってくれ。まぁ、お前達なら安心できる」


「「は、はい!分かりました!」」


そう、このオーバーローズには金という物がない。

だって、あんな物に縛られて物を買えないなんて無慈悲過ぎる。 

っていうか、あんなメダルや紙切れ如きに必死になってた前世は何というか…自分が可哀想だ。


「まぁ、此れからも頑張ってくれ」


「はい!有難う御座いました!」


そうして俺はフェランとフェリアさんの私室を出た。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


俺は、オーバーローズの城の後にある巨大な、海へ繋がる湖、汽水湖へ向かった。


ほうほう。

これをこうして…ここにこの歯車か、なんかプラモデル製作みたいで楽しいな。


そして、俺は魔力水を操作して、巨大な艦船を作った。

汽水湖は丁度その艦船が入るくらいの大きさだった。


「おぉ、やっぱり強そうだな」


俺の目の前には、鋼鉄の城。

海上の覇者、「戦艦大和」の姿があった。

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