霊感少年の憂鬱!

崔 梨遙(再)

1話完結:500字

 知人に、霊感があるという男の子がいた。その話は、いつの間にか有名になっていた。ちょっとした有名人。


「あの子には霊感がある!」

「あいつには霊感がある!」

「あいつに相談すればいい!」

「その手のことはあいつに頼もう!」

「そうだ、任せてしまおう!」


 結果、大量の心霊写真が彼のもとに届くようになった。手が多い、上半身が無い、下半身が無い、腕が無い、足が無い、などの写真だ。それを“処分してくれ”という依頼が殺到したのだ。依頼した方は、“あいつに任せたからもう安心だ!”と、任せた時点で安堵していた。しかしノーギャラ。処分する写真が多すぎてパニックになった彼は、もう霊感に関わる話をしなくなった。彼は、霊感があるというだけでお化けは気持ち悪いと思っていたらしい。見えるけど、お化けは怖いらしいのだ。見えるから怖くないというのは僕等の思い込みだった。それから、彼は“自分は霊感が無くなった”アピールをし始めた。それでも、しばらくは心霊写真が届いたという。


 

 引っ越しを境に心霊写真が届かなくなったらしいが、引っ越しを機に携帯の番号も変えたとのこと。かわいそうだった。







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霊感少年の憂鬱! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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