7.友達ウササと僕

「うしゃしゃ、おはよ!! ……うしゃしゃ」


「はは、もう少しだな。まだ時々しゃになっちゃうな。でも、もうほとんどちゃんと話せているし。そのうち言えるようになるさ」


 僕ね、時々『さ』が『しゃ』になっちゃうの。他にも時々変な言い方になっちゃう。赤ちゃんみたいなんだ。パパもママももう少しって言うけど、本当にちゃんと話せるようになるのかな? よし、もう1回、おはようだけ言おうっと。


「おはよ!!」


『『『きゅー!!』』』


 ウササみんなが小屋の中から僕の方を見て、返事をしてくれました。今のは多分おはようの鳴き声。いつも朝の挨拶はこの鳴き声だから。


「あいかわらず、何でアルフがおはようって言うと、みんなこっちを見て鳴いてくるんだ? 他にも寄ってくる魔獣が多いし。まさかみんな、本当にアルフに挨拶していたりしてな、ハハハハハッ」


 してたり、じゃなくてしてくれてるんだよ。ママがご挨拶した時も、今みたいに全員じゃないけど、挨拶してくれてるし。パパは……。パパはあんまり? 

 あんまり大きな声で言ったり、何回も煩く言ったり、そうするとみんな変な顔して、それからパパから離れていくの。挨拶から少しすると、寄ってくるけど。


「さぁ、中へ入ろう」


 パパが扉を開けてくれて、すぐに小屋の中へ入った僕。それと同じくらいにパパの声が聞こえました。


「待て!! 入るのはパパと一緒にだ!!」


「わぁ!? パパ! たしゅけて!!」


 そのパパの声とほとんど一緒。僕はある物の中に埋もれていました。今は『しゅ』を気にしていられません。僕がウササに小屋に入った途端、ウササが全員物凄い勢いで寄ってきて、みんなで僕に体当たりしてきたんだ。


 体当たりっていっても痛くないし、1匹なら体当たりされても立っていられるんだけど。今は小屋の中のウササ、25匹が一気に僕に体当たりしてきて。僕はその場で尻餅をついちゃいました。そんな僕のウササが次々に乗ってきて、僕はウササに埋もれちゃったんだ。


「パパ、たしゅけて!!」


「ほら、1人で入るから。いつも最初にみんなアルフに群がってくるから、最初はパパと一緒に入るって言っていただろう」


 そうなんだ。いつもウササは、僕が最初1人で入ると、どうしてか分からないけど、今みたいに全員が僕に集まってきて、僕はウササに埋もれちゃうの。

 僕ね、今日からみんなの小屋のお掃除と餌をあげられるって、それが嬉しくて、その事を忘れていました。


 パパがウササを掴んで、ポイポイとウササを僕から取ってくれます。ポイっと投げられたウササは、クルクル空中を回転しながら、最後は綺麗に着地。着地と一緒にポーズをしている子もいます。


 みんなジャンプは得意だし、今のパパくらいの投げ方だったら、平気で着地しちゃうもんね。図鑑に載っていたウササは世界記録? を持っていて。お家の1階のお屋根からジャンプしても、綺麗に着地したみたい。


「その子は…、そのままで良いか。いつも通りだしな。動いても落ちないだろう。落ちたとしても大丈夫だろうし」


 やっと最後の1匹。でもきの子は僕の肩に乗ったままに。僕は今肩に乗っているウササが1番の仲良しなんだ。他の子もみんな仲良しだけど、肩の子が1番なの。

 真っ白で、目が他の子は赤なのに、この子だけ綺麗な海色をしてるの。毛は長くもなく短くもなくだから、綺麗な目がよく見えます。


 この子は僕が生まれた日にお家に来た子で、もう怪我は治っていて、何回か自然に帰るかな? って森へ連れて行ったんだけど。いくら待っても籠から出ないし、パパ達が籠から出してもすぐに籠に戻ったり、跡をずっと付いてきたり。だからそのままお家にいることになりました。


 僕とは、僕はそのことの事は覚えていないけど。僕が生まれて、僕をしっかりと抱っこできるようになってから、魔獣さん達に僕を紹介するために。パパ達が僕を連れて、ぐるっとみんなの小屋を回って歩いたみたいで。最後がこのウササの小屋でした。


 中に入ったらさっきみたいに僕に寄ってきたみんな。最後に寄ってきたのが、今僕が1番の仲良しのこの子で。それでねこの時、僕はこの子のことを、いきなり触っちゃったみたいなんだ。


 赤ちゃんって結構力があって。その前のに日には、僕はパパの鼻をギュッと握りすすぎて、パパの鼻が赤く腫れさせたって。だからママ達は、この子も僕に握られて、怪我が酷くなるって慌てて。


 でも、そうはなりませんでした。何故かその時だけ握らなかった僕。そっとこの子の体の上に手を乗せただけで、この子も逃げないで僕に触らせてくれて。それが僕とこの子の出会いだったんだよ。それからずっと僕達は仲良しなんだ。


「おそじにきました!! あとであそぼね!」


 みんなにそう言ったら、また僕に集まって来ていたんだけど、その後みんな端っこの方に寄ってくれたよ。


「ここもか。アルフが来るとこれだ。俺が退いてくれっていっても下がらないし、言葉が分かっているのか分かっていないのか」


 お掃除開始!! パパがおトイレを綺麗にして、僕はその間に汚くなった藁をまとめて、袋に入れたら、小屋の外に持って行きます。大体の藁を片付けたら、今度は残っていたお野菜のお片付け。


 もう乾いてカピカピのお野菜。こんなお野菜じゃ、みんなのご飯はダメだもんね。新しいご飯に、すぐに変えてあげるからね。あっ、でもこのカピカピのダメダメ野菜も、集めた後にまた使うんだよ。


 他の小屋から集めてきたお野菜や果物、お肉にお魚を全部混ぜて、特別な入れ物? に入れたら、1ヶ月くらい待ちます。そして1ヶ月待ったら肥料の出来上がり。この肥料を使うと、お野菜が凄く美味しく育つんだって。ニニンは不味いけど……。でもみんなは好きだからね。


「よし、こっちは終わりだな。アフル、終わったか?」


「うん!!」


「じゃあ次は、綺麗な藁を敷こう!」

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