16話 デート①

午前8時51分、学校寮から一番近い駅で俺は彼女を待っている。そう、今日は待ちに待った彼女とのデート!


そりゃあ俺だって人波に男子高校生なわけですし、恋愛したいですしまあ喜びますわ。


とはいってもデートと言っても俺たちにとってのデートはほぼ友達と遊ぶみたいなものだからあまり緊張するとかそういったことはない。というわけで今日のコーデはちょっと前に洋服屋でマネキン買いしたやつ。ファッションって普通に難しいし、やっぱプロがコーデしたマネキンと同じのを買うのが一番よ。


正直なところ実際、暇なときにファションってどういったものなのッて調べたりはしてるんだけど言ってることが難しすぎてわからん。コーディネーターってすごい職業なんだなぁ...



さて、そうこうしているうちに前から見知った顔がこっちに走ってくる。


「お待たせ、ちょっとメイクに時間かかっちゃって...待った?」


「全然、まだ9時前だよ?」


「そっか、よかった~」


「じゃあもう行っちゃおうか」


「そうだね」


そのまま駅の中に入っていき、電車に乗る。デートスタートだ。





今日のデートの内容は水族館に行くこと。俺もここ最近は友達とかと遊ぶ機会がなかったために結構楽しみだ。そして彼女も楽しみなのか、道中の電車内ですでに結構会話が弾んでいる。


「水族館楽しみだね。私なんて楽しみだから服とか結構気合い入れちゃった」


「おー、お洒落で似合ってるよ」


「ホントー?」


「ほんとだよ。めっちゃ可愛いもん」


「そう?よかった~」


電車内でかなり甘い会話をしているといつの間にか水族館の最寄りに到着した。


「こっから歩き?」


「5分もかからないよ」


そして水族館に到着。券売機にはすでに列ができているがそこまで人が多いわけではない。今日は運がよかった。


「前来た時よりも人が少ないね」


「ネットだと日曜日にはかなり人がくるって書いてあったんだけどな」


「ラッキーだね」


無論すぐに俺たちの番になり券売機で高校生のチケットを2枚買う。


「それじゃあ、楽しみますか」


「レッツゴー!」


俺たちは水族館の中に入場した。





水族館内は少し薄暗く、まるで海の中にいるように感じる。


「水族館の中ってなんだか落ち着くよね」


「わかる。なんか海の中に潜ってる感じ」


「それな。じゃあひとまず順路通りに進んでいきますか」


「うん」


いろんな魚を見ながら2人で水族館をまわる。水族館にはクマノミやエイなどの有名な魚だったり、名前も聞いたことのないような魚だったり、いろんな魚が展示されている。


「この魚さ、数学の先生に似てね?」


「いわれてみれば確かに」



「このエビってちょっと前に生物の授業で見なかった?」


「あぁー、先生が家で飼ってるやつ?」


「そうそれ」


なんて身内ネタで盛り上がりながら進んでいく。気が付くと俺たちは水族館で一番でかい水槽の前に来ていた。


「でっかいね」


「うん。中にサメいるよ」


「なんでこういう水槽の中のサメってほかの魚を食べないんだろうね」


「普段から十分にえさを与えられてるからって前にテレビで見た気がする」


「へー、待ってあのエイの顔めっちゃ可愛いんだけど」


「ほんとだ。エイの顔って何気に初めて見た気がする」


「なんかボケーってしてそうな顔だよね」


「確かに。虚無ってる時の綾人とかあんな顔だったような気がする」


「逆に虚無ってる時の綾人の顔が気になる...」


「あれ写真に撮ってたような...、あった。これ」


「確かに似てるかも」


そんなこんなで気づくと時刻は正午を回っていた。午前中の約2時間半をずっと魚を見見ていたわけだ。思ったよりもこの水族館広いな。いやだってこんだけ回ってまだあるんでしょ?

ひとまず水族館内にあるレストランに行きお昼を食べよう。


「昼めし食う?」


「そっか。もうそんな時間か」


「意外とすぐに時間たっちゃったね」


「そうだね。私もおなかすいてるしお昼済ませちゃおうか」


「じゃあレストラン行くか」


「レストラン楽しみ~」


「限定パフェ売ってるらしいぞ」


「ほんと?絶対食べる」


「俺も頼もうかな」





「オムライスおいしいね」


「うん。普通においしい」


レストランにつき俺たちはオムライスと限定パフェを頼んだ。そして現在、オムライスを食べている。オムライスはまろやかな味でめちゃくちゃおいしい。これを頼んでよかったと思えるレベルの料理だった。


「おいしかったね」


「うん。卵がふわふわでびっくりした」


「わかる。中のチキンライスもおいしかったよね」


「それな。頼んでよかった~」


オムライスを食べ終わり、お互いおいしかったと感想を言い合っていると店員がお皿を下げに来た。そして食後にと頼んでおいたパフェが届けられる。


「大きいね」


「うん。おいしそう」


「じゃあ早速食べちゃおうか。いただきまーす」


「いただきます」


届いたパフェを一口食べると口の中に甘いバニラエッセンスの味がが広がる。さすが限定商品なだけあってうまい。


「「おいしい!」」


思わず揃ってしまうほどおいしかった。

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