五体大満足転生

@funya3

第1話 俺転生した?

(うん?体が動かない。視界も白っぽくてはっきり見えない。視力が低下したかな)

……

「はじめまして。アスラちゃん、カルマ公爵家にようこそ」

(?)

(優しそうな女性の声だが……)


 全く体が動かず、優しく抱き上げられる俺、少し甘いような?そうだ、赤ちゃんのような匂い、乳くさいのか?


「大丈夫ですよ。私たちがお世話しますからね」

(メイド?メイドなのか?)


「んあぁ……」

(あ、声が出た。それにしても滑舌が悪いな)


「どうしたの?おっぱいが欲しいのかしら」

(まあ、少し空腹ですけども)


 口の横に、ぴとっと突起が当てられると、俺は反射的に突起を口に含んだ。所謂口唇反射というやつだ


 かすかに甘いような、人肌の液体がちゅうっと口の中に入ってくる。俺の軟口蓋の辺りに流れができ、徐々に上手に飲めているようだった。徐々に俺のハラが腹八分か九分になってきた。


「はーい。げぷげぷしましょうね」

 俺の食道胃接合部が、良い感じに開き「けぷっ」と可愛いゲップが出た。

「げぷが出ましたね。良い子ですね」


「アスラは元気なようだな」

(この男性が俺の父親?)

(父親?)

(俺が子供?赤ちゃん?)


(そういえば、話されている言葉は日本語ではないな。英語でもないし、なぜ俺は言葉を理解できているのか?)


「パァパ」

(俺は、言葉の意味で父親を呼ぶであろう喃語を発した)

(しかし、この言葉は聞いて覚えたわけではない。じゃあなぜ話せる?)


「!アスラが、しゃべった!」

「アスラ様が!」

「生まれたばかりの赤ちゃんなのに」

「パパなんて言葉、誰も教えてないわよね」


(あ!ここは平等に呼ばないと)

「マァマ」

「「「……」」」


「まあまあ、私を呼んでくれたわ」

 母親らしい女性は涙声で喜んでいるようだ。


「めぇどぉ」

「まあ私たちまでよんでくださいましたわ」


(これは、あれだな、なんていったっけ。転生したんだな。それも異世界に)


(ここは、そうだ!皆さんご唱和ください!ステータスオープン!)


名前:アスラ・カルマ

種族:人族

称号:カルマ公爵家嫡男

年齢:0歳

レベル:1

状態:五体不満足、200年不老?不死の呪い。

スキル:言語理解、アカシックレコード検索、全属性魔法適正、全状態異常耐性、全攻撃耐性


(五体不満足?何それ?)

(公爵家嫡男?)

(呪い?)


「ニョロイ?」

「おお!それも分かるのか!我がカルマ家は、1000年前に千手観音デーモンを討伐した時に呪いを受けてな。子供は一人しか生まれないし手足がないのだよ」

「でも普通の人より長生きで殺しても死なないわ。若い状態で200年。そこから老化しながら数十年生きるのよ」


(何ですと?)

(突っ込みどころ満載だな)

(チートなのか?残念なのか?)


(明日はどっちだ?)

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