【伊藤博文】主人に反抗する奴にはおしおきを
アメリカの反乱! なんということだ。さっきまで、いかにアメリカを発展させるか考えてやったのに、奴ら裏切りやがった! いや、心配することはない。前回と同じく、飛行船からのダイナマイト爆撃で一瞬にして終わる。「いつも通りの戦いをするように西郷に伝えろ」と側近に伝えると壁を殴る。今度こそ、徹底的に叩きのめす。二度と立ち上がれないように。
反乱への対処は指示したし、戦後のことを考えよう。まずは、属国ではなく、大日本帝国の正式な領土にする。そして、徹底的に搾取する。鉱物の採掘を安価な人件費でアメリカ人にやらせて、経済力を失わせる。そして、本土から来た国民が大陸横断鉄道を使ってアメリカの観光各所を楽しむ。よし、これだ。これなら我が国の発展は約束される。
反乱が始まって数日、陸軍はアメリカ軍の鎮圧に苦戦していた。新聞社は「アメリカ鎮圧も時間の問題」と書いているが、それは伊藤博文の指示によるものだった。国内で不安が膨らめば、下手したら国内でも同じく反乱が起きるかねない。何がなんでも情報の流出は避けねばならなかった。
伊藤博文は今回の反乱に違和感を覚えていた。反乱そのものではなく、なぜすぐに鎮圧できないのかだ。前と同じ作戦は通用していないのだろうか? もっと情報が必要だ。アメリカ現地にいる西郷隆盛に聞くのがいいだろう。
西郷隆盛からの返事は来なかった。さすがに堪忍袋の緒が切れた。「お前が現地を直接見てこい」と側近に指示すると、「戦場に行けと……?」との返事だった。
「何を馬鹿なことを言っている! 俺の右腕なんだ、それくらいしてもらいたい!」
側近は尻に火が付いたように執務室を出て行った。「そんな、あんまりだ」という言葉を残して。
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