縛られない支配者になるために…!

八風ゆず

支配者の誕生編

何からも縛られないために

俺は、何かに縛られるのが嫌いだった。

強制的にやらされる事、行動の制限、誰しも嫌いであろう。

だが、仕方なくやっている人が全員と言っても良いほどにこの日本にはいる。

それは「ルール」であり、守る義務があるからである。

だが、俺は「縛られる」っというもの自体が全て嫌いだった。


仕方ない事でも、義務だったとしても、嫌いだった。

自由になりたかった。 


けれど、そうなってしまうと世界は無法地帯になってしまう。

「ルール」があるから成り立っているこの世界、もし、「ルール」、「制限」がこの世から無くなると人類は滅亡するだろう。それでは意味が無い、そうなってしまうと、俺自身が死んでしまう可能性がある。


そこで俺は、「俺だけ」が自由になれば良いという考えにたどり着いた。自己中心的な考えではある。しかし、そうなれば俺は死なないし、無法地帯にならなくてすむ。


そこで、必要な事は全て手に入れる事を決意した。

力、権力、知能、全てを手に入れるために努力した。


力を手に入れるために、柔道、剣道、弓道、空手、日本の武術全般は毎日練習し、塾にも毎日通った。

権力は凄く小さい規模ではあるが、中学校三年生になって生徒会長となり、学校の権力はほんの少しだけ手に入れた。

そんな俺は力も権力も知識も手に入れた訳だが…。


……まだ足りない、俺が求める「自由」とはこんな物ではない!

力、知識、権力は完全に手に入れた…。

世界トップクラスに強い、賢い、っという訳ではないが、「少数人VS俺だけ」のタイマンなら、装備が同じなら勝てるのは勝てるし、知識に関しては学年一位から三位には入ってはいる。

権力は完全ではない、しかし、生活面では完全に手に入れていると思っている。


……だが、足りない。


俺にはもっと力、権力、知識が欲しい!

その為には世界レベルの政治家になることを目標とするだろうが、俺はそのまた上を行く。


そこで俺は考えた、何からも縛られない為にはどうすれば良いのか…っと。

そこで俺の知識の中で導き出した答えは…「支配者」になることだった。


支配者とは、人を束縛し、自由な行動などをとらさないと言う意味があるらしいが、しなければ俺が自由っと言う物を手に入れる事に文句はないだろう。


そして、「世界を手に入れる」では、まだ限られる。

「支配者になって世界を手に入れる」、だと完全な自由を手に入れる事が出来る。


何故って?理由は単純さ。


支配をすれば俺に逆らう者、事は無くなる。

さっきの話で支配者になれないと思った人も居るだろう。

だが、支配者として、俺に逆らわせ無くすれば、支配者になれると言うわけだ。


おっと、勘違いしないで頂きたい。

俺はよくアニメに出てくる「悪党」の考えとは違う、「金」や「奴隷が欲しい」などという願いではない。

俺は「自由」の為に世界を支配する。勿論、市民や大臣達には生きていて貰わないと困るから生かしてはおく。


そうして、去年の夏、高校最初の夏から始まった計画「仮想自由現実化計画」を開始した。

出来るか分からない事でもやり切りたいと思った。

現実味のない事でもあるし、出来るはずがない。だけどなりたかった、「縛られない支配者」に。


だから、命だって捨てれる。

縛られない支配者になるために…!

その覚悟はあるんだ、この腐った世界を正す為には。

そして一年、まずは計画を立てることにした。


そうして、答えが出た。知識はほとんど手に入れた、なので次に、「権力を手に入れるために力をつける」っという結論に至った。


そうして今、俺は山籠り修行中である。

親は旅行で一週間は帰ってこない、つまり、山籠りをするには絶好のチャンスであった。

瞑想、滝修行、自給自足、全ては順調に進んでいた。

そう、四日目までは…。

四日目の夜、俺は「夜間の修行もやらねば!」っという思いつきで、夜に修行をしていた時である。


「……そこだ!」


俺は目を、バ!っと開き、小石をトカゲに投げる。

その結果は見事命中。


「ふぅ、山籠りしてから気配を感じる事に結構なれてきたな。っと、次は夜ならではの反射神経修行といきますか!」


俺は飛び起き、走り出した。

そう、真っ暗な中、木にぶつからないように避けながら走るという修行。


俺はそれも順調にこなしていた、しかし不注意だった。

「よし、あの木を避けたら最後にしよう」

そう思い、避けた時だった。


「よし!これで今日はおわり……ってうわぁぁーー!!!!」


そこは崖だった。

俺は真っ逆さまに落ちていった。

冷たい風に当たりながら。その間、考えていた、この風を操ることが出来れば、浮くことも出来るし、石がなくたって風を刃にすれば攻撃だって出来るんじゃないか…?っと。


修行は完璧だった、しょうが無い、人はいつか死ぬものだと、ここが俺の寿命だったのだと。


そうして、俺の計画「仮想自由現実化計画」は、失敗に終わったのだった………。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



目の前が真っ暗になった。

死ぬってこういうことか?

