第48話 4人の劣等召喚者たち3 牛丼が美味すぎる
「そうか、苦労したんだな。よし、ちょっと道をはずれるか。隠蔽スキルがあるといっても、見える人には見えるからな」
「僕たち、隠蔽の腕輪を付けてるんですけど、わかるんですか?」
「おまえらのはそれほど強いスキルじゃないからな。ちょっと能力のあるものならわかるレベルだぞ」
「えー。油断してた」
「まあ、人間レベルでわかるやつはあんまりいないと思うが。あっ、こちらはフレイヤ。よろしくな」
フレイヤも隠蔽スキルを解いて挨拶する。
「うわっ、いきなり!しかも、超美形!」
「その耳、ひょっとすると、エルフですか?」
「そうじゃ」
「うはー、エルフってやっぱりこんなにキレイなんだ!」
「眼福すぎる!」
あー、男子高校生だからなー。エルフは刺激が強すぎるか。これだと、魔猫だって言いづらくなったな。
「ところで、物凄く図々しいことなんですけど、俺達、腹が減りまくりで」
「なんだよ。食い物もなくて逃げてきたんか」
「口に合わなくて」
「あー、そういやそうか。俺も王国の食い物、駄目だったわ。よし、美味いもの食わせてやる」
俺はマジックバッグから色々食い物やら飲み物やらを取り出した
「おおお!牛丼!頂いても?」
「遠慮なく食え」
「頂きます!……何、この牛丼。美味すぎる」
「吉◯家のがゴミレベルに思えるような美味さ」
「牛丼特有の臭みとかしつこさが全然ないよな。むしろ、いい香りすぐる」
「あと、レーズンパンとか」
「それからレーズンパン。凄い、日本でもこんなレベルのパンを食べたことがない。フワフワしっとりで小麦の香りがして自然な甘みもあって。レーズンもコクのある甘さ。なんていうか、新鮮な味がする……」
「腹膨れたか。じゃあ、もう少しいろいろ教えてもらおうか」
彼らによると、王都にはあと4人の女子クラスメイトがいて訓練に励んでいるんだと。
「そうか。彼女たちも救う必要があるな」
「僕たちとは今ひとつ接点のない人達ですけど、それでもいきなり女子高校生がこんな環境に放り込まれてたら助ける以外の選択肢はありません」
「ちなみに、おまえらの職業とかスキルとかを教えてもらえるか?」
彼らは自己紹介を兼ねて説明してくれた。
「ほう、お主ら、なかなかいい職業を授かっておるの」
「ええ!そうなんですか?」
「お主等は現状、今一つの職業じゃの。だが、将来性のある職業なのじゃ」
フレイヤによると、
雲母:作男→大農民
肉丸:運屋→大商人
馬越:素破→忍者
南足:遊人→賢者
に進化する職業なんだという。
「しかも、お主らはすでに上級職のスキルを発現しておる。4属性魔法、マジックバッグ、鍵開け、鑑定などは、上級職のスキルじゃ。転移特典じゃろな」
「でも、大農民ってダルそうなんですが」
「馬鹿なことをいうな。この世界で職業大農民といったらモテモテの職業じゃぞ」
「そうなんですか!」
「大農民はの、農業に関する様々なスキルが発現するのじゃ。4属性魔法、薬師、魔道具師など万能の職業で王国では生産の花形なのじゃ」
「大商人は?」
「こちらはマジックバッグが上級スキルじゃの。マジックバッグ一つでこちらもモテモテの職業じゃ。流通の花形となりうる。あと、商売に関するスキルが発現するのは言うまでもないのじゃ。将来は超お金持ちじゃぞ」
「おお」
「素破ってなんですか」
「忍者の原型じゃの」
「おお、忍者!」
「現状でも斥候という非常に重要な役割を担えるのじゃ。裏工作もOKじゃしの。それに鍵開けスキルレベルマックスなんて、上級スキル以外の何物でもないのじゃ。しかも、将来は忍術使いじゃぞ」
「よし、俺は霧隠れ才蔵に名前をチェンジするぞ。おまえら、才蔵って呼んでくれ」
「はいはい、馬越。わかったよ」
「遊び人なんて悲しいんですが」
「鑑定魔法が上級スキルじゃろ。多分じゃがの、今でも4属性魔法のようなスキルが発現するはずじゃぞ」
「そうなんですか?」
「ちょっと冗談のようなスキルなんじゃが。それと、将来は賢者じゃ。あらゆる魔法が発現するやもしれん」
「うおおお、力が湧いてきた!」
「いや、俺達結構チートじゃね?なんて思ってたんですけど、凄いんですか?」
「今はともかく、将来性は抜群なのじゃ。見方にもよるが、お主等のクラスメイトが授かった勇者・聖女・弓聖・魔導師と同等かそれ以上に成長する可能性があるのじゃ」
「おおお!」
「チートは授かった!あとはハーレムあるのみ!」
「女にもてたいか?」
「勿論です!彼女いない歴=年齢というのはなんとかしたいです!」
「うーむ、それは一生懸命頑張るのじゃ。とにかく、頑張って職業を育てるのが先なのじゃ」
フレイヤはやや残念な目で彼らを眺めていたが、彼らはそれには気づかず浮かれたままだった。
「しかし、ちょっと困ったな。おまえらのこれから」
「多分、王国では駄目だと思います」
「普通に考えて、俺達指名手配されてるよな」
「黙って城を抜け出してきたし。城から色々もらってきたし」
「俺達はな、ダンジョンに住んでるんだよ」
「おお!ダンジョン!」
「だけどな、おまえらだとまだダンジョンは早すぎるかもしれん」
「そうなんですか?」
「問題はだ。魔素に体が馴染むかどうかで。まあ、いいか。うちのダンジョンには召喚者がもう1人住んでるんだ。彼女に教育してもらうか」
「彼女?女性なんですか?」
「ああ。美人だぞ」
「やったぞ!年は?」
「22歳だったかな。大学卒業したてだったと思うが」
「やっほー、美人のお姉さん!」
◇
「初めまして、相馬美也です」
「「「「初めまして、◯◯です」」」」
「私、しばらくあなたたちの訓練担当になりました。よろしくね」
「「「「よろしくですぅ(美人すぎて鼻血でそう)」」」」
「とりあえずな、このダンジョンの1階層におまえらの宿を作った。ここはあくまで仮の家だ。早く魔素に馴染んで最低でも5階層に行けるよう、頑張ってくれ」
「「「「ラジャー!」」」」
彼らは召喚者だけあって、魔素に耐性があった。数日後には3階層に到達。さらに2週間後には無理して5階層に達した。
「しばらくは3階層があなた達の定宿になります。流石にここからはゆっくり魔素に馴染む必要がありますから。ここから4階層と5階層に出撃して、5階層の魔素に馴染めば、ひとまず訓練は終了です」
「「「「おお!」」」」
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