第32話 帰宅

村に戻っている最中、痕跡を追ったとのことで鉄をまとった熊の事を聞いてみると、戦闘時は全身を鉄で纏って襲ってくる為魔法が使えないとかなり厳しい相手になるとの事だった。


そこで僕は襲われなかったという話をすると、子どもが居る時は手を出したり近寄らなければ基本は何もしてこないんだそうだ。


僕が見かけたのと同じ熊(名前はアーマーベアだそうだ)を見かけたが放っておいたらしい。


僕の魔力縛りをする相手には最悪な相手だったってことだ、超ラッキー。




「戻るのが遅くて心配したぜ」


村に着き途中で魔法使いさんと別れ、僕はカイルさんに連れられて家に戻ると両親が待っていた。


「二人してずーっとあたふたしててね。夕方になっても戻ってこないから二人には家に戻ってもらって、僕がロイと一緒にアンドレイを探すことにしたんだ」


調子に乗って日が暮れても戦おうとしちゃったもんなぁ、それに迷ったし、反省しよう。


「ごめんなさい」


「いやいや、謝る必要なんてないさ。森の惨状を見れば君がどれだけ戦い続けたか良くわかるよ。本当に頑張ったね」


僕の謝罪に苦笑いしながらそう答える。


「そんなに凄いもんだったのかい?」


「ああ、途中まではゴブリンの死体が点々としてたんだけど。ある程度奥に行ったところにオークとブラッドウルフの死体が足場が無くなってるんじゃないかと錯覚するほどにあったからね。聞けばその全てを魔力を使わずに倒したって言うから本当に大したものだよ」


「そうかそうか!!俺も見てみたかったもんだな。んでアンドレイ、結果はどうだ。スキルを得られた感覚はあったか?」


「うん!」


「そうかそうか!!」


「戦っている最中に力が溢れ出すような感覚になったかい?それと周囲がゆっくりになったような感覚に」


「うん。あと周りがゆっくりになった」


「そうかい!それなら間違いなく取れているはずさ!」


(おお、あの感覚が目的のスキルだったらしい!)


ところで、僕は今現在滅茶苦茶眠い。


結構無理して戦ったから眠くなっていた。


その為、頭がカクンカクンとなってしまう。


その様子を見て。


「おう、アンドレイ。腹は減ってるだろうが飯は明日にして寝ていいんだぞ」


「作っておくはずだったご飯も作り忘れちゃったんだ。明日ごはんにしよう」


「寝るのは装備を脱いで、体を拭いてからだよ」


そう言ってくれたので僕カイルさんに装備の着脱を手伝ってもらい、体を拭き、トボトボと寝室へ行き一瞬で寝てしまった。




「それで、見に行きたいのかい?」


ソワソワしている様子の二人に苦笑いしながらカイルが問う。


「そりゃあ……ねぇ?」


同意するように二人は目を合わせると頷く。


「行くかい?連れていくよ」


「ほんとか!?」


「ほら、早くいくよ!!」


「ちょっ、まって!!」


二人に担ぎ上げられ家の外に出て、降ろしてもらった後にアンドレイの戦っていた場所に出向いた。


アンドレイが倒した魔物の数々に二人は大興奮しながら死体見物しており、それは朝になるまで終わることがなく、カイルはそれに付き合わされてしまいましたとさ。

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