29話 観光と買い物と試合前
翌日、イタリアのとある駅で集合を果たした俺たちは電車で都市部のほうへ移動する。
「来週の試合もあるし、やっぱりイタリアと言ったらコロッセオでしょ」
「たしかに」
というわけでコロッセオに移動中だ。古代ローマで闘技場として使われていた場所。約1500年前からこんなに大きい建物が作られているわけだから驚きだ。
「でっか」
「想像以上だね~」
都市部に着くと休日も相まって街は観光客でにぎわっていた。街並みも相まって昔に来たような気持になる。
「昔は屋根もあったらしいね」
「へぇー」
そんな風に観光をする。やっぱりまだ5月だが日差しと気候も相まって心地良い。
「日差し強いね。日焼け止め塗っといて良かった~」
「でも気温はちょうどいいよ」
「日本より蒸し暑くないしね」
その後も都市部を中心に観光をする。とはいってもイタリアの観光地って割と飛び地していて一日で回るのはかなりきつい。でももうすでに俺たちが回れる観光地はもうない。
「どうする?」
と昼飯を食べながら午後をどうするかについて話している。実際問題、やることがないためどうするか迷っている。
「やっぱり観光するならある程度予定を決めといたほうがいいね」
さて、午後は何をしようか
◆
「で?何をしようか考えた結果がこれ?」
「うん」
俺たちは今、武器屋にいる。
「......2人とも武器壊れてたっけ?」
「別に壊れてないよ」
「うん、何なら俺はこの前メンテに出したばっかだから新品同然だね」
「じゃあなぜに?」
「海外は日本と違う武器が多いからね。こういうのをじっくり見るのも案外面白いよ」
といいうわけで午後は武器屋で武器を見ることになった。
「ドイツの杖は美しいねぇ」
「機能美ってやつだな」
EU圏内ってだけあってヨーロッパ中のいろんな武器が店に並んでいる。ちなみに綾人はドイツの魔法杖に夢中だ。
「俺は一人で見てるから2人は先行っといて」
なんていうぐらいだ。普段なら付き合ってる俺たちに気を使ってるんかなって思うんだけど今日はたぶん違う。あいつはただ魔法杖に夢中で1人でじっくり見たいだけだ。
「そんじゃお言葉に甘えて」
というわけで雫と一緒に店を回ることになった。
「私はあまり武器を使わないからなぁ~」
「武器以外にも魔法の発動を助ける装備とかも売ってるよ」
「そういうのを待ってました」
というわけでいったん武器とはさよならをして今度はストラップなどを見ながら時間を潰すことにした。
「このペンダント可愛い。これどんな効果があるの?」
「水魔法の効果を底上げするやつだね」
「へー」
なんて見ていると途中から俺も装備の効果に夢中になってしまったよう気づけばかなり時間がたっていた。
「いろいろあるんだね~」
「そうだね。何か欲しいものあった?」
「うーん、しいて言うならピアス」
「あ~、あの位置情報を把握できるやつ?」
「うん。これがあれば湊がどこにいるのかいつでもわかるし」
「あれ?俺が付けるの?」
「そうそう」
「雫ってそんなに独占欲あったっけ?」
「全然そんなんじゃないってただデザインが気に入っただけ」
「へー、じゃあ俺はそれをつけるから雫も同じの買おうよ」
「私かっこいいタイプ似合わないよ?」
「レディース用のあるじゃん。これでペアルックってことで」
ということで結局、俺たちはピアスを1個ずつ買った。片耳につかるタイプで詳しく店員に聞くと位置情報がわかるだけじゃなく、基礎体力の向上だったりかなりの効果があるらしい。ちなみにその分高かった。
「でも私ピアスの穴開けてないんだよね」
「おれも。だから店員に頼んで紐に通してネックレスみたいにしといた」
「ほんとだ。かわいい~」
「ピアスって穴開けるときは痛いのかな」
「友達にピアスの穴開けた子がいるんだけどこの子曰く針を刺すときに若干チクってするだけらしい」
「へー」
◆
空も橙色に変わり、時刻もすでに夕方になった。ピアスを買った後、今度は武器のほうに行ったが結局何も買わずに終わった。ちなみに綾人は新しく杖と指輪を買ったらしい。本人曰く
「これがあれば湊に勝てる」
とのことだ。ぜひとも皐月戦で俺に勝ってほしいものである。
そしてその後は3人でどっかお店に入り夕飯を食べたのち雫ははホテルに戻り、綾人はもう少し街を散歩するといいこのまま解散になった。
俺はというと明日の前哨戦のためにストレッチと武器のチェックだけ済ませて布団に入る。
今日の前哨戦で勝たなければ当然コロッセオには出場できない。
「久々に緊張するなぁ」
こういう時に割とすぐに寝れるのも俺の特技だ。明日の試合に備え、すぐに寝た。
◆
「目覚めのいい朝」
時刻はちょうど6時きっかり。ひとまず顔を洗い、パジャマから服に着替えて昨日買ったピアスのネックレスを付け..付け...
「カッコつけないほうがいいか」
映画みたいに首の後ろに手をまわしてつけようと思ったけど難しすぎた。しょうがないからネックレスの金具を前で留めてから後ろに回す。
「それじゃあ、行ってきます」
外に出ると心なしか街が賑わっている感じがした。俺が大好きな戦いの空気だ。
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