第2話 出会い:孝満ver.前から
式も滞りなく終わり教室に移動すると、外人さんは既に着席していた。
ジッと座っているだけなのに、存在感がスゴイ。
空間が体育館より狭くなった分、金色具合が増したように感じる。
彼女はメガネをかけていた。
タヌキを連想させる、太くて大きい黒縁のプラスチックフレームに嵌まっているのは極めて度の強いレンズ。その厚みはフレームからはみ出ているのが容易に確認できるほどで、いわゆる「ビン底メガネ」と呼ばれるもの。レンズ越しに見えている部分は大変小さくて、目なんか半分くらいの大きさしかない。ヘタすれば、いや、ヘタしなくても昆虫みや深海魚みが自動的にアップする魔法のアイテム。よって、ブサイク度は爆発的に跳ねあがる。
なのに!
可愛いのだ。
反則的に可愛いのだ。
どんなふうに可愛いのかといいますと。
まず、目が可愛い。金色の長いまつ毛にパッチリオメメがエグイくらい可愛い。←鼻がそんなに高くないため、ノーズパッドが効いておらず、メガネがかなり下までズリ落ちてしまっている。そのため、見下ろすような位置関係だとレンズ越しではないナマの目が確認できる。
そしてすごく綺麗な碧い瞳。これがまた有り得ないくらい可愛い。
目以外もそれらに負けることなくバリ可愛い。
見るからに柔らかそうな丸みを帯びた輪郭は、幼さを猛烈に醸し出していて、今すぐ抱きしめたくなるくらいに可愛い。
これらを全部ひっくるめ、でったんでったんでぇ~ったん可愛いのだ。
そのことに割と早い段階で気付いてしまったため、横を通り過ぎる際、かなり離れているというのにあからさまに歩くスピードが落ちる。
長いこと見つめてしまったため、流石に気付かれた。
視線に気付き、顔を上げる彼女。
その瞬間、視線と視線が合わさりロックする。
すると…
睨まれた。
ヤベ!そりゃそーよね。こんだけマジマジと見られたら、ヤな気分になるよね。はよ、逸らさんと!
とは思っている。
が…
その引力といったらもう!
桁違いに強くて、そう簡単には逸らせない。
オレ、なんちゅーキモいことしよるん?
分かってはいる。
痛いほど分かっているから必死こいて逸らそうとしているのだけど、それを本能が拒絶する。
え~!なんで?こげなことっちある?いかん!見つめよる場合やないっちゃ!はよ逸らさんと、取り返しがつかんごとなる!ただ、机に貼っちゃー名前を確認しよるだけ。自分の席、探しよるだけなんばい?
訳:こんなことってある?ただ、机に貼ってある
半ばパニック状態の孝満は、彼女への言い訳を心の中で必死に繰り返す。
そして。
ようやく逸らせた頃には8秒以上経過。
「男と女は 8 秒目が合うと恋に落ちる」が、見事成立していた。←「女」の方は今のところ落ちたかどうかは不明。孝満が一方的に落ちただけ。
フォール・イン・ラ~ヴ❤
好きになってしまっていたのである。
おかげでキュン❤としまくり。否、キュンキュン❤❤しまくり。
まさに「キミに、胸キュン。」by YMOだ。
が、しかし。
色々と幼くて残念が過ぎる孝満は、まさか自分がそんな大変な事態に陥っているなんて気付けるわけもなく。
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