悪魔の班ノート

あめこうじ

第1話 古びた班ノート

 僕は山本優斗やまもとゆうと。高校2年生。高校には今は使われていない東館がある。東館を探索してるとある部屋の引き出しに古びたノートを見つけた。班ノートと書かれている。中身を見てみた。

 

5月10日 矢野健二やのけんじ

ぼくはハンバーグを食べました。

とてもおいしかったです。

 

5月11日 田中大介たなかだいすけ

夏への扉という小説を読みました。

人間が冷凍保存される話です。

 

5月15日 矢野健二

ぼくはカレーを食べました。

おかわりをしました。

とてもおいしかったです。

 

5月18日 田中大介

デューン砂の惑星という本を読んでいます。

めちゃくちゃ面白いです。

早く続きが読みたいです。

   

 

 この班ノートには矢野健二と田中大介のふたりが書いているようだ。矢野は給食の話。田中は読書の話だ。先生の返事がないようだけど高校生にもなるとないのかな。

 

7月9日 吉岡久美子よしおかくみこ

はじめまして。吉岡久美子です。

よろしくお願いします。

私は数学が得意です。

   

 

 お。途中から吉岡久美子という人が加わった。女性かな。パラパラとページをめくっていく。

 

9月26日 田中大介

文化祭ですね。おすすめSF小説を書いて図書館に掲示しています。


9月27日 吉岡久美子

私は数列問題についてレポートします。


9月28日 矢野健二

ぼくは給食のおばちゃんと食堂を掃除しました。

   

 

 文化祭か。しかしこれ以降矢野健二の書き込みがなくなった。田中大介と吉岡久美子のふたりの書き込みが続く。

 

2月19日 田中大介

もうすく春。新入生が来る季節。

 

2月20日 吉岡久美子

新入生なんて来ない方がいい。

   

 

 なんかそっけない書き込みだ。それ以降田中大介の書き込みがなくなっている。そして班ノート最後の書き込みを見た。

 

6月4日 吉岡久美子

1 2 4

8 16 32

64 128 256

512 1024 2048

4096 8192 16384

32768 65536 131072

262,144 524,288 1,048,576

2,097,152 4,194,304 8,388,608

16,777,216 33,554,432 67,108,864

134,217,728 268,435,456 536,870,912

1,073,741,824

次は?

   

 

 うわあ。数字がびっしりと書かれている。まるで悪魔の儀式か何かか。最後に「次は?」と書かれている。問題なのかな。よく見ると数が2倍になっているだけだ。

 吉岡という名前の生徒はいない。長瀬高校は田舎の学校だ。全校生徒は30人足らず。ノートの古さからみても卒業生だろう。僕も書いてみよう。

 

6月5日 山本優斗やまもとゆうと

次は 2,147,483,648 です

その次は 4,294,967,296 です。

   

 

 それだけ書いてノートを引き出しに戻した。

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