何もない空間、それをぼーっと眺めていると。


目の前に、美しい女性が現れた。


願いリクエストを承認、エクストラスキル 「風」 を獲得しました。エクストラスキル「風」を獲得したことにより、エクストラスキル「風操作かぜそうさ」を獲得しました。続いて耐性「風圧無効ふうあつむこう」を獲得しました。次に、メタリックスキル 「風切かぜきり」「風盾ふうこう」を獲得しました。》


その女性は口を動かさないだが、頭の中で、声が響いた。


神様の声か?最後に夢を見せてくれるなんて、良い神様だ。

はぁ、出来れば世界を支配者して独占したかったものだ。


願いリクエストを承認しました。ユニークスキル  「主権独占しゅけんどくせん」を獲得しました。スキル情報が複雑なため整理し、スキル情報を音読します。 自分より魔力の低い者、同レベルの者のスキル、魔法、の権能の主権を握る事ができる。このスキルを、封印、除外しない限り、同じスキルの効果、ダメージは、受けない。》


お!まさに夢見たスキルだな。

それを生きていた時に使えたらな…。


願いリクエストを承認しました。輪廻転生を開始します。………輪廻転生に必要な依り代を作成、見本モデルとして、現世での肉体を複製コピーします。魔力の具現化に成功、依り代作成に成功しました。》


な、何?転生?俺…本当に死んだんだ。

いや、分かってはいたけど…ちょっと期待してたのに…。


《種族名人間ホモサピエンス 個体名 疾空悠馬様、貴方の現世でのご活躍は天界で優秀とみなされました。》


ゆ、優秀?何処が?


《はい、自由を求める貴方の姿は優秀と見なされました。私の代行に、プラチナスキル精霊の補助スタッフスピリット贈り物ギフトとして送信します。続いて、火焔操作かえんそうさ流水操作りゅうすいそうさ空間感知くうかんかんち波動感知はどうかんち模写分解もしゃぶんかい詠唱不可えんしょうふか、毒無効、熱寒無効ねっかんむこう、電流無効、波動無効、水圧無効、精神攻撃無効せいしんこうげきむこう高速思考こうそくしこう火焔武装かえんぶそう流水武装りゅうすいぶそう物理攻撃無効ぶつりこうげきむこう仮想攻撃無効かそうこうげきむこうを獲得しました。》


すると、多分精霊の補助スタッフスピリットっていうスキル?が、精霊のような感じで、多分美しい女性は女神、その横に現れた。


ま、まじかー、っていうか、転生か…しかもこの量のスキルや耐性を貰えば、俺の夢が叶う!今度こそ、縛られない支配者になってやる!


《報告、魔力による具現化としての対象年齢は十六歳となります。》


…え?それってどうゆう……?


《転生年齢はぜろ歳からとなります。》


ま、まじか…俺の思ってた異世界転生と…違う…!


てっきりスライムとか剣とかそんなのに転生するのかと……。


《輪廻転生を本格的に開始します。…………準備が完了しました。輪廻転生を行います。》


そうすると、精霊の補助スタッフスピリットが俺の中に宿る。


その時、目の前が光り始めた。

そうして目を開けた先には……。 


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




ヨーロッパかドイツの建築をした天井が見えた。


「お、おぉ!シャルリアよ!我が子が目覚めたぞ!」


そこには、白髪しらがをしていて、白い髭の、多分まぁまぁ年をとっている、俺の父親?がいた。


「あらぁ!可愛い子!無事に生まれて良かったわ!」


そして左を見てみると、少しだけ老けている、こっちは俺の母?がベッドで寝ていた。

「我が子よ!お前の名前は ガヴァ・バルジェッタ、よいな!」


俺の名前はガヴァか、語呂がいいな。

ん?ちょっとまて、なんで俺会話が聞けてるんだ?


《私、精霊の補助スタッフスピリットによる言語解読です。》


あ、なんか女神らしき人から貰ってたな。

そこで俺は最初に疑問を持ったことを質問する。


精霊だから、受け答えはちゃんと出来るよね?


そう、こういう系は大体ロボットみたいになっていて、言葉の対応などが難しいのだ。


それと、普通に寂しい。


《私はスキルでありながら精霊です。一応自我はあります。》


あ、なら良かったー、会話相手がいて。

はぁ、転生してスキルもいっぱい貰ったけど、まだ赤ん坊だしなぁ~…やる事がない。


あ、そうだ、急に喋って驚かせてやろう!

俺は無駄な好奇心で喋ろうとする。


「あ、あう…あ」


う、クッソー、赤ん坊だから喋れねえ。


「大丈夫よ、今からミルクをあげますかね。」


………………ちょーーーっと待ってください!?


ヤバイヤバイヤバイヤバイ、見た目は赤ん坊だけど、中身は高校二年生だからちょっと抵抗あるんだけど……。


そうだ!泣けばよくね? 


「う、うぅ、おぎゃぁああ、うわぁああ」


「あら?違うの?それじゃあ玩具が欲しいのかしら?」


その後、精霊の補助スタッフスピリットも駆使しながらどうにか十歳になった俺。


そして、調べた情報によると、俺が生まれたこの家は大都市「ナスカラディア」の大商店を経営しているらしい。


つまり…父さんが店長って事か?


まぁ、世界支配に必要な武器などを買うには金が必要だから、ラッキーだったな。


あと余談だが、何故俺が優秀と女神に認められたかというと、努力の量が普通の人間より圧倒的に多かったかららしい。


で、その人材を失うのは惜しいってことで、転生したらしい。

なぜこの様なことが分かるのかというと、精霊の補助スタッフスピリットから聞いた話である。


精霊の補助スタッフスピリット結構使えるスキルだ!

これを使えば、この世界を支配する事が出来るかもしれない!

さてと、結構早いけど、「第二回仮想自由現実化計画」開始!

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