31話 前哨戦②

『それでは第一ブロックの試合をスタートします』


というアナウンスとともに全員が臨戦態勢に入る。


『それでは試合スタートです』


とともに地面から木と炎が迫ってくる。


「「チッ」」


とフィールド内で舌打ちが2つ聞こえてくる。


(魔法使いか...お互いに考えが被った感じかな?)


なんて思いながらシールドを展開、そしで上にジャンプ。

空中に跳んであたりを見回すと2、3人すでに脱落していることがわかる。


「初見殺しだもんね~、こればかりは経験の差だよ」


なんてつぶやきながらシールドを足場にして上空に待機。木が炎に焼かれてなくなるのを待ってようッて算段だ。だけどそれを考えるのはみんな同じ。

そして海外の攻撃的な戦い方から推測するに多少足場が不安定であろうとも彼らは防御はあまりしないだろう。


「ほら来た」


シールドを足場にして空中で乱戦。彼らに守りの概念はないらしい。


「それなら俺も下が落ち着くまで戦いますか」


シールドからジャンプしまたシールドを生成。そして相手に近づいては刀を振るい、相手から離れる。

ヒットアンドアウェイに徹するのが一番安全で一番効果的。


「だけどそろそろこれも終わりかな」


下を見ると炎によって木がみるみるなくなっていってくる。さっきまでフィールドの床すら見れなかったのに今はもう床が全体の2/3見えるぐらいにはなくなっている。


(それなら下に降りておこう)


なんて考えが頭に浮かび、そのままシールドを解除し下に落下。先に降りていけばこの後降りてくる奴らに着地狩りを仕掛けられる。なんて考えながら地上についたのだがいまだに炎自体は存在するので熱いったらありゃしない。


「ほぼサウナじゃん」


地上に残っている木を刀で切りながらそうつぶやく。とはいってももう木も残っていないためすぐに火はおさまるだろう。


「それよりもそろそろかな」


空中組が地上にもうそろそろで降りてくる時間だろう。


「それじゃあ着地狩りスタート」


まずは最初に降りてきた1人を刀で一刀両断、その次に降りてきたやつも真っ二つ。だけど俺が地上で着地狩りを仕掛けてくることに気づいたのか空中組は地上に降りるときシールドを展開しながら降りてきた。


「さすが、対応が早い」


なんて思いながらシールドをしてない人間を探しては着地狩りを続ける。だけどもすでに空中にいる人たちはほぼいない。ほとんど地上に戻ってきたらしい。


こうなったらまた乱戦ってわけで俺も近くにいたやつに狙いを定めて攻撃を仕掛ける。だけど防がれた。


「強いな」


ここにいる全員が強い。そしてそんな人間が1vs1を黙って見過ごすはずがない。もし俺がこのまま攻撃を続けようものなら必ず漁夫りに来るだろう。


だから俺は乱戦の時は基本的に1人の敵に固執しない。もし攻撃が防がれたら、そのままその相手は放置し次の自分の進路先にいる敵を狙う。場合によってはこっちが漁夫の利をするのもありだ。


「だけどみんな警戒してるなぁ」


おそらく相手方も漁夫の利が来ると理解しているのだろう。1vs1をしているやつらですら戦闘の意識を何割か外からの攻撃に割いている。


「だから何だって話なんだけどね」


魔法戦はともかく近接戦は個人的に世界も通用すると自負している。たとえ警戒されていたとしても今の状況なら関係ない。


「let's go」


と深呼吸した後、足に力を入れる。足で地面を蹴って相手の反応できないスピードで剣を振る。


「ほらよ」


そして一気に1vs1をしていた2人を撃破。この調子でやっていけばバトルロワイアルのほうは突破できそうだ。





バトルロワイアルは終盤になるにつれてダレてくるってよく言うが実際そうなのだろう。


フィールド上にいるのは残り4人。試合は膠着状態になっている。


ちなみに30人の中で一番撃破数が多いの多分俺。それをほかの3人は理解しているから全員の警戒が俺に向いてる。

ちょっと派手にやりすぎたかもしれない。


とはいってもいつまでも膠着状態でいるのも時間の無駄だから警戒されている俺が最初に動きますか。


刀を左に持ち替えて携帯しているナイフを取り出す。随分左右の長さ比が違う二刀流だなって感じ。それはそうとして早速やっちゃいますか。


「....よしっ」


右手のナイフを右側の相手に投げる。こう見えて投げナイフとかの曲芸技も得意なんだよね。

『右側の敵』はナイフを剣で捌くけど一瞬隙ができた。そのすきを他2人が見逃すはずがない。『左側の敵』と『正面の敵』が『右側の敵』に襲う。

つまり俺がこの状況で狙うべき相手は右側の敵を襲おうとしている俺から見て『左側の敵・・・・』。


そりゃあ隙を見せた相手を狩るのは戦いの常識だからね。実際、隙を見せた『右側の敵』を倒すために『正面の敵』と『左側の敵』は俺に完全に隙を見せていたからね。


状況は俺vs『左側の敵』、『正面の敵』vs『右側の敵』って感じだ。つまり俺は左側の敵を速攻倒して『正面の敵vs右側の敵』の戦いを漁夫れば勝利というわけだ。


まずは目の前の相手に集中する。この状況じゃないと思うけど『正面の敵』と『右側の敵』が決着を付けずにこっちに来る可能性を考慮して意識を『左側の敵』に9割、その他に1割割いて戦闘スタート。




さあ、最終局面だ

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