僕と風俗嬢!②の②

崔 梨遙(再)

1話完結:1200字

 真琴と普通にデートするようになって、テーマパーク、水族館、屋内プールなど、僕が真琴と行きたかった場所を一通り巡った。デートの夜は、マンションの僕の部屋に泊まるのがパターンになっていた。要するに普通の恋人と同じ、夜は結ばれていたのだ。僕達は夜の相性も良かった。真琴と一緒にいるのが楽しくて仕方がなかった。真琴は美人というよりはカワイイ系。いやいや、めちゃくちゃカワイイ。身長は155だったが、顔が小さいので背も高く見えるしスタイルも良い。


 プライベートで会っていたのだが、サプライズで店にも行った。売り上げに貢献したいと思っていたからだ。僕達は、そんな関係をしばらく続けた。


 そんな真琴が、或る日、僕に腕枕をされながら言った。


「もうすぐ、風俗をやめられるわ」

「そうなんや」

「うん、貯金が目標金額に達するから。これで私も自分の店を出せるわ」

「そうなんや、良かったやんか、おめでとう」

「そこで聞きたいんやけど」

「うん、何?」

「崔君は、私が風俗辞めたら結婚してくれる?」

「うん、ええよ」

「崔君、私のこと好き?」

「うん、好き」

「私が元風俗嬢でも結婚できるの?」

「うん、現役と結婚したらヤキモチ焼くと思うけど、風俗辞めたらヤキモチを焼くことも無いし、何の問題も無いやんか」

「崔君、私、崔君に本当の年齢も言ってへんのやで」

「うん、知ってる」

「それでも結婚できるん?」

「うん、何歳でもええやんか、僕は今の真琴が大好きやねんから」

「うーん、やっぱり悩むなぁ」

「何を悩んでるの?」

「今、好きな人が2人いるねん」

「はあ」

「1人は崔君、もう1人の人は昼の仕事で知り合った人。その人は私が風俗やってるって知らんねん」

「ほんで?」

「昼の人と付き合ったら、なんか騙してるみたいとちゃう?」

「そんなことはないやろ、死ぬまで隠し通したらええねん」

「でも、崔君は私が風俗嬢やと知った上で受け入れてくれるやろ? その方がええんかなぁって思うねん。隠し事無しで暮らせるやんか」

「いやいや、まずはどっちにより強く惹かれてるかやろ?」

「ほな、ごめんやけど昼の人」

「ほな、昼の人に告ったら? それで上手くいったらそれでええやんか。昼の人にフラれても僕がいるやんか。失敗したときの保証付きやったら思い切って告れるやろ」

「崔君は、それでええの?」

「うん、相手が真琴やからそれでええよ。真琴が幸せになれたらええねん」

「ほな、お言葉に甘えて告ってみるわ」

「うん、フラれたら僕のところにおいで」

「わかった」



「崔君」

「どうなった?」

「昼の人と付き合うことになったわ」

「そうかぁ……まあ、良かったやんか」

「ごめんな」

「ええよ、幸せにならなアカンで」

「今までありがとう」

「こちらこそ」


 真琴が泣き始めた。僕は真琴を抱き締め、なるべく優しく言った。



「これからは、好きな人の胸で泣かなアカンで」







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僕と風俗嬢!②の② 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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